このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

山を降りた183系

写真は使いまわしですが…6連モハ1000番台組込編成(西千葉駅にて)

 幕張電車区183系、その中でも6両モノクラスで組成された編成番号20番台の編成は、「古きよき時代」の183系のよさを全て残した形態で運転されていました。JNRマークの撤去こそ1980年代末には終了していたものの、それ以外は殆どオリジナルの形態のまま使用を続けてきたのです。「しおさい」用のモノクラス8連も、房総特急用の9連もアコモデーションの改良工事を施工され、青いモケットやロックの掛からないリクライニングシートを装備し、車外に目を向ければ使用されないパンタグラフを未撤去のまま残した編成は、この6連に残るのみとなっていました。

 「このまま廃車まで使い潰すつもりなのかな」浪人生活を続ける間、いつも通学時に脇を通る幕張電車区に見てきたこれらの183系6連にわずかな形態上の変化があったのは'97年の事です。まず、当時の21・22編成から使用されなかった第2パンタが撤去され、ついで今度はその他の編成に外ホロの取り付けが開始されました。さらにその年の夏には、車内の冷水機を撤去しかわりにジュースの自販機を設置、あれれれ・・・と言った感じでした。まさか、車内のリニューアルまでやるかな、そう思っていた矢先「長野新幹線」開業に伴う車輛の玉突き転配により、松本運転所所属の「あずさ」「かいじ」用183系のモハユニットが、幕張に一部転属してくるというプランが雑誌に掲載されました。

 これを聞きつけ、恐らくは幕張から255の導入で追い出されたモハの−1・2が余剰になっているに違いないし、古い車両故に修繕でも手を焼いているに違いないから、再び幕張へ戻ってくるだろうとか勝手気ままな想像を巡らせていたのですが、かの大月駅における201系と某特急用車輛の衝突事故による車輛不足もあってか、結局これらモハユニットの幕張への転入は'98年の長野オリンピック終了後まで先送りとなりました。

 さて、これらモハユニットの幕張への転入は数回に分けて行われ、その都度「あずさ」色の183系に挟まれる形て国鉄色に戻されて回送が行われました。そしてこれらの車輛が6連口の中間車を置き換える形となりました。この際、捻出された0番台モハに関しては幕張のほか、習志野区などに疎開留置されていましたが、やがて桐生などへ回送され、解体されました。また、このモハユニット転入で中間車を置き換えられなかった6連2本も、のちに廃車となっています。

ここでは、「山」から「海」へとやってきた183系について、何枚かの写真と共にご紹介したいと思います。

まずは、これらの編成の先頭を飾るクハ183です。細部に手を加えられているとはいえ、概ねオリジナルの形態を保っています。

転入してきたモハユニットです。(モハ182・183−1046)

外観での幕張車との識別ポイントを挙げると、

Hゴムの黒色化(幕張オリジナル車で黒Hゴムを装備しているのはサロ183‐18の方向幕部分の片側のみ)

外ホロなしの連結面

屋根の塗り屋根化が行われていない(幕張オリジナル車は全車塗り屋根化完了)

屋根上のベンチレーターやパンタ付き車輛の集中冷房ユニットが灰色で塗装されている(幕張オリジナル車は銀色)

全車の号車札差しが撤去され、代わりに号車札をステッカーで表示している(但し、最近になって号車札差しは復活しています)

などが挙げられます。

あと、これは蛇足ですがモハ183屋根上の冷房装置(AU13EN)は、幕張オリジナル車ではサロ183-10以外側面ルーバー部分が全てネットタイプとなっていますが、松本からの転属車にはネットタイプとヨロイ戸タイプが混在しています(上の写真参照)

Hゴム、イボ付きビニールの屋根、号車札に注目

 車内については、概ね松本時代のまま利用されています。(一部車輛で座席モケット張替えが施工されているようですが、詳細は不明です)その為、ドア部分の「指にご注意」ステッカー、黄色い化粧板の張られた客室仕切り壁や、縦方向に開口部が延長され、スモーク化されたデッキとの仕切りドアガラスなど、実際に乗っている限りでは松本所属車の雰囲気を味わう事が可能です。何せ、幕張車では全滅した「JNRマーク入り」の灰皿まで未だ残っていますし…。

さて、今回はこれら「山から降りた183系」についてご紹介しましたが、総武地下線のATS-P化や中央本線系統特急列車用新型車両の投入に伴い、今後編成の組替が実施される可能性を否定できないと思われます。

なお、最後に参考までに6連で運転されている定期列車についてご紹介しておきます。

「しおさい」1往復、「あやめ」「すいごう」全列車、「ホームライナー逗子」「おはようライナー逗子」「ホームタウン成田」

(2000年夏現在)

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