このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

失われた鉄路



平成18年11月中旬、新聞で「銚子電鉄 電車を検査する費用が無いのでぬれ煎餅を買ってください」との記事を読む。ただでさえ赤字の上に前社長が回転資金を横領して電車の検査費用が捻出できないばかりか、追い討ちを掛けるように関東運輸局の検査で枕木の腐りや踏切等の保安設備の改善の命令を受けたとか。

もともと鉄道の赤字補填のために副業としてぬれ煎餅等を10年近く前から製造・販売しており、今では鉄道収入の倍の売上を副業で上げているのだが、今回は設備の改善指示もあって相当な資金がいるようである。なお、資金の調達が出来なければ検査期間切れによる稼動車両の減少や、設備の不良による営業停止〜廃止の可能性も当然覚悟しなければならない。

鉄道の存続をかけて「ぬれ煎餅を買ってください」キャンペーンを打った訳だが、今度は注文が殺到しすぎて11月29日からオンライン注文を停止している。また、11月23日にはデハ701の定期検査の為の資金の目処が立ち整備に取り掛かり始めたが、枕木やレール・保安設備等の改善の為には副業だけでは足りずに、枕木オーナーやサポーター制度による資金集めも検討しているようである。動向に目が離せない銚子電気鉄道であるが、応援もかねて小雨交じりの中を見に行ってみた。

JR総武本線・成田線 銚子駅のホームの端のオランダ風車を模した改札を抜けると、銚子電鉄である。路線長は6.4kmで、銚子〜外川 10駅を19分で結ぶ。ダイヤは約30分に1本の割合で、全線単線で笠上黒生で交換、ほとんど単行で運行されている。

銚子駅で出迎えてくれたデハ801  伊予鉄道からの移籍車両   外川側は貫通扉を埋めた跡があり、顔が前後で異なる
昭和25年製でかなりのお年寄りだが、銚子電鉄一の大型車両でありデハ1000形2両と共に主力として頑張っている

デハ801 尾灯も外付けでいい雰囲気                仲ノ町の側線に停まるデハ801(左側)と本線を行くデハ1002   

デハ801の運転台と車掌 基本的にはワンマン運転            デハ801の側灯とサボ                             

デハ1001+デハ801の2連  デハ1000形2両は営団地下鉄   本銚子駅でのデハ1002 
からの移籍車で銀座線で活躍した元2000形

デハ1000形は入線にあたり両運転台化や改軌・第三軌条集電からパンタグラフ集電への変更等の大改造を行う

デハ1000形の車内の雰囲気は営団地下鉄時代のまま       車内の非常灯に営団地下鉄時代の名残を特に感ずる
見慣れた両開きのステンレスドアが懐かしい               さらに昔の銀座線の黄色塗装のままであったならば、
車内に解説と昔の写真を掲示したら話題になること請け合い     レトロなメトロでGood!!

デハ1000形は密着連結器のままであり、他車の自動連結器     笠上黒生駅での列車交換
との連結を考慮して連結アダプターをも取り付けてある          タブレットと同様の通票を交換する

この通票が無いと当該区間が通行できない

右 本銚子  跨線橋があるのはここだけ                                          

犬吠駅 灯台がすぐ傍にあり、観光客の乗降が多い        犬吠駅前にある上田交通から来たデハ501
駅舎内の直営売店ではぬれ煎餅を販売               夏場は喫茶店として営業  かなり車体が痛んできている

終点 外川駅 漁師町でNHK連続テレビ小説「澪つくし」の      外川駅舎内  裸電球がぶら下がり昭和30年代にタイム
ロケが行われた                                 スリップした感じに襲われる

デハ801の車内 天井も床も木製でレトロ感が漂う    蛍光灯を使用しているが電球色で温かみを感じさせている

仲ノ町車庫で休車中のデハ702  デハ701と一緒に近江鉄道から移籍  外川寄りが運転席3枚窓 銚子寄りが2枚窓である
以前はデハ701と2連で朝ラッシュ時に運行されていた 

定期検査の費用がやっと工面でき、整備が始まったデハ701     鶴見臨港鉄道から転籍してきたデハ301 休車中

仲ノ町車庫に留置されているデキ3 1922年ドイツのアルゲマイネ社製の凸型電気機関車  沖ノ山炭鉱電気鉄道から移籍
ヤマサ醤油からの貨物輸送で活躍したが現在はマスコット的存在となっている  路面電車と同じピューゲル集電が可愛い
程度は非常に良く、検査期間も残っており稼動可能な状態にあるので、イベント運行すれば集客につながるであろう

仲ノ町車庫に留置されているユ101  夏場に澪つくし号として運行   ヤマサ醤油工場に隣接する仲ノ町車庫
国鉄の有蓋貨車ワム8000形をオープン客車に改造             仲ノ町駅で入場券を購入すると立ち入り出来る

笠上黒生駅側線に留置されているデハ101               架線点検櫓やトロッコも一緒に留置されている    

関東では日立電鉄が近年廃止され、鹿島鉄道や茨城交通湊鉄道線についても廃止が検討されている。ぬれ煎餅の拡販だけでは到底抜本的経営改善にはなりにくいが、現在の「昭和30年代ブーム」をうまく観光集客に取り入れられれば、黒字化の可能性はあると思う。私自身は、最近古びたローカル私鉄の訪問にはまっています。

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください