日本で最もすぐれた路面電車はどこか、と問われた場合、あなたはどこを挙げるだろうか。

　　　連接車を大量投入し、鉄道線との相互直通運転を充実させている広島電鉄か。
　　　専用軌道の比率が高く、最も安定した輸送体制を敷く東京都電か。
　　　環状線構想が具体化しつつある岡山電軌か。
　　　堅実なネットワークと頻繁運転を誇る長崎電軌か。

　筆者はこのいずれでもなく、熊本市電を挙げたい。なぜなら、熊本市電には最も大きな潜在力・可能性が秘められていると思えるからだ。天賦のロケーションを最大に活かせば日本で最もすぐれた路面電車になりえるし、また、路面電車のままで機能と能力を十全に発揮できそうにも見える。

　その根拠と、将来への展望について、書き進めてみたい。

日本初の超低床電車と熊本城。

初訪問　　：平成10（1998）年春

再訪問　　：平成11（1999）年秋

本稿の執筆：平成12（2000）年夏

本稿の執筆にあたっては参考文献を用いず、独自調査によった。