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名馬・あの瞬間平成５年「七夕賞」 |
| ツインターボという馬が好きでした。 本当に小さな馬体ながらも、とにかく逃げて逃げて逃げまくって、 という競馬スタイルが強烈に印象に残る馬でした。 ツインターボは、小さかったからなのか、とにかく怖がりな感じがする馬で、 馬群の中に入れたらひるんでしまって全く競馬にならないという気性の馬でした。 なので、逃げるしか勝つ道はないといった感じで、それも抑えてスローペースで 逃げても、後ろから追われている気がすると走るのをやめてしまうような ところがあり、逃げるならハイペースでの大逃げ。後ろの馬がついてこれない ようなペースで逃げて、後はどこまで逃げ粘れるか、といった馬でした。 そんなツインターボが一番らしい勝ち方をしたレースが、今回紹介する 平成５年の「七夕賞」でした。 この年の「七夕賞」は、逃げ馬が４頭も出てきました。その中でも、 絶対に逃げたい口だったのがツインターボとマイネルヨースの２頭。 ２頭とも下手に抑えるとダメな馬なのでなんとしても逃げたいところ。 そんな感じなので、オーバーペースになって逃げ馬同士での潰し合い が予想されたせいか、逃げ馬勢は相対的に人気は無く、１番人気が ダイワジェームス、２番人気がアイルトンシンボリという中段から行くであろう 馬からの人気順でした。 ただ、それでも福島が得意なツインターボは、同じく福島で大活躍する 中舘騎手とのコンビってこともあって、単勝では３番人気でした。 このコンビでの逃げなら、ひょっとしたら逃げ切ることがあるのかも？といった 期待の現われでもあったのですが・・・。 注目のスタート。ツインターボは大外枠から好スタート。 一方、内からはマイネルヨースもスタートを決めて、正面のゴール前では ２頭が並ぶような形に。 ここで、普通なら外にいるツインターボの方が内にいるマイネルヨースに 先頭を譲って、という形になるところなのですが、一度走り始めると 押さえが利きにくいタイプのツインターボの行き脚に、さすがのマイネルヨース も先頭を譲らざるを得ない形となり、マイネルヨースの方が控えて これで完全にツインターボのペース。もちろん道中の流れは超ハイペース。 １０００ｍ通過が５７秒台という荒れた馬場を考えればとんでもないペースでの 逃げとなりました。 軽快に飛ばすツインターボに対し、２番手に控えたマイネルヨースと、 一緒に並んで走る本来は逃げたかったユーワビーム、トミケンドリームの ３頭は、変に抑えながらも実際にはかなりのハイペースでの追走となった せいか、揃って３コーナー過ぎにはバテてしまい完全に脱落。 替わって人気のダイワジェームス、アイルトンシンボリが、早めに動いて ２番手に進出しようとしますが、こちらも付いていくのに精一杯な感じ。 一方のツインターボは、まだまだ快調に飛ばし続け、４コーナーに入る頃には 後続に大差をつける大逃げの形となり場内は騒然としました。 最後の直線に先頭で入るツインターボ。それを、２番人気のアイルトンシンボリ がただ一頭追いかけてきますが、ここまでの追走で相当脚を使ってしまった せいか、思うように差が縮まらない・・・。 さらにその後ろからは１番人気のダイワジェームスがようやく上がって くるものの、そこまでで力尽き、他の後続勢も完全にバテきってしまい、 結局ツインターボは後続に一度も影をも踏ませぬ圧勝劇。 勝ち時計の１分５９秒５は、当時の荒れた馬場を考えれば、文句なしの 時計で、上がり３ハロンが３７秒７も掛かりながらも４馬身も差をつけたの は、この馬の逃げ方がいかに凄いかを物語る結果だと思います。 ちなみに、２番手に控えたマイネルヨース、ユーワビーム、トミケンドリーム の３頭は揃って大惨敗で、１６頭立ての競馬で１４着（トミケンドリーム）、 １５着（マイネルヨース）、１６着（ユーワビーム）という結果でした。 この結果を見ても、いかにツインターボが凄い逃げをしたのかがわかると思います。 ツインターボは、続いて出走した「オールカマー」でも、思い切った大逃げで 圧勝。福島、中山と右回りの小回りの競馬場に強く、斤量が５６ｋｇ以下で 上手く逃げたら、簡単には止まらないという馬でした。 ただ、逆に言うと、左回りはダメ、５７ｋｇ以上背負うとダメ、上手く 逃げれないとダメということで、極端な成績ばっかりの馬で、いつも 今日は逃げ切れるかなぁ・・・とか楽しみながら見ていたのが懐かしいです。 物凄いスピードで逃げるから、短距離向きの馬かと思いきや、元来は バリバリのステイヤー血統。なので、スタミナ型の馬だったんですね。 だから、物凄いペースで逃げながらもしぶとく粘って粘りきってしまう 馬だったんだと今では思っています。 ということで、今回はツインターボの物凄い逃げ切りだった平成５年の 「七夕賞」の紹介でした。 |
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