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独逸軍艦 機関部データ集

第3章 主機(レシプロ機関)



戦艦 オルデンブルクSMS Ordenburg。ドイツ戦艦で最後にレシプロ主機を搭載したヘルゴラント級の1艦。


3-1.基本仕様


3-1-1. 戦艦

NameQdAPeRvdsNaVp
HILHIL
Kaiser Friedrich III13,000312.466.14880138021809501203.8
Kaiser Karl
der Grosse
13,000312.585.978101300140014009501203.8
Kaiser Barbarossa13,000312.636.009001460156015609501203.8
Wittelsbach14,000312.355.8790013802180950
Braunschweig16,000312.455.93920144022401000
Hannover20,000312.455.93920144022401000
Westfalen22,00031
Helgoland28,000312.255.0810671600170017001220
Thueringen12.345.3410401590170017001220

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
Qd: 計画出力 [PS]、指示馬力PSiを示す
A: 主機数
Pe: 主機初圧力 [atu, 1atu = 1.03kg/cm2]
Rv: シリンダ容積比、H: 高圧シリンダを1とし、I: 中圧シリンダ、L: 低圧シリンダを示す
d: シリンダ内径 [mm]、低圧シリンダ2基は4気筒3段膨張を示す
s: シリンダ行程 [mm]
Na: クランク軸回転数 [rpm]
Vp: ピストン速度 [m/s]

<解説>
この時代の舶用レシプロ主機は復水式の複式(3段)膨張で、主機初圧Pe・膨張段数Es・シリンダ容積比Rvの目安は次表のようになっています。

Pe
(atu)
EsRv
HIL
10.5312.245
14.0312.356
17.5312.657

各艦の主機初圧力は不明ですが、円缶搭載艦はボイラ使用圧と同一ないし微減、水管缶搭載艦はボイラ使用圧の90%前後と考えられます。上表から見ると、水管缶搭載のド級艦(ボイラ使用圧16atu)ですら13.5atu前後に留めていた可能性が有ります。

ピストン速度は、クランク軸が最大回転数のとき5.0m/sを超えないよう、シリンダ行程が決められます。例えば、クランク軸回転数が120rpm (2rps) でシリンダ行程が1000mm の場合、ピストン速度は4.0m/sで上記以下に収まります。ドイツ戦艦は主機の小型化による防禦甲板の位置低下、巡航時の中央1軸または両翼2軸のみの運転による燃費節減、被害時のリスク分散などのため、同時代の日英戦艦が2軸推進であったのに対して3軸推進としており、シリンダ行程もそれに対応して1割前後小さくなっています。

弁装置は、独艦だけあって、英艦で普遍的な複偏心輪のスティヴンソン式リンク・モーションは少なく、単偏心輪のラジアル・ギア系を好んでいました。例を挙げると、ヴィッテルスバッハではマーシャル・ブレム式、プロイセン(ブラウンシュヴァイク級)ではクルーク式としていました。クルーク式はコッペル製の小型蒸気機関車に広く用いられていました。ラジアル・ギア系はリンク・モーションに比べ、発熱しやすい偏心輪を半減できるとともに、弁室をシリンダー側面に配列し、機関全長を短縮できる利点があります。


3-1-2. 大型巡洋艦

NameQdAPeRvdsNaVp
HILHIL
Kaiserin Augusta12,000312.496.4085013402150960
Victoria Louise10,000312.386.52720111013001300750
Hertha12.535.05730116011601160800
Vineta12.365.53800123013301330750
Fuerst Bismarck13,000312.415.799401460160016008601183.38
Prinz Heinrich15,000312.235.918901330153015309501284.06
Prinz Adalbert16,200312.485.88920145022301000
Friedrich Carl17,000321801000

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
Qd: 計画出力 [PS]、指示馬力PSiを示す
A: 主機数
Pe: 主機初圧力 [atu, 1atu = 1.03kg/cm2]
Rv: シリンダ容積比、H: 高圧シリンダを1とし、I: 中圧シリンダ、L: 低圧シリンダを示す
d: シリンダ内径 [mm]、低圧シリンダ2基は4気筒3段膨張を示す
s: シリンダ行程 [mm]
Na: クランク軸回転数 [rpm]
Vp: ピストン速度 [m/s]

<解説>
ドイツ大型巡洋艦も戦艦と同様に3軸推進としており、シリンダ行程も同時代の日英大型巡洋艦に対して2割前後小さくなっています。


3-1-3. 小型巡洋艦

NameQdAPeRvdsNaVp
HILHIL
Nymphe8,000212.105.51780113012951295720
Frauenlop8,000212.315.5479012001860700
Hamburg10,000212.445.6687013602070780
Koenigsberg13,200212.385.4192014202140780
Emden13,5002

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
Qd: 計画出力 [PS]、指示馬力PSiを示す
A: 主機数
Pe: 主機初圧力 [atu, 1atu = 1.03kg/cm2]
Rv: シリンダ容積比、H: 高圧シリンダを1とし、I: 中圧シリンダ、L: 低圧シリンダを示す
d: シリンダ内径 [mm]、低圧シリンダ2基は4気筒3段膨張を示す
s: シリンダ行程 [mm]
Na: クランク軸回転数 [rpm]
Vp: ピストン速度 [m/s]


3-1-4. 駆逐艦

<工事中>


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