このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

里見電鉄四季物語 〜冬〜 「氷雨」

1 喫茶「微風の通り道」

 午後4時前。昼方、降り始めた雨は未だ勢いを増しながら降り続けていた。店内も待合室もすっかり閑古鳥が鳴き、時の歩みは陰鬱にのんびりと過ぎていった。
 カランとベルが鳴り、誰かが店内に入ってきた、榛名は挨拶をしようとするが、その前に誰かが、かすみだとわかり、ただ「こんにちは」と言った。そしてかすみにお茶を出すと、
「今日は誰も来そうにないし、帰っていいよ。」
と、言った。少し不満そうだったが、かすみちゃんは納得してくれた。

2 里見市上信乃  

 私は、冷たい雨の中をゆっくりと歩いていた。雨は相変わらず降っていて、さらに町は冷えていった。「雪に変わるかな」と、私は唐突に思った。

3 里見電気鉄道 里見信乃駅

 夜も更け始め、雨の勢いも落ち着いた。榛名は一日の業務を終え、駅から出てきた。相変わらず雨かと陰鬱に外を見ると、ふと表情が変わった。白い物が混じり始めていた。

4 里見電気鉄道 里見信乃駅

 翌日、改札口に立つ榛名には積もるでもなく止むでもなく降り続けている雪が見えた。「おはよう御座います」との声に振り向くと傘を下げたかすみの姿があった。服や鞄には雪が少し付着していた。「雪が降ってますね」かすみは嬉しそうに言うと、やってきた電車に乗った。


後書き
 今回は雨と雪がテーマです。
 ご感想等御座いましたら掲示板なりメールなりで知らせていただけると有り難く、かつやる気が出ます。

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