このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
これなくしてはJR九州の特急を語れない存在である787系。鹿児島本線の線形の悪さをカバーし、博多と鹿児島をいかに快適に結ぶかというコンセプトでかたちづくられた車両である。サイリスタ位相制御、発電併用電気指令式空気ブレーキなど、メカ面は際立った特徴はない。振り子制御も、線形が悪すぎるために採用されなかった。最高速度130km/h、博多〜西鹿児島4時間弱。これだけの時間とこの車両が、語り尽くせぬ「つばめの旅」を演出してくれる。主に9両・7両で運転されていた車両だが、その後の改正で「有明」用の4両編成が登場し、9両編成は解消された。「つばめ」オリジナルキャラクターも存在し、車体のロゴやサインとともに車内販売のパッケージやグッズなどに印刷されている。
グレーメタリックの車体は、九州の陽射しを浴びて鋭く輝く。客室内は15パターンのシートモケットと8パターンのタイルカーペットが採用されている。転換クロスシートで、ガラスで仕切られ大型テーブルも用意されたセミコンパートメントもある。間接照明の柔らかい光が室内を照らし、天井には読書灯が並んでいる。荷棚は飛行機と同じハットラック式。また車内に「ネジ頭」を極力見せないという方針があったらしく、成る程、探さないと見当たらない。デッキ部などのインテリアはカラーアルミでモダンに演出され、そんじょそこらの電車にはない雰囲気を醸し出す。さらにはビュッフェも存在する。ビュッフェの天井が卵形のドームになっていて、車内にいながらにして開放感が味わえる。「つばめレディ」によるグレードの高いサービスも魅力の一つである。ちなみにトイレはなんと男女別々に洋式トイレが存在する。航空機並みの真空方式で、洗面所が併設されている。列車で旅する楽しみを最大限に引き出してくれる、そんな列車である。「ドーンデザイン研究所の集大成」たるこの車両が、九州の旅を各段に楽しくしていることは間違いない。
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