このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


Q&Aコーナー

皆さんからのご質問やご意見に一問一答の形でお答えします。


Part 1. 天洋丸クラス に関するQ&A

首記に関して、洞澤 宏樹氏より掲示板にご質問をお寄せいただきましたので、当ページにて回答します。以下、Qは洞澤氏のご質問、Aは髙木の回答を示します。

Q.1
艦船史のページに

往年の豪華客船「天洋丸」クラス
※天洋丸・地洋丸・春洋丸の3隻は、明治から戦前までの期間で唯一、当時の世界水準に達した日本客船です。

とお書きになっておりますが当時の世界的水準とはどのような水準なのでしょうか。

A.1
まず、下記要目をご覧ください。

英国キュナード・ライン ルシタニア
1907.8.26竣工 31,550総トン 全長239.9m 幅26.7m 主缶石炭専焼 主機タービン4基4軸 76,000軸馬力 26.35ノット 船客定員一等563名 二等464名 三等1,138名。
同 モーレタニア
1907.11.7竣工 31,938総トン 全長240.8m 幅26.8m 主缶石炭専焼 主機タービン4基4軸 78,000軸馬力 26.75ノット 船客定員一等560名 二等475名 三等1,300名。
英国ホワイト・スター・ライン オリンピック
1911.3竣工 45,324総トン 全長268.8m 幅28.2m 主缶石炭専焼 主機レシプロ2基+排気タービン1基 3軸 51,000軸馬力 22ノット 船客定員一等1,054名 二等510名 三等1,020名。
姉妹船タイタニックは1912年の竣工。

東洋汽船 天洋丸
1908.4.22竣工 13,454総トン 全長175.3m 幅19.2m 主缶炭油混焼 主機タービン3基3軸 19,000軸馬力 20.6ノット 船客定員一等260名 二等47名 三等816名。
同 地洋丸
1908.11.21竣工 13,426総トン 全長175.3m 幅19.2m 主缶炭油混焼 主機タービン3基3軸 19,000軸馬力 20.6ノット 船客定員一等249名 二等73名 三等600名。
同 春洋丸
1911.8.15竣工 13,377総トン 全長175.3m 幅19.2m 主缶石炭専焼 主機タービン3基3軸 19,000軸馬力 20.2ノット 船客定員一等198名 二等70名 三等620名。

補足説明しますと、航洋客船へのタービン主機の搭載は、

英国キュナード・ライン カルマニア
1905竣工 19,524総トン 全長205.7m 幅21.9m 主缶石炭専焼 主機タービン3基3軸 18ノット 船客定員一等300名 二等350名 三等900名 スティアレジ1,100名。

が世界初で、姉妹船カロニアは4段膨張レシプロ2基2軸でした。
その次が上記のルシタニアとモーレタニアの2隻です。
天洋丸と地洋丸はルシタニアとモーレタニアの竣工前から主機をタービンと決定、主缶に至っては当時英国の一部軍艦のみであった炭油混焼式を率先採用するという世界に先んじた計画で、実際の主機は英国からの輸入に仰いだ(春洋丸は三菱製)ものの、先見性と英断は真に賞賛に値するものであったと言えるでしょう。


Q.2
逆に同じページの浅間丸や秩父丸はどの点で劣っていたのでしょうか?
特に後者は年代的にも合致している日本近代蒸気機関車の後進性と同列に論じられるようなものか、興味が湧きます。

A.2
下記要目をご覧ください。

独国ノルトドイッチェ・ロイド ブレーメン
1929.6.24竣工 51,656総トン 全長286.0m 主缶重油専焼 主機タービン4基4軸 135,000軸馬力 27.83ノット 船客定員一等800名 二等500名 ツーリスト300名 三等600名。
同 オイローパ
1930.2.22竣工 49,746総トン 全長285.3m 主缶重油専焼 主機タービン4基4軸 130,000軸馬力 27.91ット 船客定員一等687名 二等524名 ツーリスト306名 三等507名。

日本郵船 浅間丸
1929.9.15竣工 16,947総トン 全長178.0m 幅22.0m 主機ディーゼル4基2軸 16,000馬力 20.7ノット 船客定員一等239名 二等96名 三等504名。
同 龍田丸
1930.3.15竣工 20.9ノット、その他の要目は上記に同じ。
同 秩父丸
1930.3.10竣工 17,498総トン 全長178.0m 幅22.6m 主機ディーゼル2基2軸 15,500軸馬力 20.7ノット 船客定員一等243名 二等95名 三等500名。

浅間丸級の定員が天洋丸級から減っているのは居住性改善のためでしょうが、フネとしての性能ocean-going abilityはおよそ四半世紀経っているのにさほど向上してないようにも見え、世界水準の向上の度合に比べて相対的に落ち込んでいるのは残念です。


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