函館市千代台公園野球場

　函館でプロ野球公式戦が行われる野球場は函館市千代台公園野球場である。その名の通り、千代台公園内にある野球場で、園内にはほかに陸上競技場、市民プール、テニスコートが存在する。戦前は重砲兵連隊と衛成病院とが建っていた。千代台公園は戦後に失業者対策事業により建設され、野球場の着工は1949年度、同竣工は1950年度である。ただし沢柳の一連の書や『一冊まるごと大特集　野球場』には完成年は1951年とある。
　この野球場の用途としてはほかに、冬季にスケートリンクが場内に設置されたことがある。1966年から1978年までの間で、グラウンドにビニールを敷き、水を貯え、天然に氷結させてスケートリンクを造ったという。開設は16時からで、20時に閉鎖した。1979年に開設場所を他に移した。
　『一冊まるごと大特集　野球場』には「函館千代ヶ台球場」と「函館千代台公園野球場」の２つが掲載されている。これは後者が前者を改築した野球場ということであろう。函館市では1972年からプロ野球公式戦が行われていなかったが、後者の完成年である1994年
からは再び行われるようになった。
　野球場の前には、アマチュア野球クラブ・函館太洋倶楽部で昭和初期に活躍した久慈次郎選手を記念した碑が建っている。以下の文はその台座に刻まれた文字を書きうつしたものである。

球聖久慈次郎の像　水原茂謹書
趣旨
　函館太洋倶楽部は明治40年の創設でここに我国最古の社会人野球チームとして70年の歴史と伝統をもつ社会人野球屈指の名門である。この顕彰碑を建立するに当り我が郷土の輝しいシンボルとして今後育つであろう青少年の健全育成並びにスポーツ振興のため非常に意義のあることと考えここに同選手の偉業を永久にたたえるとともに功績を後世に残すべく故久慈次郎選手顕彰碑建立期成会をもって設立したものである。
故久慈次郎選手顕彰碑建立期成会　会長　田中誠一郎

　なお函館には以前「函館市民球場」という野球場がそんざいしていたらしい。所在地は函館山の麓の函館公園内だと同定されるが、詳しいことはわからない。

野球場誌に戻る