このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

令1号 秘密調査作戦

00 新司令長官着任
     国際連合宇宙軍日本艦隊司令部

 無限に広がる宇宙。この陳腐だが一番わかりやすい表現の世界に知的生命体は、我々が唯一なのだろうか?もし他に知的生命体がいて、それが我々を襲ってきたら・・・。大昔からSFのネタとして使われてきたこれも、人類が宇宙に進出し始めると単なる冗談では済まなくなってくる。そういうこともあって、人類は恒星間航行技術を手に入れた頃UNSF(国際連合宇宙軍)を組織した。日本国も国連加盟国の一員としてそれに参加した。そしてUNSF日本艦隊の司令官日高大将が退役を迎え、新任の司令長官が着任した。その名は秋山三郎大将。国連宇宙軍日本艦隊は新司令官の元に、DGF「Deep Galaxy Fleet」と呼ばれる艦隊と戦うことになる。

01 深宇宙探査船団 消息を絶つ
     IC434宙域 深宇宙探査船団

 深宇宙探査に向かった3隻の探査船。しかしこの3隻は目的地には、遂にたどり着けなかった。
「緊急電 発 探査船アモール 宛 全艦船
 我、何者カニ攻撃ヲ受ケテイル。至急、救援ヲ求ム。我、現在位置IC434−21−135」
 探査船団の旗艦<アモール>から、悲痛な電文が発せられた。船団はIC434宙域に達したところで正体不明の戦闘艦と接触した。そして船団は、正体不明艦から一方的に攻撃を受けている。
 探査船<アモール>のブリッジ。オペレ−ターたちの叫び声が錯綜する。
「また、一隻やられました!」
「正体不明艦。ミサイルを撃ってきました」
「くっ、ミサイルまでもか」
「通信士。電文にミサイルのことも追加しろ」
「分かりました。我、探査船<アモール>。正体不明の艦隊の攻撃を受けている。至急救援を求む。我、現在位置IC434−21−135。なお、正体不明艦はミサイルも保持。注意されたし。くりかえす、我、探査船<アモール>−−−−−」
「ミサイル3発、本船に向かってくる!」
「回避不能!当たります」
「総員、ショックに備えろ!」
しかし、既に船体に多大な損傷を受けていた<アモール>に耐えきれる余裕など無かった。探査船<アモール>爆散。残った一隻も5分後に僚艦の後を追った。

10 秘密調査作戦発動!
     国際連合宇宙軍日本艦隊司令部

「・・・と、云うのが今までの経緯だ。質問はあるかね」
「長官。ところで、その正体不明艦の所属は判明したのですか?」
 女性司令官の1人が、質問する。
「残念だが、未だ判明しておらん。そこで今回の任務がUNSF総司令部から発令された。我々が、船団の事件について調査を行う。状況が状況なので、今回は極秘任務となる。部内、部外に関わらず口外は無用だ。なお調査艦隊は、対外的には定期の輸送・哨戒任務と発表される。よって、作戦参加艦艇は最小限とする。南雲君。今回の任務、君に担当して貰いたい」
「分かりました」
答えたのはあごひげと口ひげをつけた銀髪の司令官。慎重であることには定評のある司令官である。
「それで、その正体不明艦隊の呼称は?」
「DGF<Deep Galaxy Fleet>だ」

11 出撃
     国際連合宇宙軍日本第1艦隊

 南雲に与えられたのは、多摩級軽巡の多摩と、吹雪級駆逐艦の吹雪と白雪であった。多摩級は元々船団護衛戦を重視した艦である。吹雪級は何処の艦隊でも見られる平凡な駆逐艦である。そして艦隊の出撃準備は整った。後は出港許可を得るだけである。
「今回の作戦任務オペレーターの四条あけみです。南雲提督、よろしくお願いいたします」
「分かった。出港許可を取れ」
「第1艦隊より、管制局へ、出港許可願いたし」
「こちら管制局。出港を許可する。貴艦の無事な航海を祈る」
「了解。エアロック切り離せ。・・・切り離し確認」
「第1艦隊、出撃せよ」
「補助エンジン始動」
旗艦である多摩を先頭に吹雪、白雪の順で出港した。 
「全艦に通達。本艦隊は第6ワープブースターを経由して作戦宙域に向かう」
「ワープブースター管制から誘導波をキャッチしました」
「管制の誘導波に乗れ」
「管制局から入電。『貴艦隊の通過を歓迎す。目標宙域に異常なし。貴艦隊の無事な航海を祈る』とのことです」
「管制局に返信。『貴官らに感謝を。我任務の達成を誓わん』」
「了解」
 そして艦隊は飛んだ。

12 接触
     国際連合宇宙軍日本第1艦隊

 艦隊は目標宙域の近くにジャンプアウトすると、目標宙域に向かった。途中アステロイドベルトを通過したが被害は特に無かった。間もなく調査宙域と云うところで、レーダー要員が報告をした。
「航行レーダーに所属不明艦隊を捕捉しました」
「全艦隊に警戒態勢。総員戦闘配置につけ」
南雲が指示を出す。
「レーダーを、戦闘用に切り替えます。レーダー反応から見て所属不明艦隊は軽巡クラス1、駆逐艦クラス2。これより軽巡をミマス、駆逐艦をエンケと呼称します」
艦隊コンピューターが選択した名前をオペレーターが報告する。
「分かった。全艦隊に通達。これより、先の深宇宙探査船団消失事件で探査船を襲ったと思われるDGFの調査を開始する。全艦、攻撃準備のまま、所属不明艦に接近せよ」
 艦隊は、多摩、吹雪、白雪の順で単縦陣を作り、DGF艦隊に向けて接近する。両艦隊の距離はどんどん近づく。
「敵味方識別信号を送れ」
万が一の同士討ちを防ぐための南雲は命令する。
「返信はありません」
味方である可能性はほぼ無くなった。続いて、
「目標は明らかに戦闘艦です。相手艦の砲門は、こちらを向いています」
砲門を向ける。人類同士なら明らかに、相手は敵意を持っていると考えておかしくない。
「砲術長が、砲撃開始の命令を求めています」
状況から考えれば、妥当な要請である。しかし、
「出来れば、よけいな戦闘は避けたい。まだ、攻撃するな」
UNSFの交戦規定として相手が撃つまでは攻撃を禁じられている。交渉の余地を確保するためだ。しかし、
「正体不明艦。ミサイルを撃ってきました」
DGF艦隊、軽巡ミマスのミサイル攻撃だった。

21 戦闘開始
     IC434宙域 国際連合宇宙軍日本第1艦隊 軽巡「多摩」

「DGF艦隊の攻撃です。ミサイル4。目標は吹雪です」
「交戦規定をクリアしました。攻撃命令を!」
南雲を縛り付けていた最後の障害が取り除かれた。
「やはり、攻撃してきたか。反撃開始!」
南雲は叫ぶ。吹雪は回避しながら副砲を連射する。
「ミサイル1発撃破。敵ミサイルそれていきます」
「吹雪、全弾回避しました」
「ミサイル砲戦開始。目標は、ミマス級巡洋艦」
<多摩>艦長が命令する。<多摩>は、ミサイル4発と主砲2発を発射する。
「目標にミサイル1発命中」
そして両艦隊は激しい戦いを始めた。

22 混戦
     IC434宙域 国際連合宇宙軍日本第1艦隊 軽巡「多摩」

「吹雪のミサイルがミマスに命中。判定、中破」
「エンケ2のミサイルが吹雪に命中。重力偏向シールド展張。吹雪艦長より入電『我中破セリ。サレド今後ノ戦闘ニ支障無シ』以上です」
「吹雪、速力低下」
「白雪のミサイルがエンケ2に命中。エンケ2シールド展開。中破した模様」
「第4斉射、命中。エンケ2大破」
「白雪、被弾!速力低下」
「第5斉射、命中。ミマス級巡洋艦大破」
「第6斉射、エンケ3に命中。同艦中破」
その直後<多摩>が被弾する。
「被害状況知らせ」
「第2副砲塔大破。応急処置不能。放棄します。今回の被弾で本艦の被害率が40パーセントを超えました」
「我が艦隊の全艦が中破と判定されました」
「被害が大きいな」
南雲は呟いた。

31 撤退
     IC434宙域 国際連合宇宙軍日本第1艦隊 軽巡「多摩」

「吹雪の砲撃でエンケ2撃破」
「本艦の速力に駆逐艦が追随できません。このままでは本艦は敵中に孤立します」
「<多摩>後退。駆逐隊と合流せよ」
「敵艦隊、追撃してきます」
「目標、敵先頭艦」
「<多摩>エンケ3撃破」
「敵巡洋艦。未だ追撃してきます」
「これ以上は危険です。艦隊の損害率が6割を越えました。これ以上損害が出た場合、艦隊機能を維持することが困難になります」
あけみが報告する。南雲はやむを得ず
「全軍撤退する。艦隊被害甚大に付き、作戦を放棄」
砲撃をしながら撤退を開始する第1艦隊。
「所属不明艦が退却を始めしました」
「双方痛み分けか。いや、目的を達成できなかったのだから我々の負けか。しかし、アイツらは何をたくらんでおるのだ」



後書き
 アルファ・ストライクのリプレイ戦記小説第1弾です。リプレイとしても小説としても今一つの感が否めませんが、基本的にゲームでは撃ち合いしかないので、どう表現するか迷いました。問題はどれだけオリジナリティを出せたかですよね、これは・・・。

シナリオ紹介及びリプレイにおける結果
1 秘密調査作戦
作戦目的 深宇宙探査船団消失事件(プロローグ)の事件調査及び事件に関係のあると思われる所属不明艦隊との接触。
参加艦艇 UNSF艦隊編成条件:3隻10,000トン以内
     UNSF:CL多摩(多摩級)、DD吹雪、白雪(以上吹雪級) 計3隻
     DGF:CLミマス級×1、DDエンケ級×2 計3隻
UNSF艦隊司令官 南雲忠雄
勝利条件 DGF艦隊と接触し、被害率60パーセント以内で帰還すること
作戦結果 失敗:艦隊被害甚大に付き艦隊司令官の判断により撤退
UNSF艦隊の戦果(損害率)
 撃破 DDエンケ級×2 (共に100)
 大破 CLミマス級×1 (88)
 艦隊損害率 93パ−セント
UNSF艦隊の損害
 中破 CL多摩 (64)
    DD吹雪 (60)、白雪 (47)
 艦隊損害率 61パ−セント

 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください