このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【ソースさし考】
【ソースさし考】#4 常々思っていたのだが、洋食には2種類あると思う。 1つは流行りのイタリアだのフランスだのの、お洒落なレストランで召される洋食。 もう1つは「町の定食屋」などでよく見かけられる、家庭でも食卓の上に並ぶことの多い洋風メニュー。 眼前で一文字君にバリバリとやられている「豚カツ」などは、断然ソースの似合う後者である。 しかしながら、私の経験からいっても、海外の学会で入ったレストランで洋風メニューを目にした事 が殆どないのである。 思うに洋風メニューとは、明治維新後日本へ輸入されるにあたり「和食ナイズされた洋食」なのでは なかろうか。当時の日本人の味覚に合わせ、和洋折衷工夫された結果なのではあるまいか。 そうでなければ海外でもっと、所謂洋風メニューに遭遇してもよい筈である。 しかし、現実出会わない。 日本へ導入され変化した洋食はウースターソースの美味も手伝い、「ソ〜スはじゃぶじゃぶ♪」など 鼻歌混じりに浸透していったものと考えられる。 ここに「その差平均5mm、ソースさし壜の大きさの謎」を解くカギがある。 醤油にはない、じゃぶじゃぶなんぞ垂らして食べるのはソースだけでなのだ。私は思う、 「ひょっとしてソースじゃぶじゃぶ美味料理が氾濫する国とは、日本だけなのではなかろうか」 だとすれば、あの「5mmの差」とは現代日本の食文化の象徴なのだ。 「ひゃかへ、はひぇはいんへふは?(博士、食べないんですか)」 箸をとめ、じっと考えていたのだろう。一文字君が不思議そうにこちらを眺めている。 「いや、食べる食べるよ」 バリバリと豚カツに齧りつく男を眺めつつ、しかし私はこうも思うのだ。 (こんな光景が日本の食文化なのか・・・) 真実は時に厳しいもんである。 私は本日の「+お楽しみ」カップの蓋に手をかけた。                               [おしまい]

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