このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





そのⅡ   玉里(徒歩)東田中





 玉里は歴史の浅い交換駅だ。構内の造作は簡素で、無駄な部分がほとんどない。線路に並行して国道 355号が走っており、住宅や工場などの開発は一通り進んでいる。石岡方面のホームには利用者が数名列車を待っている。駅と国道の間には駐車場があるが、これはP&Rとは無関係のようだ。

 東田中に向けて歩いてみる。国道沿いにはスナックなどが軒を連ねており、看板に添えられたタイ文字が目立つ。以てこのあたりの客層(人口構成)がうかがえる。工場勤めの出稼ぎが多いという傍証であろう。日本社会は確かに景気を回復したのかもしれないけれど、その恩恵が日本人に回っているわけではない一断面といえる。誤解を避けるためもう一言付け加えれば、外国人労働者の賃金は相対的に低水準だといわれている点についても注意しなければならない。「景気回復」が賃金水準に反映・還元されていないことは今や常識に属する。さまざまな断面の方々が幸福を実感できない「景気回復」とは、いったいなんだろう。以上、余談である。

 踏切の警報音が聞こえてくる。常陸小川行のキハ601 である。カメラを構える暇もなく、軽快に通過していく。本当はこれに乗るつもりだったのに、ゆっくりしすぎた。

KR-505
東田中−玉里間を行くKR-505


 線路を渡って運動公園のなかを歩いてみる。線路沿いに立派な桜が並んでおり、花見の頃はさぞや盛観であろう。今年は暖冬で開花が早まる可能性が高く、ひょっとすると鹿島鉄道の廃止に桜が間に合うかもしれない。石岡行KR-505が通過していく。

 東田中は石岡商高の最寄にある、一面一線の無人駅だ。石岡行キハ601 の写真を撮り、駅至近の甘味処で喫茶を所望するも、まだ開店していなかった。主人曰く、高校生の下校にあわせて営業しているとの由。もっともな営業姿勢であるが、鹿島鉄道廃止後に客足が絶えることはまず確実で、先行きが妙に気になるところではある。

 ホームから線路を見渡すと、黒光りする油染みが目にとまる。エンジンからの油漏れが蓄積したものに相違なく、以て車両の整備状況あるいは老朽劣化の度合を推し量ることができる。

東田中駅
東田中駅構内の立派すぎる油染み





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