このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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京阪中之島線の秘めたる大志
━━補遺 御堂筋の歩行者流動━━
■御堂筋の歩行者流動を実測する
御堂筋の歩行者流動について、定性的なことばかり記しても意味がないので、実測してみた。その際の状況は以下のとおり。
実測日:ある水曜日
天候 :晴
場所 :御堂筋日銀前
条件 :御堂筋西側の歩道のみ計測/ 南→北方向の歩行者のみ計測/自転車略/こども略
その結果は、以下のとおりである。
計測開始時刻 | 人数 | 計測終了時刻 |
17:39:25 | 85 | 17:40:16 |
17:40:16 | 114 | 17:42:26 |
17:42:26 | 150 | 17:45:25 |
17:45:25 | 20 | 17:46:26 |
17:46:26 | 133 | 17:47:50 |
17:47:50 | 120 | 17:50:20 |
17:50:20 | 48 | 17:53:00 |
17:53:00 | 136 | 17:55:14 |
17:55:14 | 37 | 17:56:54 |
17:56:54 | 113 | 17:58:00 |
17:58:00 | 133 | 18:00:27 |
18:00:27 | 14 | 18:02:20 |
18:02:20 | 158 | 18:03:00 |
18:03:00 | 28 | 18:04:22 |
18:04:22 | 118 | 18:05:25 |
18:05:25 | 147 | 18:08:00 |
18:08:00 | 23 | 18:08:30 |
18:08:30 | 122 | 18:10:24 |
18:10:24 | 167 | 18:13:00 |
18:13:00 | 164 | 18:15:24 |
18:15:24 | 131 | 18:17:46 |
18:17:46 | 144 | 18:20:29 |
17:39:25 | 2,305 | 18:20:29 |
これはもはや驚異的な数字というしかない。反対側の歩道にはおよそ2〜3割の歩行者がいたことが見てとれ、また四つ橋筋にも実測した歩道と同程度(ないしやや少ない数)の歩行者がいたことも目撃している。
41分の間に 2,305名という実測値から、ピーク90分程度、ピーク前後の歩行者数ゼロと仮定すると、どれほど少なく見積もっても 6,000名程度の歩行者数がいることがわかる。条件設定次第では10,000名に届く可能性すらある。実測した場所からして、歩行者の大半は、土佐堀川南岸から梅田(JR大阪駅)に向かう方々であるはずだ。
参考までにいえば、地下鉄の利用者数(本町・淀屋橋・肥後橋→(西)梅田)は以下のとおりである(参考文献(10))。
表 本町・淀屋橋・肥後橋発→(西)梅田着の地下鉄利用者数

本町発の利用者を加え、さらに本町→淀屋橋・肥後橋の利用者数をも数えているため、やや過大推計となっているが、本稿では歩行者数に対する母集団の大きさを知りたいので、この際あまり問題にならないと考えられる。
さて、本町・淀屋橋・肥後橋から(西)梅田まで歩く歩行者数は最小で 6,000名と実測・推計されている。これに対して、夕ラッシュ時に同区間を乗車する地下鉄利用者数は約50,000名と考えられる。 1km以上の区間だというのに、歩行者のシェアが10%を超えるというのは、かなり驚異的な数字である。本町発の地下鉄利用者数を控除すれば、歩行者のシェアは倍増する。大阪の勤め人は実によく歩く、というべきであろう。
勿論、歩行者のうち一定比率で阪急・阪神の利用者が存在するとしても、JR利用者が相当数を占めると考えるのが自然である。JRの絶対的な高速性は、特に昭和62(1987)年以降、私鉄に対し絶大な競争力として顕在化した。時あたかもバブル経済という追い風もあり、居住地の外延化に寄与し、結果として都市構造にまで変化をもたらした。御堂筋・四つ橋の歩行者数の多さは大阪におけるその一断面、とみなしては飛躍にすぎるだろうか。
ともあれ、現状が以上の如しという事実は確かに存在するわけだ。即ち、京阪が御堂筋・四つ橋を通う利用者の流れを堰き止め、沿線に居住させしめ、持続安定的な利用者数の伸びを確保したいと考えている……、との忖度は状況証拠から無理なく類推できる範囲のうちと思われる。中之島線がその一環であることもまた、同様に確からしいといえるのではあるまいか。
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