このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
名馬・あの瞬間2001年「香港ヴァーズ」 |
引退レースを勝利で飾る。 これは、競馬においては、狙っていてもかなり難しいことです。それが、ましてや G1レースともなれば、さらに難しいことで、そこに「G1初制覇」の文字が加わると なると、さらにさらに難しいことになります。 ところが、そんな大快挙をやってのけた馬がいました。しかも、その馬は、それまで G1で2着が4回、3着が2回もあるという大善戦マンで、そのレース内容からは、 いつG1を勝ってもおかしくはないと評されていながら、G1で好走するにも関わらず、 G2やG3の重賞でも2着、3着どまりという勝ち味の遅さが欠点な馬でした。 彼の名はステイゴールド。 「ゴールド」という名前とは裏腹に、金メダルとは待ったく無縁の競走馬で、 本格化した4歳以降、常にG1戦線で活躍しながら、7歳を迎えるまで、G1の勝利はゼロ でした。 ただ、4歳時には、「天皇賞(春)」→「宝塚記念」→「天皇賞(秋)」と、G1レース で3回続けて2着に入るという好成績を残しました。 それでも、G1の合間に走るG2やG3の重賞でも勝てずに、G1で好走するにも 関わらず、主な勝鞍は「900万下特別」という状況がずっと続きました。 6歳になって「目黒記念」を勝ち、ようやく重賞ウイナーに。実に、 重賞を走ること26回目にしての初戴冠でした。 そんなステイゴールドでしたが、年を重ねると賢くなったのか、7歳になると、それまでの 勝ち味の遅さが一変します。 年明け早々の「日経新春杯」で、重賞2勝目をあげると、続いて出走したのが、 ドバイで行われた「ドバイシーマクラシック」。初の海外遠征にも関わらずに、 優勝という快挙。これまでの、善戦はするけど勝てない、というイメージだった彼の 姿からは想像もできないような快勝ぶりで、しかもこれまでずっと重賞を勝てなかった 馬が重賞を2連勝ということで、7歳になったけど、この馬はまだまだ走るんだ、という ことをアピールしてくれました。 この「ドバイシーマクラシック」は、格付け的には「G2」だったのですが、対戦相手は、 海外のG1競走で活躍している馬が多く、特に2着だったファンタスティックライトに 至っては、後に、アメリカ競馬の最高峰と呼ばれる「ブリーダーズカップターフ」を勝った馬で、 その馬を負かしたのだから、当然ステイゴールドもG1級の力があるんだ、ということを 証明することになりました。 そうなると、是が非でも欲しいのが「G1」のタイトル。年齢が年齢だけに、あと どれだけ活躍できるかわからないから、残された数少ないチャンスにかけるところです。 そんな中、秋初戦となった「京都大賞典」では、王者テイエムオペラオーに、初めて 先着。(・・・だったのですが、他馬の進路を妨害してしまって、失格となって しまい、重賞4勝目はならず・・・)この時の競馬は、競り合うと弱いというこれまでの イメージを払拭する内容で、この秋こそは、いよいよG1奪取だ、と思ったものです。 それでも、G1の壁は厚く、「天皇賞」は道悪馬場にも泣かされて7着、「ジャパンカップ」 でも、日本馬が上位独占の中での4着と敗戦・・・。なかなかG1には手が届かない・・・。 そんな彼が、引退レースとして最後に選んだステージは、日本の「有馬記念」ではなく、香港の「香港ヴァーズ」 でした。 時計のかかる芝コース。 2400mの距離。 共に、ステイゴールドが最も得意とする条件です。しかも、遠征競馬でも力を 十分に発揮できることは、春のドバイ遠征でも証明済み。 ということもあってか、このレースには、前年の勝ち馬のダリアプールをはじめ、数々の 強豪が出走してきたにも関わらず、ステイゴールドが断然の1番人気に推されました。 14頭立ての大外枠からスタートしたステイゴールド。道中は、ずっと外を走ること になったのですが、ペースがあまり速くないので、馬群に包まれず、却っていい位置取り って感じのスムーズな競馬。 そして、2周目の3コーナー過ぎ。ドバイから参戦のエクラーが、ロングスパート。 そのまま後続を引き離したまま4コーナーを回り、完全に独走モードに。 そんな中、外から徐々に進出したステイゴールドは、4コーナーでは2番手に押し上げ、 ただ一頭、逃げ込みをはかるエクラーを追走体勢に。 しかし、残り200mの時点で、まだ逃げるエクラーとの差は5馬身くらい。それが、 残り100mになってもほとんど詰まらなかったので、これは最後もG1は2着で 終わるのかな・・・って思っていたら・・・、そこから2段スパートで、さらに最加速。 逆に、エクラーの方が、残り50mでお釣りが無くなってしまい失速すると、ゴール直前で、 ステイゴールドが物凄い勢いで差を詰め、ゴールする瞬間に逆転! 最後の最後で、遂にG1ホースの称号を手にした瞬間でした。 G1レースに出走すること20回目にしてようやく掴んだ「No.1」のタイトル。 こんなにG1レースにたくさん出走できる馬も珍しいけど、ここまで来て最後はきちんと 勝つんだから、やっぱりこの馬は強いんだなって本当に思いますね。 ちなみに、ステイゴールドが引退レースを見事に飾ったこの日の香港では、その後に 続いて行われた「香港マイル」でエイシンプレストンが、「香港カップ」では、 アグネスデジタルが優勝。3レース行われた国際G1競走の全てを日本馬が制するという 大快挙をやってのけました。私にとっては、忘れられない1日です。 |
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |