このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

春を待つ五箇山・白川郷へ
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 1994年の春、富山県の五箇山から岐阜県の白川郷へと旅した。
 まず、青春18きっぷで熊本から岡山まで鈍行に揺られて行った。10時間以上の道のり。


熊本からの鈍行乗り継ぎも、この列車でおしまい。しんどかった。

 新幹線で新大阪へ、そして夜行急行きたぐに号に乗り換え。
 富山県の高岡には朝の4時半過ぎに到着。五箇山行きの朝いちばんのバスまでかなりあるので、とりあえず夜明けとともに市内散策。


これは、高岡駅前に発着する加越能鉄道の路面電車。

 高岡駅前からバスに乗った。五箇山行きのバスは、早春の砺波平野を走っていった。その進む方には残雪の輝く峰々がみるみる迫り、やがてバスは雪解け水の流れる谷川に沿いながら、山懐へと分け入っていった。


2時間ほどで、五箇山・平村の下梨に到着。

 五箇山は、平家の落人伝説と、合掌造りの民家で知られる。また、私の年代では小・中学校の音楽でおなじみの『こきりこ節』の故郷でもある。


ここは、下梨に近い相倉集落。地区全体が国指定の史跡。

 下梨に戻り、食堂で山菜そばを食べてから、上梨地区へ。庄川沿いの国道をてくてく歩いた。バスの中でも感じたが、地元の車ばかりが行き交い、静かな道だった。天気も良いし、良い気分。
 上梨地区では、国指定重文の村上家を見学。1578(天正6)年の建築と言われている村上家住宅は、ひときわ重厚な合掌造りであり、内部は民俗資料館として開放されている。
 合掌造りは屋根が高く、何階建てにもなっているが、住居は主に一階部で、階上は養蚕などに使われていたという。

 その日の宿は、前もって上梨地区の民宿を予約していた。そこも合掌造りで、囲炉裏には、おき火が燃えていた。合掌造りでは、囲炉裏の煙は屋根裏へと流れるようになっているが、煙の防虫効果で木造わらぶきの建物が長持ちするようになっているという。
 山菜をふんだんに使った夕食が美味しく、ご飯がすすんだ。

 
(左)民宿の箸袋 (右)朝の上梨。右端は村上家。

 朝。朝食を済ませると、川沿いに上流に向かって歩いて行った。残雪の多い山里は静かで、前日に続き気持ちの良いハイキングとなった。


小原ダムの湖面。関西電力の水力発電所がある。


ここも国指定重文、菅沼集落。


西赤尾。五箇山最大級の合掌造り、岩瀬家住宅。国の重文。

 西赤尾で昼食。また山菜そばを注文。山菜がとにかく美味しい。
 昼食後、バスで白川郷へ。いくつもの橋で谷川を渡りながら、県境を越え、岐阜県へ・・・。
 白川郷も、合掌造りの集落として知られるが、周囲を山に囲まれながらもまとまった平地があり、土地は広く見える。ここでも、例によって資料館を見て回った。


ここも前もって予約してあった合掌民宿。
写真右端の部屋がその夜泊まったところ。


民宿の部屋から眺める庄川。


翌朝、高台の城跡から望む白川郷。

 白川郷は、合掌造りの集落と、それを取り囲む四季折々の自然の美しさから、広く知られている。 観光客も五箇山よりは多いようだった。

 昼、バスで白川郷を後にし、分水嶺を越え、長良川水系へ。美濃白鳥から長良川鉄道で美濃太田、JRで岐阜へ。
 岐阜から寝台特急はやぶさ号で九州へ帰った。
 雪の中で春を待つ山里を見てきた眼には、菜の花やレンゲがいっぱいに咲く九州の光景は、感動的なものに映った。


 旅から帰ったのち、五箇山と白川郷が世界遺産に登録された。当然だろう。それくらい素晴らしいところである。
 しかし・・・私は憂慮する。
 世界遺産登録後、観光客は一気に増えたが、そのために交通渋滞や、ゴミの問題が発生したという。
 また、集落の子供たちが遊んでいると、写真撮影のじゃまだとか言う理由で観光客が罵声を浴びせたり、公開されていない合掌造りの民家に無断で立ち入る者が現れたりと、トラブルも発生しているようだ。
 しかも、観光客の多くは日帰りで、潤うのは旅行業者だけ、という声も聞かれる。
 そして・・・五箇山で歩いて移動する途中、高速道路の予定地を示す標識を至るところで見た。名古屋と富山を結ぶ東海北陸自動車道が建設中なのである。
 開通の暁には、あの静かだった白川郷にもインターチェンジができる。観光客は増えるだろうが、地域の生活が乱され、自然が破壊されるのではないか・・・そう思うと心が痛む。

 まだ静かなうちに行っておいて良かったとも思う。

 
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