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40おやじの青春18切符一人旅 その5

平成17年3月7日(月)
 

旅の最終日の朝は5:50に起床、眠い目を擦っていると鐘の音が聞こえてくる。大きいぞ、近いぞ。
ホテルの窓を開けてみると隣はお寺だ。神聖な気持ちで朝を迎えることができた。


奥に見えるのが泊まったホテル

6:52中央本線甲府行きに乗り込み、諏訪湖を目指す。それにしても松本の朝は寒い、寒い。
でも、諏訪湖っていっても広いんだろうな〜、下諏訪、上諏訪どっちの駅で降りればいいんだろうか。
下諏訪到着。下車してみるか。何となく温泉ぽくない。下車を踏みとどまり、上諏訪へGO!!


松本駅舎の窓から見える山並み

手前の影は乗車した電車のもの

停車した駅に積もった雪、綺麗

上諏訪到着。
おっ、ホームに足湯がある。これは期待できるぞ。きっと温泉街がある。観光地である。景観地である。と、かってな一人連想ゲーム。

駅前には温泉が湧いていて、そこには何と金魚くんたちが気持ち良さそうに?泳いでいた。
指を入れると良い湯加減。贅沢三昧な金魚くんたちです。


朝湯につかる金魚くんたち

駅から徒歩5分で湖畔に着く。誰もいない静かな湖畔。遠くには南アルプス?が見える。
カメラを持って湖畔をプラプラしていると指先が寒さで痛い。
小学校卒業以来、手袋とマフラーを身に着けたことがないが、今日、今すぐ手袋が欲しいと心底感じた。


湖畔には蒸気が

月曜の朝の湖畔、優雅な人

真っ白な雪山

次の電車が来たらそれに乗って隣の茅野駅へ行こう。それまで駅中の足湯に入り、少し疲れた足を癒そう。
足湯には、お母さん方2名連れと銀婚式を迎えたであろう夫婦の計4名が気持ち良さそうに入浴していた。足だけですよ。けっこう気持ちいいですし、のんびり、ゆったりした感じで足だけではなく心も癒されます。


駅中の足湯

足湯から足をだす

銀婚式を迎えた父さん、早く出るぞと母さんを急かす。母さん、まだ10分もあるよとのんびりしているが重い足を泣く泣く足湯から出し、ホームへ足を向ける。父さんの方が正しいと思う。足を拭き、靴下、靴を履き、荷物を持ってホームへ行く。10分ぐらいかかりますからね。
そしてお母さん2名連れが出て、僕が出る。
お母さん2名連れ、下り電車が停車している向かいのホームを目指し、慌てて階段を登り、その足を速めるが列車は空しく出発進行。私、引き止めてませんから、足からず、嫌々、悪しからず。。
やっぱり銀婚式父さんは正しかった。あなたの足元にも及びません。


下り電車に乗り遅れたお母さん2人

耳を傾け出発進行

茅野駅到着。駅前は何とも寂しい。小学校5・6年生の時に来たのが最後だから、30年以上の歳月が流れている。記憶の引き出しを開けて探してもどこにも思い出が見当たらない。それほど印象に残りづらい駅前です。
頼岳寺は観光案内に出てました。徒歩50分。とりあえず駅に置いてあった観光地図を頼りに歩いて行ってみよう。
大雑把な地図を見ながら歩いて行くが、見知らぬ土地では距離感がつかめない。

30分程歩いたところで地元のおじいさんに道を尋ねる。
すぐそこが頼岳寺である。足を速める。入り口に差しかかり、坂道を登って境内へと向かっていく。


頼岳寺入り口

坂道を登っているからか、久しぶりに来た興奮か、鼓動がやや早くなる。
境内に入る。
懐かしい。
記憶の引き出しから小学生の頃、祖母と2人で一週間ほどここへ泊まった時の光景と行動が止めどなく溢れ出てくる。
広い境内を毎朝掃除したこと。
決まった時間に鐘をついたこと。
本堂で寝たこと。
座禅が上手に組めなかったこと。
お坊さんから怖い話を聞いたこと。
池でオニヤンマを採ったこと。
宿泊場所の玄関先の蟻地獄に蟻を落としたこと。

この鐘。この建物。この池。


境内と本堂が見える

軒にはツララが

この池でトンボ取り

決まった時間に突いた鐘

懐かしい

ここで祖母と泊まった

そして事務所の玄関を開けると天井に大きな鯉の木彫りが吊るしてあった。これも強烈なインパクトで僕の記憶を蘇らせた。あった、あった、これもあった。大きな鯉の木彫り。
法事を済ませた初老の夫婦と話しをする。
数年
前に大掛かりな改修工事を行ったとの事。本堂を持ち上げ、移動し、基礎工事を行った後、元の場所に戻してから屋根の改修工事。

この建物を移動するなんて凄いことですよね。その技術に驚愕です。
普段自分の写真は撮ってもらわないのですが、この時ばかりは本堂をバックに一枚記念に持ち帰りました。
来て良かった。
小学生の頃の記憶、そして数年前に亡くなった祖母の思い出が鮮明に蘇ってきた。
後ろ髪を引かれる思いで、頼岳寺を後にする。


巨大な鯉の木彫り

珍しく記念撮影

次はいつ来れるのか、さよなら頼岳寺

13kg.の荷物を持って往復1時間はやはりちょっとキツイ。体も汗ばむ。
冷えたビールが呑みたい。
茅野駅到着。コンビニでビールと真澄の冷酒を買う。コンビにを出てビールを一気に呑み干す。たまらん。
旅の最後の食事は信州蕎麦と思っていたが、美味そうな蕎麦屋どころか飲食店が見当たらない。
やむなく駅近の“ままや”という小料理屋(定食屋)?へ入る。
やっぱり地のもの。”季節の野菜定食”を注文。
ビールの空き缶を持って入ったので、ママさんが”これでもつまみにしなよ”、と黒豆を炒ったのを出してくれた。
クラッシック・ラガーを注文し、芳ばしい黒豆をツマミにビールを呑む。美味いな〜。


体にいーでよ、と言いながらテーブルへ持ってきてくれたそのお盆は小鉢の集合体。
ほうれん草のおひたし(奥左)、フキの煮物(奥中央)、野沢菜の煮物(奥右)、おからのマヨネーズ和え(中央)、馬のアキレス腱の煮物(その右隣)、甘いおたふく豆(おから前)、野沢菜の漬物(最前列)、ご飯、味噌汁。
どーです。これじゃ日本酒が呑みたくなりますよね。ねっ、ねっ。


黒豆とビール

野菜定食、呑まずにいられませんよ

日本酒がすすむ、佃煮キャンディーズ

持ち込みの真澄を呑むことを許してもらい、これらを肴に日本酒を呑む。たまりません。
旅の話をしていると、ままやのママさんが佃煮3点盛を出してくれた。
この地では昔よく食された蜂の子、イナゴ、わかさぎの佃煮キャンディーズである。

以上の肴があれば普通なら2時間五合はいけます。
当初計画の12:51は諦め、その次の13:37に乗ることに決め、これらを肴に酒を呑む。
楽しい時間は過ぎるのが早い。これ以上長居はできない。最後にママさんと記念撮影をして家路へと向かう。


旅の最後はトリスで

ウヰスキーにはこのてのツマミが合う

クロスした足が可愛かった

この光景も見納め

特急に追い抜かれる普通列車

次第に知っている駅名が出てくると気持ちが慌しくなる。
乗車している人も旅人ではなく、普通に生活している人たちが多くなる。
青梅から中央線東京行き特快へ乗る。もう、これは普段仕事でも使う電車です。
勤務地立川通過、そして新宿到着。
なんだかみんな疲れている。大人も子供も、男も女も。それは僕の心地よい肉体の疲れとは明らかに違い、ひどく疲れた表情をしている。普段、僕もこんな表情をしているのだろうか。
だから旅をして疲れを癒すのだろうか。


中央特快で新宿へ

登山の帰り?

何故か不安そうな表情

塾の帰りか、お疲れ様

皆さんお疲れ気味、月曜だから?

日も傾きかける

眠らない町、新宿

父に抱かれ眠る子供

サラリーマン、帰路につく

旅の最後は湘南新宿ライナー

疲れた手でつり革にしがみつく

新川崎到着、旅も終わる


17:48の湘南新宿ライナーで新川崎へ。
18:11今回の旅の終点、新川崎駅到着。キオスクは開いている、当然のように。


5日間使った青春18切符

付箋だらけのポケット時刻表

5日間の楽しい一人旅は終わったが、明日から新たなる旅が始まる。
長く長く厳しくも明るい未来への旅が。




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