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 捨てなさい!(2001.06.09)

ぼくのだいすきな クラリネット
パパからもらった クラリネット
とっても大事にしてたのに こわれて出ない音がある

どうしよう(どうしよう) パパにはだまってよう
どうしよう(どうしよう) ……?(聞き取れず)

こわれたおんぼろクラリネット 捨てなさい 捨てなさい
いますぐおんぼろクラリネット 捨てなさい 捨てなさい

PA! PA! PA! PA! 捨てなさい 捨てなさい
PA! PA! PA! PA! 捨てなさい

そういわれても…

ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない
ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない

とっても大事にしてたのに こわれて出ない音がある

どうしよう(どうしよう) パパにはだまってよう
どうしよう(どうしよう) ……?(聞き取れず)

こわれたおんぼろクラリネット 捨てなさい 捨てなさい
いますぐおんぼろクラリネット 捨てなさい 捨てなさい

PA! PA! PA! PA! 捨てなさい 捨てなさい
PA! PA! PA! PA! 捨てなさい

そういわれても…

パキャマラド パキャマラド パキャマラド 捨てなさい!

ジョン・トラボタル『クラリネットこわしちゃった』より  


《参考》

ぼくの大すきな クラリネット
パパからもらった クラリネット
とっても大事に してたのに
こわれて出ない 音がある
どうしよう どうしよう
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオ
パンパンパン
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオパ

ドとレとミの音が出ない
ドとレとミの音が出ない
とっても大事に してたのに
こわれて出ない 音がある
どうしよう(コラ)
どうしよう(コラ)
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオ
パンパンパン
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオパ

ドとレとミとファとソと
ラとシの音が出ない
ドとレとミとファとソと
ラとシの音が出ない
パパも大事に してたのに
見つけられたら おこられる
どうしよう(オー)
どうしよう(オー)
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオ
パンパンパン
オ パキャマラド
パキャマラド パオパオパ

石井好子訳詞・フランス童謡『クラリネットをこわしちゃった』より   



 「ジョン・トラ『ボタル』」で、お尻にでっかい電飾を付けて腰をふりふりしているのが好き。一文字入れ換えただけであの発想にいってしまうのがなんともハッチポッチらしいではないですか。

 さて、《参考》として原曲「クラリネットをこわしちゃった」を上に掲げていますが、この歌、歌詞をよく眺めていると、クラリネットを壊してしまったことに対して始終「どうしよう」を繰り返しています。さらに「パパからもらっ」て所有権は自分になっているにもかかわらず、「見つけられたら おこられる」と、杞憂ともとれる余計な心配までして、実に優柔不断で判断留保の歌であると言えます。
 「ドとレとミとファとソとラとシの」全ての「音が出ない」全く使い物にならないクラリネットです。こんなものはこの後どうするべきか、すぐにでも判断はつきそうなものなのに、一切の結論を出さないで終わっているどころか、おまけに「オ パキャマラド パキャマラド パオパオ パンパンパン オ パキャマラド パキャマラド パオパオパ」などと謎めいた呪文のような言葉まで口にして「クラリネットが壊れてしまった」という事実から目をそらせようとしている。これはある意味実に危険な思想であります。

 その点ジョン・トラボタルの「クラリネットこわしちゃった」は、起きてしまった事実に対して「こわれたおんぼろクラリネット 捨てなさい 捨てなさい」という軽快さとあのノリがなんとも決断力の強さ、早さを象徴しています。
 この場合必ずしも「捨てる」ことが正しい判断どうかはわかりませんが、何よりも大切なのは発生してしまった事物に対して、結論を留保することなく明確に決断することの大切さ、そういうことではないでしょうか。(こんなまともな終わりかたするはずじゃなかったんだけど…)

* * *

ごんべさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
ごんべさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
ごんべさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
そこであわてて 湿布した

赤ちゃんがヘクション 風邪ひいてヘクション かわいそうじゃないの
赤ちゃんがヘクション 鼻かんでヘクション これじゃかわいそう

表から帰ったら ウガイを忘れず
手を洗え 何でも食べろ
そうすりゃ風邪ひかない

ロッド・スチュワーデス『ごんべさんの赤ちゃん』より    


 本文が思いのほか短かったのでおまけ。あの博多仁和加みたい仮面は何なんだ。あとサッカーボールがデカ過ぎ。
 この場合、原曲は上に掲げた引用の初めから4行目までですが、いくら慌てていたからといって、風邪をひいた赤ちゃんに外用薬である湿布を張っているようでは、「ごんべさん」の親としての資質が問われることになりかねません。
 この点においても、ロッド・スチュワーデスが付け加えている「表から帰ったら ウガイを忘れず 手を洗え 何でも食べろ そうすりゃ風邪ひかない」の方が的を得た正しい判断であることが笑えます。

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