このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

EL新世紀

〜 ついに姿を現わしたEF510 〜

2002.6.16 UPDATED



   JR貨物は、JR化後は唯一、新形式機関車の開発を続けています。最初のインバータ機EF200・EF500、インバータ電気式DLのDF200「レッドベア」、日立製作所から借り入れて試験を行ったED500、EF500の後継機たるEH500「金太郎」、EF65の置き換えを目的としたEF210「桃太郎」、EF64の後継機として精力的に試験が繰り返されているEH200などがそれにあたります。
  今回は、インバータ機最新鋭のEF510形式交直流電気機関車を取り上げます。

← 銀色の屋根を輝かせて入換されるEF510-1。無動回送ではあるが、乗務員が乗車している(左側運転席に注目)。

それまでの新型インバータ機と異なり、試作機の番号である「901」のナンバーが与えられず、1番から始まっている点が興味深い。インバータ交直流機関車では、既にEF500・ED500の試験、EH500の量産で技術的な蓄積が十分なためであろうか。JR技術陣の自信の片鱗を窺い知ったような気がした。

本機は、老朽化したEF81形式の置き換えを目的に2001年12月に川崎重工で製造され、目下各種試験の真最中である。ルーバーから延びる、ガムテープで止められたケーブル類や、見にくいが、空転をチェックするためか白く放射状にペイントされた車輪、ガムテープで目張りされた乗務員扉窓(右側乗務員扉)などが、試験中であることを物語る。

2002.4.28 10:10 東京貨物ターミナル
→ インバータ機として、先輩にあたるEF200に押されるEF510-1。


EF510は前述の通り、EF81形式の置き換えを目的としており、出力は3390kw(1時間定格)。12パーミル勾配において1,200トンを単機で牽引する性能を有する。


EF200の1時間定格出力は6,000kwであり、この重連が全出力を開放すると、9,000kwを軽く越えてしまう。無論そのようなことは現実にはあり得ないが、旧国鉄最強の電機EF66形式が重連となっても敵わない数値である。


巨大なのはそのパワーだけでなく、この重連の全長は38mに達する。標準レンズでは画面内に収めることが出来ず、広角レンズを使う羽目になってしまった。

2002.4.28 10:10 東京貨物ターミナル
← 巨人機同士の重連が、轟音とともに駆け抜ける。


前日からこの日にかけて、深夜の東海道線で試験を行ったEF510-1。
無事に試験を終了し、配置区である新鶴見機関区に回送される。


実は、この4095列車、本来は新鶴見機関区EF65の仕業であるが、この日はゴールデンウィークの変仕業によりEF200の牽引が実現した。しかも牽引するのはEF200でも、試作機である901号機。奇しくも試作機同士(EF510は実質上)の重連となった。


何年か後には、このような光景が当たり前になるのだろうか・・・。標題の如く「EL新世紀」を実感した次第である。


2002.4.28 10:32 東京貨物ターミナル 4095レ

撮影後記

EF510、私的には素直に「かっこいい」と思います(詳しくは→「 3.第8回JR貨物広島車両所公開 」参照)。
一つ難点を言うと、シングルアーム式のパンタグラフが、EF200やEH200とは異なり、><の向きに取り付けられている所でしょうか。斜め前から見たときに、なんとなく情けなく見えてしまうのは、私だけ?もちろん、技術的な理由があってのことなのでしょうが、ここだけは「ちょっとなぁ」という感じです。
ともあれ、本ページをまとめている時点では、交流区間での試験を実施しており、量産機登場に向けたデータの収集を行っています。量産機がその姿を見せるのも、そう遠くないのではないでしょうか。

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