このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください





Air SS「躾」





「アンタはうちの娘やっ!」

そう言って晴子は観鈴を力一杯抱きしめた。

「お、お母さん」

晴子の言葉に観鈴はそれだけ言い

堪えきれずに涙がこぼれはじめた。

「さて、アンタが正式に神尾家の娘になるにあたって、 アンタを神尾家流に教育せなあかんねん」

「えっ?」

食事が終わりお茶をすすって一服している時に晴子が切り出した。

その言葉に当然観鈴は驚きを隠せなかった。

実際、観鈴はそれまで神尾の性を名乗ってはいたが、 神尾家の人間では無かった様な状態である。

「今まではお仕置きやったけど、今度からは教育や」

「が、がお」

スパーン!

観鈴の言葉に晴子は瞬時に反応し、 後ろに隠し持ていたハリセンで一発ヒットさせた。

「いたいよーっ」

頭部を押さえながら観鈴は少し涙目になっていた。

「今までは普通の娘と育てようとして 普通に注意してきたけど、これからは違うで!」

そう言って晴子は右手に持っていたハリセンを 左手で叩いてパンパンと音を鳴らしてニヤついていた。

「今まで不思議に思わんかったか、 アンタは標準語やけど、何でウチが関西弁なんかを」

「あ、そう言えばそうだね」

スパーン!

「せやからアンタはアホやねん!」

二発目をヒットさせ晴子は熱いツッコミを入れた。

「いたいよーっ」

再び観鈴は頭部を押さえた。

「でもなぁ、アンタには才能はあると思とるんや」

「えっ?」

「そう、アンタにはウチには無い才能を感じるんや」

「ど、どこに?」

「ウチは基本的にツッコミの人間や、 せやけど、ウチほどの人間になればボケも出来る、 でもなぁ、ウチにはアンタほどの天然の才能は無いんや」

「…………????」

晴子の言葉に観鈴はめちゃくちゃ困惑してしまった。

「それって………」

「せや、アンタは確かにアホやけど 逆に言えばアンタにはボケの才能もあるんや」

「が、がお」

「ほら、それや! 確かに普通の娘やったら『が、がお』は口癖としてかなり問題あるけど、 ボケとしてはお約束で『が、がお』は立派なギャグや」

「が、がお」

「それもや、そこで同じギャグを繰り返すのは少し高等な技術や」

そう言って晴子はうれしそうな表情を浮かべた。

「アンタの産みの母親もそうやった、 ねーちゃんもボケの人やったなぁ」

そう言って晴子は少し遠い目をした。

「ママも………」

スパーン!

「いたいよーっ」

観鈴は三度頭部を押さえながら涙目になっていた。

「そうはやなぁ『ママ』やのうて『が、がお』や!」

おそらく、観鈴の言葉は間違っていなかった。

しかし、晴子としてはそれが許せなかったらしい。

「同じギャグを連続して言うたら、三度目も言わなあかんやろうがっ!」

「そ、そんなぁ」

「確かにアンタはウチの血の繋がった娘やない、 でもな、アンタにはしっかりと神尾家の血は流れてるんや 根本的に出来そうに無い奴にそんな話はせえへん」

「が、がお」

スパーン!

「4度目はくどくなるから言うたらあかんのや!」





管理人より
 ・・・はっ! こ、ここで終りですか〜?
もっと読ませて下さいよ〜。
と、小山内と同じ事をお考えの方は、掲示板に続き希望の要望を出しちゃいましょう。
 やはり観鈴と晴子さんの組み合わせは、ボケとツッコミに最適でしょうか?
ここでもごく当然のこととしてハリセンが炸裂していますね。
しかし、神尾流の躾とは一体? 続きに期待します。
 それにしても、掲載が遅れに遅れてしまって申し訳ありませんでした。
次の掲載もあるんですよね。では、またそちらで。



Return to menu page

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください