このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

特急型サロ、最後の輝き

−サロ110-1302−

いまはE217系が最高時速120㎞で快走する総武快速線に、かつてはこんな個性的な車輛が姿を見せていました…。

国鉄末期、編成短縮やモノクラス化で余剰となった特急型サロは、近郊型サロへの転用工事を施工されました。これは、当時の国鉄の苦しい台所事情を反映したもので、旧型グリーン車の淘汰を行っても新型車の投入の目処が立たなかった為に耐用年数にまだ余裕のあった特急型グリーン車を改造し、旧型車の置換、そして旅客サービスの向上を目指したものでした。これにより、サロ110・111の初期車の淘汰が行われ、それと同時に転換クロスシートからフルリクライニングシートにサービス設備もグレードアップしました。特急用の車輛であるサロ183・481に、ドアを増設したいでたちで登場したこれらの車輛は、その生い立ちゆえの低い車高と相俟って、編成中でもひときわ目立ったものでした。また、隣に連結されたサロ110‐1200と比較しても、同じ183系用のシートを装備していたとは言え向こうはハザ用のシートをそのまま転用していたのに対し、こちらはグリーン車用の座席を備えていただけに利用客の評価も高かったのです。

1998.5 幕張電車区

ところが、これらの車輛は全て座席定員が特急時代の48名を継承していたため、主にラッシュ時など、グリーン車利用客をさばき切れないという問題を生じます。その出自ゆえの豪華過ぎる内装が仇となったのは言うまでもありません。結果として、幕張に配置されていたサロ113と大船に配置されていたこの特急型改造サロは、総武快速線へのE217系投入を契機に淘汰されていくことになります。

スカ線用ダブルデッカーグリーン車、サロ124の東海道線転出によって、まず国府津の113系を中心にこれら特急型サロの廃車が開始されました。また、大船区でもE217系の増備によって、比較的状態のよいサロ110‐1200に余剰が発生したために、定員のすくない特急型サロは淘汰され、遂に1998年春には、ここで紹介するサロ110‐1302のみが大船区に残り、最後の力走を見せる事になります。

錆びが浮き出し、車体の痛みも激しかったこのサロは、その最末期、外房線にも数多く姿を見せました。

写真は増設された客室窓の開口部。内側にスィングする構造となっていた。

オリジナルのサロ183の面影を色濃く残す車内。木目の化粧板が往時の栄光を偲ばせる。

特急型の車高の低さ、また屋根の構造がよくわかる客室内部。

格下げ改造時に、座席モケットの張替えや床敷物の撤去が施工された。

デッキ部分との仕切り扉も、引き戸ではなく183系オリジナル。

上総一ノ宮駅にて発車前のサロ110−1302

私は撮影を趣味の中であまり(実際、ほとんど)やってこなかった事もあり、特急型改造サロを早めに何処かで撮影しておきたかったのですが、のびのびになってしまい…この引退目前の時期に、どうにか撮影する事が出来ました。あれから2年が過ぎ、いまや快速線を走る15両編成の113系も過去のものとなりました。

 

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