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名馬・あの瞬間平成７年「マイルチャンピオンシップ」 |
| 競馬にも、スペシャリストと呼ばれる馬が存在します。ある一定の条件では 特に強い馬のことで、それが馬場条件（芝 or ダート、良 or 悪、軽 or 重）だったり、 コース（競馬場）だったり、あるいは距離だったりするのですが、トロットサンダーという馬は、 まさに芝のマイル戦（１６００ｍ）のスペシャリストでした。 トロットサンダーは、１４００ｍだと距離が短くって追い込みが届かない、 １８００ｍだと距離が長くって末脚が甘くなってしまうという馬だったのですが、 適距離の１６００ｍだと、どんなペースであっても、最後は必ず伸びてきて、 ゴール前できっちりと先行馬をかわし、１着でゴールインするという馬でした。 そして、その競馬内容は最高峰のＧ１レースであっても一緒だったというのが 凄かった！ 今回は、そんなトロットサンダーが初めてＧ１を勝ったときの思い出です。 平成７年の「マイルチャンピオンシップ」は、２頭の外国産馬に注目が集まりました。 早くからＧ１級と称されながらも、未だにＧ１タイトルには縁のなかった４歳馬の ビコーペガサスと、物凄い急上昇で一気に重賞ウイナーの仲間入りをした３歳馬の ヒシアケボノです。 人気は、古馬の意地に期待してか、ビコーペガサスが１番人気で、ヒシアケボノが ２番人気でした。そして、これがＧ１初挑戦となるトロットサンダーは、伏兵と いうことで、４番人気でした。 レースの方は、大方の予想通り、快速馬エイシンワシントンが逃げる展開。それを、 人気のヒシアケボノが２番手でマークする形。 一方の人気馬のビコーペガサスは、例によって後方待機策。でもって、トロットサンダー も、いつも通り前半は後方待機策。 そして、最後の直線。逃げるエイシンワシントンを、ヒシアケボノが満を持して、 って感じであっさりとかわし、先頭に立つ展開。 一方、ビコーペガサスは、後方に置かれた感じで、果たして届くのか？という感じ。 そして、トロットサンダーは、４コーナー手前でエンジンがかかり、スムーズな コーナーワークで直線は大外に出して得意の追い込み体勢に。 残り１００ｍを切って、先頭は逃げ込みを図るヒシアケボノ。いい感じの逃げで、 このまま逃げ切るのか！と思ったそのとき、 大外からトロットサンダーが強襲！そして、並ぶ間もなく、あっという間にヒシアケボノ をかわし去り、そのまま先頭でゴールイン。初のＧ１タイトルと同時に、重賞初制覇 を達成した瞬間でした。 ２着には、ヒシアケボノの逃げ残りか、と思った瞬間、トロットサンダーと一緒に 併せる形で伸びてきたメイショウテゾロが入り、大波乱の結末。馬連の馬券は 大万馬券に・・・。 そして、ヒシアケボノは３着、ビコーペガサスは、最後は良く伸びたものの、 届かずに４着でした。 終わってみたら、Ｇ１はおろか、重賞勝ちもなかったトロットサンダーが優勝。 結局、この馬は、マイル戦ではこれまで全く負けたことがなかったのですが、 マイル戦ではＧ１でも勝ってしまうほどの強さだったということでした。 この後も、トロットサンダーは、マイル戦では負け知らずで、翌年の「安田記念」 も快勝。この時も、ゴール前できっちりと差し切るという内容で、マイル戦だと どんな相手で、どんなペースでもきっちりと差し切る馬なんだなぁとつくづく思いました。 その後も、Ｇ１での活躍が期待されたのですが、故障とオーナー側のトラブルがあって、 まだまだ余力を残しての引退となってしまい残念でしたが、マイルなら、どんな相手でも 負けないというスペシャリストぶりは、本当に印象に残りました。 あと、この時３着だったヒシアケボノは、翌年の「安田記念」も、同じような 内容で、逃げ切れるかってところでトロットサンダーにかわされて３着でした。 どちらも、２着馬が最後はトロットサンダーと併せ馬になって余計に伸びた感じだった ことも考えると、トロットサンダーがいなければ、両方とも勝っていたのでは？と、 自分は今でもそう思っています。 最後に余談ですが、この「マイルチャンピオンシップ」のビデオを、この原稿を書くに あたって見直しました。その中で、テレビの実況を担当していた、 関西テレビの杉本アナが、ゴールの瞬間、勝ったトロットサンダーの名前よりも先に、 「２着はメイショウテゾロ！」って実況してたのが印象に残りました。 普通は、勝った馬が先でしょう。ということで、それくらいメイショウテゾロは 注目されていなかったんだなぁって、今から見ると懐かしいです。 |
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