このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【すまぬ考】
【すまぬ考】#3 (3)ごめんなさい 数多ある謝罪の言葉。その中でも不動の帝王にして黄金率とも言えるのが「ごめんなさい」 である。大人になってしまうと、逆に恥ずかしさを感じてしまう程に丁寧な謝り方だ。 「どうしたの、アヤちゃん、謝りなさい。ごめんなさいでしょ、ごめんなさい」 しかしこの言葉が「すみません」や「申し訳ありません」をも凌ぐのには、もちろん理由が ある。 「ごめん」とは即ち御免。許可の事である。また「なさい」は、一般に命令に際して用いら れる言葉である。先の例「アヤちゃん、謝りなさい」でも、それは明らか。 「ごめんなさい」=「許しなさいよ」 謝罪の形をとった命令! 逆転の発想どころではない。仮にも謝罪にの場面で相手に命じるなど、キミは将軍か女王様か。 さて総合的に見てみると、謝ると見せ掛け相手の出ばなを挫いたり命令したりと、 やはり日本人は口先だけで謝っている? 昨今の日本語の乱れ? ひょっすると、日本人に疑いの眼を向けるようになった親日家すらいらっしゃるかも知れない。 しかし待って欲しい。 言葉と真意の差については、こう言い直してみると良く分かる。 日本では謝罪が「お前の母ちゃんデベソ」と習慣付けられていたとしたと仮定してみるのだ。 父:「キサマうちの娘になんて事をしてくれたんだ!」 男:「お前の母ちゃんデベソ!」 父:「お陰で近所を歩くことすらできんのだぞ。聞いてるのか」 男:「お父さん本当に今回の事は何と言って良いか、お前の母ちゃんデベソ!」 女:「隆さんが謝ることはないわ。私だってもう子供じゃないんだもの。自分のした事くらい    分かってる・・・」 男:「いやお父さんが怒られるのも無理はないさ。やっぱり僕が軽率だった。キミにも謝るよ。    本当にお前の母ちゃんデベソ!」 女:「いやっ、隆さんのそんな言葉聞きたくないっ(だだっ)」(娘さん舞台のそでへと駆ける) 相手に謝意を伝えつつ、「お前の母ちゃんデベソ」と発する事で少しでも謝る側のつらさを軽減 させようとする日本。あちらを立てつつ、こちらも立てる。人情の機微。相互への思いやり。 これぞ日本の心ではなかろうか。 最後に、あなたが丁寧に「ごめんなさい」を言おうとしたなら、どうすればよいか。勿論「なさい」 はマズい。命令ではなく依頼、「お許しください」なのだから、 「ごめん下さ〜い」 ・・・緊張した場面、付け焼き刃では使えない言葉である。                               [おしまい]

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