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SFショート・ショート

唐突ですが、SFショート・ショートって面白いですよね。
え? 読んだことない?? 読んで下さい、面白いですよ。(笑)



SFショート・ショートにハマってしまった経緯。
 
ある日、ヒマだったので、本屋に行ったんです。たしか、新潮文庫の棚の前で、
「何かいい本はないかな〜」
と物色していて、京終の眼に、あるタイトルが飛び込みました。

「くたばれPTA」

手に取ってめくってみると、うすい本の中に、30篇近い作品が…
「お。厚くないし、たくさん話があるし、安くて面白そうじゃん(爆)」

…まあ、本との出会いなんてそんなものかも知れませんが。(違うって?)
そんなわけで、筒井康隆→星新一→小松左京→と来て、
現在、眉村卓にハマっている私です。
この辺の作家は、京終が勝手に名付けた名称で言うと、「古典SF作家」ということになりそうです。
文字どおり、たしかに古くて、時代感覚が合わなかったり、もう今では現実のものになってしまった空想もありますが、

「古いからこそ、面白い」
 

みたいなものが、そこにはあります。
そんなSFショート・ショートの、おすすめの作品を御紹介します。


おすすめショート・ショートご紹介
◎筒井康隆 編→
 
『くたばれPTA』
出版社:新潮文庫  初版年:昭和61年  価格:400円+税  篇数:24篇  対象:いやあ、ちょっとオトナ向きだなあ。
★解説★ 京終が初めて本格的に読んだ、ショート・ショート集です。筒井先生の作品は、ちょっと子どもには見せられないなあ、という作品が多いような気がしますが、(それでも面白いなら見せてしまうかもなあ、私の場合)現に昔は、「青少年に悪い影響を与えるざます」(笑)とPTAのオバチャマ達が、目くじら立てていた時代もあったらしい。そんな状況を打ち破るかのように発表された、この作品。
表題作は、文字どおり主人公を批判するオバチャマ達をさんざんにこき下ろした傑作。子どもが読んでもいいと思いますが、一部『20000トンの精液』とかいう作品があって、これはどうかな〜(笑)、という作品集。
『にぎやかな未来』
出版社:角川文庫  初版年:昭和47年  価格:460円+税  篇数:41篇  対象:だれでも
★解説★ これは京終イチオシのショート・ショート集。まず篇数が多い。これはオトク。そして、『到着』にはすごく驚かされる。何に驚くのかは、読んでからのお楽しみ。(笑)さらに、言わずと知れた『無人警察』は、教科書に掲載されたものの、テンカンにかんする記述に非難を受け、教科書から削除、筒井先生の断筆宣言のきっかけにもなった、話題作。さいごに、表題作『にぎやかな未来』のオチには、思わず「うまいっ! 座布団100枚!!」と叫んでしまいました。(笑)
『あるいは酒でいっぱいの海』
出版社:集英社文庫  初版年:1979年  価格:400円+税  篇数:31篇  対象:これなら子どもでもOKでしょ。
★解説★ 表紙に「初期ショート・ショート」と書かれてある。なんと今から20年前の作品。やっぱり「初期」だけあって、作品に筒井先生の初々しさ(?)が感じられます。その中でも『ケンタウルスの殺人』は、推理モノ+SFモノをうまくミックスさせた逸品。解決編が巻末に書かれているのが、またニクい演出。(笑)


◎星新一 編→
 
『ボッコちゃん』
出版社:新潮文庫  初版年:不明  価格:不明  篇数:不明  対象:星先生の作品は子ども向きも多いですね。
★解説★ ショート・ショートの帝王(←勝手に付けてみた)、星新一。本当に惜しい人を亡くしました…。とかなんとか言いながら、京終は星先生の作品はあまり読んでいないのです。ゴメンナサイ。この作品集も読んでいないのですが、表題作『ボッコちゃん』はあまりにも有名な作品ではないでしょうか。まさにショート・ショートの入門書的作品集。
『ようこそ地球さん』
出版社:新潮文庫  初版年:昭和47年  価格:514円+税  篇数:42篇  対象:だれでも
★解説★ 『ボッコちゃん』と並び、星先生の傑作の集大成。中でも傑作なのは、「資料の切り抜き」という実験的な型をとって話がすすめられる、『セキストラ』。これは発表当時、ものすごい話題を呼んだ作品だそうです。


◎小松左京 編→
 
『まぼろしの二十一世紀』
出版社:集英社文庫  初版年:昭和54年  価格:絶版  篇数:30篇  対象:だれでも
★解説★ 他のSFショート・ショート作家とくらべると、小松先生の作品というのは、「宇宙」とか「タイムマシン」とか「異星人」などの言葉がよく出て来て、いかにも「SFらしいSFだな」という感想が、京終の中にはあります。この作品集にも、そういったものが多くおさめられていますが、『さらば、貧乏神よ』といったような、むかしばなし的なショート・ショートなど、一風変わった作品もおさめられています。
『一生に一度の月』
出版社:集英社文庫  初版年:昭和54年  価格:絶版  篇数:36篇  対象:だれでも
★解説★ 小松先生も、星先生にはおよばないものの、かなり多くのショート・ショートを書かれていて、書いた本人も忘れているものが多いのだとか。他にも、ショート・ショート集はたくさん出されているのですが、京終からは、以上の2作品を御紹介させていただきます。それでも小松先生のショート・ショートに興味のある方、もっと読んでみたい方は、『小松左京ショートショート全集』(勁文社刊・1980円)をおすすめします。192篇あります(爆)。京終はだいぶ前に購入して、いまだに読み終わっておりません。
さて、本題の『一生に一度の月』ですが、作家・横田順彌氏との対談をはさんだ、5部構成になっています。個人的には、『イナバのシロウサギ10』の超ブラックさが好きです。


◎眉村卓 編→
 
『怪しい人びと』
出版社:新潮文庫  初版年:平成4年  価格:絶版?  篇数:32篇  対象:子どもには難しいかも(冗談)
★解説★ 眉村先生の作品は、最近読み出したんですが、その作品達の持つ意味不明さ(←いい意味での)というか、ミステリアスさ(←SFならば、ある種のミステリアスさがあるのは当然だが、そういったミステリアスさとはまた違うミステリアスさ…って、わけわからん)、うーん、もう言葉では言い表せない「変さ」があって、すごく魅力的なんです。とにかく。(笑)
この『怪しい人びと』は、全部の作品が、その「変さ」に満ちあふれています。初版年からすると、最近の作品のようですが、大書店でも見かけません(というか、眉村作品自体見かけない)。期間限定版だったんでしょうか? 一応「絶版」と書きましたが、ひょっとしたら在庫があるかも知れないので、本屋さんに聞いてみて下さい。
『一分間だけ』
出版社:角川文庫  初版年:昭和55年  価格:絶版  篇数:68篇  対象:けっこうジュブナイル(児童向け文学)っぽいので子ども向け
★解説★ この作品集、趣向がこらしてあって面白い。まず、すべての作品に「ア」から「ン」までの文字が順に振られています。もちろん濁点、半濁点の行も含みます。そして、その物語の主人公の名前の頭文字が、その割り当てられた文字なのだ! すごいだろう。(笑)
だから合わせて68音=篇。「ン」の物語の主人公の名前やいかに!(笑)
『奇妙な妻』
出版社:角川文庫  初版年:昭和53年  価格:絶版  篇数:21篇  対象:だれでも
★解説★ 『奇妙な妻』って、なんかいいタイトルですよね。なんかソソられる。(←失敬)この作品集も、前出の『怪しい人びと』並みに「変さ」があふれてていいんですよね。なんか作品ひとつひとつにぼかしというか、モヤがかかってて、そこがとても魅力的って、自分で言っててワケわかんないな。スイマセン。中でも『むかで』は、「人間、誰にでも心の中にむかでが棲んでるよな」って、考えさせられてしまう傑作です。
 
◎眉村卓 番外編→
『ねじれた町』
出版社:ハルキ文庫  初版年:1981年(復刊:1998年)  長篇作品  対象:たぶんジュブナイル系
★解説★ これはショート・ショートではありません。長篇SFです。実はこれ、京終が生まれて初めて読んだSFモノなのです。たしか、小学校高学年頃だったと思います。その当時の本は、もうどこかに無くしてしまったのですが、最近、ハルキ文庫から復刊されて、懐かしくなり、つい購入して読んでしまいました。台詞の端々とか、表現方法が古臭くて、かえって笑えます、くす。住人すべてが超能力者の町に引っ越して来た少年の物語。


 
いかがでしたか
ヘタクソな紹介でしたけれど、それでも、曲がりなりにも、なんとなくカンジがつかめていただけたでしょうか?
是非、読んでみて下さい、
 
って、紹介した作品のうち半分が「絶版」って、紹介した意味ないじゃ〜ん。
 
と、思われた方もいるかも知れません。
そうなんです。筒井康隆の作品や、星新一の作品は、どこの書店に行ってもよく見かけるのですが、
小松左京や、眉村卓の作品は、ほとんどが絶版になっていて、書店では手に入らなくなっているのです。
最近になって、ハルキ文庫が、小松左京や眉村卓の作品を、復刊させるようになって来ましたが、
あれもほとんどが長篇モノで、ショート・ショートモノはまだ見当たりません。

しかし、入手方法がないわけではありません。
お気づきの方ももういらっしゃると思いますが、その方法は、
 

古本屋で購入する
 
です。(笑)
でもそこまでして、手に入れようっていうのは、相当な物好きだよ、きっと。(苦笑)
 
ただ、ひょっとしたら、「なんかのついでに」といって買う方もいらっしゃるのではないかと思うので、
ひとつ真面目にアドバイスをしておきます。
 
古本屋というと、神保町の古書店街、みたいな、規模の大きいところなら確実にあるだろう、
と、思われるかも知れません。
しかし、この手の本というのは、そういう所には、意外にありません。
京終も神保町に何度も足を運び、そのことを痛感しました。
ああいう古書店街というのは、古文書や専門書といった、骨董品的価値のあるものや、高価なものを
扱っている店の方が多くて、そういった点では価値の低い、文庫本みたいなのは少ないのです。

では、どうするか。
案外、近所の古本屋に足を運んだ方が、意外な掘り出し物があります。
それから、最近増えて来ましたが、全国(地域)チェーンで、あっちこっちにある古本屋さん。
「ブックオフ」とか、「ブックセンターいとう」とか。
ああいうところは狙い目です。
 
お値段の方ですが、絶版だからといって高い、なんてことはなく、
安くて100円、どんなに高くても、せいぜい200円。
ね。安いでしょ。お金がないって、ある種のぜいたくですよね。(笑)


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