このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【夏の夜考】
【夏の夜考】#2 こないだレストランで隣のテーブルに座っている青年が得意げに語っていた。 「ホント人類は何でも食べるよね。人間が食物ピラミッドの頂点に立っている証だな」 「人間だって亡くなれば、無数の昆虫や微生物に分解されるんだ。頂点じゃないだろうに」 私がかつてそう呟いた時、 「そんな死んじゃった後の話は卑怯よ。お互い食うか食われるかでみなきゃ」 と返してきた者がいた。 では聞こう。寝苦しさもう1つの立て役者、夏の夜の風物詩「蚊」はどうなんだ?と。 「いや〜ん、蚊に食われちゃったみたい」 浴衣の裾を団扇ではたはたと煽ぐ彼女。生きている人間を食らい、どこまで手を尽くしても人知 れず「プ〜ン」訪れては、血肉を分かってしまう蚊。 どれだけ科学が発達したと言おうとも、毎年かなりの被害者を記録し続けている。こうしている 今も、日本のどこかで奴らにしてやられている者がいるのだ。 これに対し、ほとんどの人類は蚊を食わない。この関係を天敵と言わいでか。 賢明な諸君なら、もう十分理解してくれたことと思う。 もしも食物ピラミッドが存在したとして、その頂点に君臨しているのは人類ではない。 (その蚊を食う燕。より上位に位置するこの鳥に対し、軒先を供出している人類。更には糞の掃  除まで! その観点からも頂点にいない事はもはや明白。大自然の恐ろしさ、生存競争の厳し  さなのだ) 「あちぃ〜、かぃぃ〜、くそ〜」 エアコンなぞ無い。ここ何年もずっとない。 その実、博士が頭に来るのはたった1つ。眠る彼の耳に蚊がぶつかってくる事だったりする。 「この下手っぴ野郎〜! 飛ぶならちゃんと飛べ。こっちはじっとしてるんだぞ!」 今夜も天敵へ喝が飛ぶ。                               [おしまい]

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