このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

名馬・あの瞬間

平成9年「神戸新聞杯」
優勝馬マチカネフクキタル

 もう、とても届かないだろう・・・。そんな位置から豪快に末脚を炸裂させて、 信じられないような追い込み勝ちを決めたレースって、とにかく印象に残ります。

 そんな見事な追い込みが決まったレースの中で、私が特に印象に残っているのが、 ブロードアピールが勝った平成12年の「根岸ステークス」と、今回紹介する 平成9年のマチカネフクキタルの「神戸新聞杯」です。

 この年の「神戸新聞杯」には、「ダービー」で2着に入ったシルクジャスティスを はじめ、サイレンススズカ、マチカネフクキタルといった春は惜しくもタイトルに 手が届かなかった組が出走。しかも、春の2冠馬のサニーブライアンが故障で リタイヤし、3冠目の「菊花賞」への参戦を断念したこともあり、この辺の 馬達にとっては、3歳クラシック 最後の1冠を奪取すべく、気合の入った秋初戦となりました。

 人気の方は、逃げが予想されたサイレンススズカが1番人気。春は気性難が 災いし、まともな競馬ができずに終わってしまいましたが、夏を越えて気性面での 成長が期待されてました。

 続いて、マチカネフクキタルが2番人気で、実績最上位のシルクジャスティスは、 調整遅れが懸念されたのか、意外と人気が無く3番人気でした。

 レースの方は、予想通りサイレンススズカが逃げる展開。この日は、特に気性難を 出すこともなく、スムーズな競馬。それでいて、後続をどんどん離していくという、 この馬が一番強いときの競馬内容。

 それを追いかけるシルクとマチカネの2騎ですが、外目をついてスムーズに上がって いくシルクジャスティスに対し、マチカネフクキタルの方は、3コーナー過ぎで 内にいたのが災いし、前が見事なまでに詰まってしまい、完全に周りが壁になって しまう展開・・・。このままじゃどうしようもないので、仕方無しに、一旦、一番 後ろまで下げてから外に出すというロスがあり、4コーナーでは、完全に最後方。

 逆に、逃げるサイレンススズカの逃げ脚は、一向に衰えることなく、ついてきた 連中のほうが先にバテてしまい、完全に独走体勢。シルクジャスティスは、懸念された 調整遅れが出てしまったのか、最後の直線では全くの出番無しで、下がる一方。

 こうなると、普通なら完全にサイレンススズカが逃げ切る展開。ところが、 4コーナーで大外に出したマチカネフクキタルが、ここから物凄い追い込みを開始。

 残り200mの時点では、まだ10馬身近く差があったのですが、それが一気に 差が縮まり、坂を上りきる頃には、逃げるサイレンススズカのすぐ後方まで追い上げると、 そのままその勢いの差は変わらずに、ゴール直前でサイレンススズカを見事に 捕らえきって重賞制覇!3コーナー過ぎに前が塞がって下がった瞬間には、 とても届かないだろう・・・と、見ているほうは完全に諦めたレースだったのですが、 まさかまさかの大逆転で、本当にビックリしました!

 結局、ここで初重賞制覇となったマチカネフクキタルは、続く「京都新聞杯」 も優勝して、トライアル2連勝で本番の「菊花賞」を迎え、本番でもきっちりと 差し切る勝ち方で「菊花賞」も制覇。「神戸新聞杯」→「京都新聞杯」→ 「菊花賞」という3連勝は、昭和46年のニホンピロムーテー以来ということで、 話題になりました。

 逆に、大逆転負けをくらってしまったサイレンススズカの方はというと、 この時、最後までしっかりと追わなかったということで、鞍上の上村騎手が 騎乗停止処分を受けるというハプニングがありました。後でビデオで見返してみると、 確かに必死に追ってる感じではないかなとも思いますが、ゴール前で、完全に 独走モードだっただけに、あそこからもう一度追ったところでそんなに伸びる ものでもないだろうし、これは可哀想な気がしました。この負けは、力負けと いうよりかは、完全に展開のあやって感じでしたね。もっと馬体が併ってれば、 きっと違った結果になっていたんじゃないかなって思います。

 あと余談ですが、マチカネフクキタルという名前は、冠名の「マチカネ」の 後ろに、「笑う門には福来る」からとった「フクキタル」をつけたのらしいのですが、 「フクキタル」があるのなら「ワラウカド」もということで、もう1頭、同期生に 「マチカネワラウカド」という馬がいました。

 フクキタルの方が、先に重賞で活躍したので、ワラウカドはどうしてるんだ?と 思っていたら、遅ればせながら翌年の暮れに「東海ウインターステークス」を 勝って重賞ウイナーとなりました。さすがに、揃ってG1優勝まではいきませんでしたが、 こちらも重賞を計3勝した名馬で、まさに「笑う門には福来る!」を地でいった コンビとなって、こっちの面でも印象に残りましたね。

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