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明治・大正期
日本軍艦 機関部データ集

第4章 公試成績



巡洋戦艦 霧島。全力公試中の状況。


4-1.排水量・速・出力


4-1-1. 戦艦

NameDDtVdVtNdNtQdQtWmQt/Wm
Royal Oak14,15017.518.2711,00011,608
富士12,45018.2518.5120120.313,50014,18011.4
Majestic14,89017.517.910010612,00012,0971,3568.9
Goliath13,15018.2518.410813,50013,918
敷島14,85015,18118.018.59120118.814,50015,1451,24312.2
初瀬15,00019.2122.416,118
Formidable14,48018.018.210815,00015,5111,47510.5
朝日15,20015,24018.018.30108108.315,00016,3351,52010.7
三笠15,14015,12018.018.54120124.515,00016,4311,39211.9
King Edward VII15,63018.519.0120116.518,00018,1381,8609.8
香取15,95015,97518.520.22120125.416,32017,2111,59111.1
鹿島16,40016,48618.519.242120122.715,60017,0661,54511.1
Lord Nelson16,09015,00018.018.7125125.216,75017,4451,72010.1
薩摩19,20019,38218.2519.129120125.817,00018,4251,70010.8
Dreadnought18,11021.021.6320337.323,00027,0182,02013.4
安芸19,80020.020.21255260.7621,60028,7411,93614.8
河内20,80020,82320.021.524524525,00030,3991,83816.5
攝津21,44327,3001,89914.4
Orion22,50021.021.04532035827,00030,1122,42012.4
扶桑29,33030,66223.023.0280287.948,00046,3133,28414.1
山城30,57723.301292.447,7313,31314.4
伊勢29,90032,06224.023.638290315.256,00056,5013,33716.9
日向31,07324.083300321.563,2113,35118.9
Barham (overload)29,15032,25225.023.927529375,00070,7883,95017.9
Malaya (overload)32,97623.528075,3323,95019.1
長門32,72033,75926.526.443230234.5780,00085,4783,57723.9
陸奥33,75026.728236.5887,489
加賀(空母)26,90033,39627.526,669210208.4391,00089,2083,61024.7

Name: 艦名
D: 常備排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力ihp、タービン機関は軸馬力shpを示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]

<解説>
周知のように、富士から鹿島までは石炭専焼缶・レシプロ機関、薩摩は炭油混焼缶・レシプロ機関、安芸から伊勢級までが炭油混焼缶・直結タービン(伊勢級のみ巡航タービンを歯車減速装置により主タービンに結合したパーシャル・ギヤード・タービン)、長門級以降が重油専焼缶(一部炭油混焼缶)・オール・ギヤード・タービンです。
機関部重量当り最大出力を見ると、鹿島以前は約10〜12hp/Tでほぼ一定ですが、安芸ではタービン機関の採用により約14hp/Tとなり、伊勢級では軽量の艦本式缶の採用により16hp/Tを超え、さらに長門級では重油専焼缶とオール・ギヤード・タービンの採用によって約21hp/Tと急速にステップアップしているのが判ります。

表中、ドレッドノートの数値は1906年10月9日の標柱間全力公試(4往復)におけるもので、同日の8時間連続公試では平均21.25kt、328.6rpm、24,712shpを記録しています。


4-1-2. 装甲巡洋艦/巡洋戦艦

NameDDtVdVtNdNtQdQtWmQt/Wm
浅間9,7009,71421.522.07135154.518,00018,2271,42512.8
常磐9,74723.09157.920,55614.4
出雲9,7509,73320.7522.04155161.314,50015,7391,12013.7
磐手9,75021.74160.616,07814.4
八雲9,69520.521.01140138.715,50017,1951,32513.4
吾妻9,3269,11820.012516,76516,3801,16514.1
Giuseppe Garibaldi7,3507,35920.019.7106106.714,00014,713
日進7,57820.020.210610713,50014,692
春日20.110614,944
筑波13,75013,39620.521.01150147.720,50023,2602,10311.1
生駒21.7522,6702,10410.8
Invincible17,42017,40025.026.64275295.241,00046,500
Inflexible17,29026.48291.346,9473,04715.4
Indomitable17,41017,43526.129647,8793,16615.1
鞍馬14,50014,60721.2520.8150150.622,50023,0811,88012.3
伊吹14,85022.020.867
21.161
255252
265
21,60027,353
28,977
1,90014.4
15.3
Indefatigable18,50018,75025.026.89275315.343,00055,8803,59115.6
New Zealand25.026.3930044,00049,048
Australia18,75026.89308.655,841
Lion26,27026,69027.027.6227527970,00076,1215,19014.6
Princess Royal26,71028.5284.878,8034,97315.8
Queen Mary27,00027,18027.528.17275284.375,00083,0035,31015.6
金剛26,33027,58027.527.537290300.675,00078,2754,46517.5
比叡27,39027.724295.976,1274,46817.0
霧島27,49927.5430079,6794,44417.9
榛名27,59827.7829580,4774,37618.4
Tiger
do. (overload)
28,43028,990
28,790
28.0
30.0
28.38
29.07
275267.2
278.4
85,000
108,000
91,103
104,635
5,63016.2
18.5
Renown27,94727,90031.532.58275281.6112,000126,3005,66022.3
Repulse27,33329,90031.73274.7118,9135,66021.0
Hood41,20042,20031.032.07210207144,000151,2805,30028.5
赤城(空母)26,90034,36431.032.15210211.8131,200133,7894,49629.8

Name: 艦名
D: 常備排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力ihp、タービン機関は軸馬力shpを示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]

<解説>
こちらも周知のように、浅間級から筑波までは石炭専焼缶・レシプロ機関、生駒・鞍馬は炭油混焼缶・レシプロ機関、伊吹から金剛級までが炭油混焼缶・直結タービン、天城級以降が重油専焼缶(一部炭油混焼缶)・オール・ギヤード・タービンです。
機関部重量当り最大出力を見ると、生駒以前 (約10〜14hp/T) から金剛級 (17hp/T以上) へのステップアップが顕著ですが、これも戦艦と同様、タービン機関とヤーロー式または艦本式缶の採用によるものです。

表中、伊吹の上段は1909年8月12日の初期状態、下段はタービンノズル・復水器・推進器を改良した1910年6月23日の数値を示します。宮原缶の力量には十分余裕が有ったものの、復水器がメーカー契約値の21,600shpに対して余裕が無く、速力22ノットを発揮するに至らなかったとされています。しかし、表中に見るように実際には27,000shp以上を発揮していますので、この説明は不可解です。(伊吹はのちに最大回転数270rpm、最大出力27,000shpに改めています。)

金剛級は、計画速力27.5ノットの達成には公称出力を12,000shp以上オーバーする必要がありました。新造公試では、各艦とも8/10出力(25〜26ノット)で60,000shp程度を発揮したことより、10/10全力は75,000shpであったと推定されます。同様に、戦艦扶桑級は48,000shp、同伊勢級は56,000shpが10/10全力で、いずれも意図的に公表出力を控え目にしていたようです。


4-1-3. 防禦巡洋艦/軽巡洋艦

NameDDtVdVtNdNtQdQtWmQt/Wm
和泉2,92018.05,500
浪速3,6503,61918.018.70122121.37,5007,161
千代田2,40019.019.50206205.05,6005,675
松島4,2174,27816.016.7781051055,3266,42958311.0
秋津洲3,10019.01541548,4008,51668512.4
須磨2,65720.01708,384
明石2,7562,94219.519.53150151.17,8907,3968448.8
吉野4,1504,22522.523.031165163.015,50015,819
高砂4,16022.522.9154.315,50013,1431,12011.7
笠置4,90022.522.75165160.817,00013,4921,23011.0
千歳4,76022.522.56153152.915,50012,7411,2849.9
新高3,3663,45120.021.32185178.19,4008,22872911.3
音羽3,0002,99721.021.11200193.510,0008,47777610.9
利根4,1004,10323.023.30160166.715,00015,406
筑摩4,9504,99126.026.8334022,50024,940
矢矧4,99827.1446529,536
平戸4,97026.7834026,149
天龍3,2303,53033.034.206400440.0351,00059,84498061.1
龍田3,43532.765432.8158,69098059.9
球磨5,1005,45136.034.266380383.590,00091,229
多摩5,60335.514384.991,377
北上5,49935.350382.491,167
木曽5,58034.430380.589,489
名取(長良級)5,1705,53236.034.9490,00091,100

Name: 艦名
D: 常備排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力ihp、タービン機関は軸馬力shpを示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]

<解説>
こちらはやや古いタイプの防禦巡洋艦から初期の軽巡洋艦までを含んでいます。主機も初期のものは2気筒横置2段膨張、または3気筒横置3段膨張のレシプロ機関が採用されました。吉野から利根までは4気筒直立3段膨張機関が定着しましたが、筑摩級以降は主機がタービン機関となり、イ号艦本式混焼缶の採用とあいまって、機関出力を大幅に増大しています。
機関部重量当り最大出力を見ると、レシプロ機関の諸艦では約9〜12hp/Tで同時代の戦艦と同程度ですが、タービン機関搭載の諸艦は重量関係の詳細数値が不明のものが多く残念です。天龍級はむしろ大型フロティラ・リーダーのコンセプトを有しており、60hp/T以上と同時期の駆逐艦の数値に迫るものとなっています。


4-1-4. 駆逐艦

NameDDtVdVtNdNtQdQtWmQt/Wm
Desperate
(30-knotter)
31027630.030.4283905,7006,06912050.5
東雲27528630.030.32390379.05,4005,273
薄雲(東雲級)27930.6389.55,614125.444.8
30530731.031.19390411.86,0006,008
曙(雷級)3115,678144.639.3
朧(雷級)31131.13905,770138.542.2
36333031.031.13904046,5006,420154.241.6
白雲37333831.031.13903907,0007,430156.747.4
吹雪(春雨級)37539129.028.53803776,0006,571163.340.2
潮(神風級)37537529.028.63803816,0006,335
浦波(神風級)6,618
Afridi (Tribal)85584533.033.25474816,50021,320403.052.9
海風1,03033.033.0370022,50027,088
山風34.61780.728,921
53030.03909,50010,975
浦風81095530.028.022,000
59566530.029.7390404.49,50011,811260.345.3
天津風1,1051.19234.035.096750793.227,00029,821472.063.3
時津風
(天津風級)
1,21735.559814.233,014
浜風
(天津風級)
1.18135.782866.434,704
磯風
(天津風級)
1,15635.577783.131,152
75582831.532.135700734.516,70018,145334.354.2
檜(桃級)83430.896743.418,277
樫(桃級)83031.552737.018,139
柳(桃級)85931.177737.718,376
楢(楢級)77085231.532.928730742.017,50018,797
谷風1,18037.538.747400419.634,00038,05354370.1
楡(樅級)77089336.034.3540021,50023,165
若竹82035.5
34.0
35.4
34,22
-
400
411.5
401.2
-
21,500
23,527
21,474
350.567.1
島風(峯風級)1,2151,37939.040.69840044338,50040,652
沢風(峯風級)1,38638.127413.6842,742
灘風(峯風級)1,35839.8140,511
神風(2代)1,2701,44337.2538.67410
400
410
400
42,500
38,500
40,312
39,166

Name: 艦名
D: 常備排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力ihp、タービン機関は軸馬力shpを示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]

<解説>
駆逐艦の機関部重量当り最大出力は非常に大きく、レシプロ機関の諸艦でも約36〜47hp/Tと、同時代の戦艦の約4倍となっています。タービン機関搭載の諸艦はデータが少ないのが残念ですが、50〜70hp/T程度と推定されます。

表中、若竹級と神風級(2代)の上段は密閉排気全力、下段は開放排気全力での数値を示します。密閉排気とは、補機の排気を復水器に落とさず、特殊な弁で通常より高く(2kg/cm2前後)保ち、これを主機の低圧段落に導いて作動させることで、機関出力が増大する反面、排気圧力の増大によって蒸気の漏洩が多くなり、水消費量も増大しますので、一時的なブースト機能と考えられます。


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