このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

1998年「ジャックルマロワ賞」
優勝馬タイキシャトル

 シーキングザパールが、日本調教馬として初めて海外のG1競走に優勝して から1週間後、またしても日本馬の海外G1制覇のチャンスがやってきました。

 場所は1週間前と同じフランスのドーヴィル競馬場。レースは「ジャックルマロワ 賞」。フランスのマイルのG1競走でした。

 このレースに参戦したのは、日本競馬史上最強のマイラーとの呼び声の 高いタイキシャトル。日本での競走成績は、文字通り「敵無し」の絶対王者で、 渡仏直前に走ったG1「安田記念」でも、他馬を全く寄せ付けない圧勝劇。 目下G1を3連勝中、重賞競走は6連勝中という無敵の王者の海外遠征でした。

 正直、日本馬初の海外G1制覇は、シーキングザパールよりもタイキシャトル の方が期待が大きかったです。それが、「モーリスドギース賞」でシーキングザパール が優勝。となると、シーキングザパールが勝ったのならタイキシャトルは 絶対に負けて欲しくない!っていう感じになってしまうから不思議です。

 初の海外遠征、初の直線競馬、そして慣れない深い芝コースと、条件的には かなり厳しいのが揃うわけで、普通に考えたら勝つほうが難しいだろうな、と 思うところなのですが、それでもこの馬なら絶対に勝って欲しい!って思わせる わけで、それくらいタイキシャトルという馬は強かったんです。

 レース当日。この日は、ラジオたんぱでの生中継があるというので、競馬を 聴くためだけに買った短波放送用のラジオを久々に出してきて、深夜自分の 部屋でフランスからの実況を聴いてました。

 レースが始まってしばらくした後、残り100mの段階でタイキシャトルが 先頭との実況!走ってる様子がわからないので、とにかく「そのまま!そのまま!」 と思いながら聴き続けていたら「タイキシャトル勝ちました!」との実況が。

 「やった!」と、ずっと応援してきた馬でもあっただけに、これは本当に 嬉しかったです。そして、やっぱこの馬は本当に凄いや!と改めて思いました。

 後日、テレビの放送で流れた映像を見てみたら、最後のゴール前は意外に 接戦だったのでビックリしました。もし結果がわからないであの叩き合いを 見ていたら、間違いなく力入ってましたね。それでも、接戦だったとはいえ、 冷静に見てみると早めに先頭に立ってそのまんま押し切るという正攻法の 横綱相撲だったわけで、あの結果は何度やっても変わらないだろうなと思う くらいの完勝でした。

 ちなみに、このレースには、日本からはタイキシャトル&岡部騎手の コンビの他に、武豊騎手も参戦。ミスバーバーという馬に乗って4着でした。

 これで海外G1ウイナーにもなったタイキシャトルは、当初、次走に予定していた 「ムーランドロンシャン賞」を回避して帰国。帰国後、ぶっつけで臨んだ 「マイルチャンピオンシップ」を圧勝して海外G1馬の強さを見せつけてくれました。

 ただ、引退レースとなった「スプリンターズステークス」では、調整の失敗 が響いたのか、らしくない競馬で3着に敗戦。レース終了後に引退式を 行うという史上初の試みに水を差す結果になってしまいましたが、それでも まともに走った時の強さは本当に桁外れで、これだけの名馬はそうそう出てくることは ないと思います。

 タイキシャトルは、この年のJRAの「年度代表馬」に選ばれましたが、この賞を マイル路線を歩んだ馬が受賞したのは史上初めてだったので、かなり話題に なりました。

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