このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【時差考】

  【時差考】#4   「夕焼け空って、何故赤いんでしょうね?」   この問に博士は即答を返してきました。 「夕焼け空が赤いんじゃない。日没に西の空が赤くなる現象を夕焼けと命名しただけだ。  赤くなるのを夕焼けと呼ぶのだから、夕焼けが赤くなくとも何ら不思議はない」 やっぱ、つれない返事でしたね。博士に聞いた私が愚かでしたか。   「そ、そうですよね。ははは」 いとこの女の子にどうやって説明したらいいのだろう。途方にくれる心中を知ってか知らずか、 「それよりも不思議なのは」 博士は続けます。   「日没で欠けゆく太陽を、なぜ日蝕と言わないのか?  観察者たる自分と太陽の間に地球が入り込むことにとって、太陽を見えなくしてしまうんだ。  私の考えでは、夜なんて日蝕真っ最中なんだがな。毎夜が日蝕。なんだか毎日がお祭りみたいで  いいじゃないか。何も海外へわざわざ日蝕を見に行かなくたって、日蝕なんて毎晩やってるんだ。  天体ショーを見たければ首を上へ向けるだけでいいんだよ」   よく耳にする表現ですが、何かが私のなかを駆け抜けました。 たしかに定義としては、太陽と観察者の間に月が入り太陽を侵蝕する様、それを日蝕と呼びます。 普段なかなかお目にかかれない光景だから、珍しいのだから、今まではそう思っていました。 でも夜になること、それ自体が天体ショーの1つなのです。 夕焼けが何故赤いのか? もとより空が青いのだって私には分からないのです。でもきっと博士なら、 「あれは空気を通して宇宙が見えているんだ」なんて答えてくれるのかな。 地球に立っている自分。宇宙の一角にいる自分。   「ところで、一文字くん。宇宙人も時差ぼけするか? キミならどう思う?」 「はぁ」 青空の下。少しちくちくする芝生から立ち上がり、研究室へ向かう博士の問いかけをよそに、私の頭 の中は1つの事で一杯なのです。   ・・・あの子になんて答えたらいいんだろう・・・                                    [
備考その1
]                                  [
備考その2
]    


「不思議博士ふじゃび」のトップへ

Home へ戻る
ついでに感想なんぞを送ってみるもヨシッ!!

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください