このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

平成12年「新潟記念」
優勝馬ダイワテキサス

 今週行われる「新潟記念」は、ハンデ戦の重賞です。ハンデ戦というのは、力の劣る 馬にも勝つチャンスを与えようということで、強い馬には重い斤量を背負わせ、逆に 力の劣る馬は軽い斤量で走らせることによって、能力差を少なくしようということで 行われるものですが、個人的には、こうした考え方のハンデ戦は好きではありません。 なぜなら、強い馬が勝つのがスポーツの王道だと思うからで、軽ハンデ馬が上位に 来るよりも、重い斤量を背負った馬がそれでも勝っちゃったという時のほうが好きですね。 特に重賞競走においては、なおさらその傾向が強いです。
 そんな見方をしている自分にとって、平成12年の「新潟記念」は、凄い興味深い 一戦となりました。

 元々、夏の重賞はメンバーが揃いにくいところはあるのですが、この年の「新潟記念」 は、純然たるオープン馬の参戦はわずかに3頭だけでした。あとの9頭は全て条件馬という メンバー。しかも3頭しかいないオープン馬のうち、バリバリに重賞戦線で活躍中 なのは、ダイワテキサスとアンブラスモアの2頭だけ。もう1頭のオープン馬の クリールサイクロンは、近走が全くの不振のため、ハンデは他の条件級の馬と同じ レベルという状況でした。

 そんなわけで、出走全12頭のハンデを重い順に書いてみますと、

  59kg ダイワテキサス
  58kg アンブラスモア
  57kg 
  56kg 
  55kg ゲイリートマホーク
  54kg 
  53kg ツジノワンダー
 トラストミュウツー
 メジロロンザン
  52kg ハヤカゼジョー
 クリールサイクロン
  51kg ヤマニンサイボーグ
  50kg ロードマグナム
 ウインマーベラス
  49kg モンレーブ


 というものでした。

 ま、簡単にいえば、ダイワテキサスとアンブラスモアの2頭だけが重い斤量を 背負って、後はみんな軽量。それもゲイリートマホーク以外は本当に軽い斤量な わけで、これだけハンデ差があれば、軽量馬にもチャンスあり、っていうか、 軽量馬ばっかりなので、重い2頭が苦しむようだと上位独占もありそうな感の メンバー構成でした。実際に、普段のハンデ戦の重賞でも、58kgとか59kg とか背負った馬が凡走するパターンがしょっちゅうあるので、かなり可能性の あることでした。

 でも待ってくれ。
 このレースは重賞なんだぞ。
 そんな簡単に条件戦も勝てないような 馬に優勝させちゃっていいのか?

 と思ってる私は、ここは意地でも2頭の重斤量馬に頑張って欲しいところでした。 そして冷静に考えてみると、逃げるのはアンブラスモア。この馬は、とにかく メチャメチャ速いペースで逃げて逃げ切るのが持ち味。ダイワテキサスも アンブラスモアが簡単には止まらないのがわかっているから、早目に仕掛けるはず。

 となると、非常にきついペースの競馬が予想されます。そうなれば、いくらハンデ が軽いとはいえ、力の劣る馬はついていけないのでは。そう考えました。なもんで、 私の予想は文句なしにダイワテキサスとアンブラスモアの一騎打ち。他の馬は ついていけずに敗戦・・・となると確信に近い感じで予想しちゃいました。

 さて、実際のレースです。この年は、新潟競馬場が馬場改修工事のため、中山での 開催。 1番人気はダイワテキサス。以下ツジノワンダー、アンブラスモアと続く順番 でした。

 スタートは、最内枠をひいたアンブラスモアが抜群のスタートでハナを奪う 展開。条件戦を逃げて3連勝中だったゲイリートマホークは、逃げれずに2番手から の競馬。いきなり重賞の洗礼が・・・。

 道中は、逃げるアンブラスモアと2番手をいくゲイリートマホークの2頭が、 後続を大きく離す展開。もちろんハイペース。そんな中、このままでは逃げ切られる、 とばかりに3コーナー過ぎから後続が一気に追い上げ体勢に入り、レースは俄然 ペースアップ。4コーナーでは、上手くコーナーを回れずに、外に膨らむ馬が 多数出るような展開に。

 そんな中、一度は後続に捕まった感のあったアンブラスモアが、直線に入って 再度スパートすると、逆に後続を突き放してリードを広げる展開に。逆に、 追い上げてきた馬の方が先に脚が上がってしまう展開。これは、私が戦前に予想した 通りの展開で、さすがはオープン馬だなと思わせる一瞬でした。

 そして逃げ切り体勢に入ったアンブラスモアでしたが、一頭だけこのハイペースでも バテずについてきた馬がいました。トップハンデのダイワテキサスです! 59kgを背負ってたせいで、勝負どころでの反応が鈍く置かれ気味になってしまった ダイワテキサスですが、直線はしぶとく馬群を割って伸びてきて、ゴール前で 一気に逃げるアンブラスモアを捕らえて優勝!まさに、さすがの貫禄を見せた 瞬間でした。

 で、2着にアンブラスモアが入って、実力どおりに・・・と思った瞬間、 最後のゴール前で、道中は最後方に待機していた最軽量馬のモンレーブが突っ込んで きて2着に入るという波乱。アンブラスモアは3着・・・。

 結局、重いハンデの2頭が力の違いを見せることにはなったのですが、ハンデ戦 ならではの軽ハンデ馬の台頭もあって、なんかどっちにも転んだような結果でしたね。 ただ言えることは、モンレーブの2着好走の最大の要因は、他の馬が前を追いかけて 勝ちに行ったのに対し、終始最後方でレースを進めて、あわよくばという風に 全く色気を持たなかったことかなって思います。ただやっぱり、あそこまで行った からには、何とかアンブラスモアに2着に入って欲しかったなぁ・・・というのが 率直な感想ですね。2着と3着の差がハナ差だっただけに悔しかったのを覚えて います。

 ダイワテキサスは、中距離戦線で活躍した馬で、G2を2勝、G3を3勝もした 名馬です。特に、夏場のレースに強く、重賞5勝のうち4勝が7月から9月の 競馬という「夏男」でした。

 またアンブラスモアも中距離戦線で活躍した馬でしたが、こちらはレコードを 何度か出している快速馬で、活躍したのが1800m〜2000mに限定されている ところが印象に残る馬でした。重賞勝ちは「小倉記念」の1勝だけでしたが、 オープン特別を4勝もしていたように、かなり活躍した馬でした。

 今年も「新潟記念」はハンデ戦です。実力馬を応援したい自分としては、やっぱり 重いハンデの馬に勝って欲しいなぁと思うところです。

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