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里見電鉄四季物語〜霜月〜「静谷口駅」
 

1 海猫屋本舗従業員控え室

 海猫屋本舗にも郵便物は当然のことながら数多くやってくる。その殆どが業務用の海猫屋本舗に対する通信なのだが、店員たちへの私信も多く混じっている。その多くはダイレクトメールなのだが、たまに少しばかり毛色の違う手紙も混じっている。
 11月に入って数日が過ぎたその日、店員の1人である星祭摩耶(たなばたまや)宛の手紙は5通あった。1通目、2通目といつも来るダイレクトメールだったが、3通目の差出人の名前を見てふと小首を傾げた。「里見電気鉄道?何でこんな所から」少ししてからやっと1人の人物に気がついた。そういえば榛名さんって駅長さんだったのよね。彼女はこの間行った小さな喫茶店のマスターを思い出しながら、手紙の封を切った。それには紅葉狩りの広告と共に「とても綺麗だから見にいらしゃい」という内容の榛名さんの私信が入っていた。
「行ってみようかな」
摩耶はぽつりと呟いた。

2 里見電鉄静谷口駅

 そしてとある土曜日、摩耶は休みを利用して広告に載っていた静谷神社への最寄り駅「静谷口駅」に降り立った。窓の大きい古い電車はゆっくりと駅を離れ、気がつけば聞こえるのは風に揺れる木の葉の音ばかり。摩耶は「静かな日になりそうね」と、思った。そして、
「なんにも無いのね」
あたりをぐるっと見渡しても、木々を除けば何もない。そんな場所の駅だったが、電車の交換駅のためか初老の駅員が1人居た。
「あの、駅員さん。静谷神社にはどう行けば良いんですか」
「あぁ、神社かい。この道をまっすぐ行って分かれ道を左に曲りゃぁ、すぐそばじゃ」
「ありがとうございます」
摩耶は駅員に礼を言って歩き出した。

3 静谷神社

「ほんとうに、きれい・・・」
摩耶はため息をつきながら言った。神社自体はそう大きくなく大した物ではなかったが、色づき始めた銀杏や紅葉はすごく彼女の心に染み込んだ。ゆっくりと境内から山道に歩いていく摩耶。元々散歩が趣味だけに少々歩くことは気にならない入口の地図によれば、その先には小さな滝があるらしい。摩耶は美しく色づいた木々を眺めながら歩いていた。しかし木々に気を取られ迷いかけていることに彼女は気がついていなかった。

「何処へ行く気なのですか?」
「えっ」
驚いて振り返る摩耶。そこには1人の女の子が居て、
「そっちの方は行き止まりで、おまけに迷いやすいんですよ」
「えっ、そうなの」
「そうですよ。あっ、そういえば」
と、彼女は何かを思いだしたかの様に、摩耶に時間を尋ねた。彼女が答えると、
「いっけない。遅れちゃう」
「どうしたの」
「アルバイトなんです。境内まで急いで戻りましょう」
「えぇ」
摩耶は、彼女に引っ張れるように歩き出した。

4 喫茶「微風の通り道」

 里見信乃駅に降り立ったのは摩耶1人だった。彼女はそのまま喫茶店に入った。
「いらしゃいませ〜」
と、さっきの女の子の声がした。驚いてそちらを見る摩耶。
「あなたは、さっきの・・・・・」
「えぇっ、うそっ」
「どうしたんだい、かすみちゃん。あぁ、摩耶さん。お久しぶりです」
ちょうど現れた榛名に尋ねる摩耶。
「あの、この子は?」
「最近雇ったアルバイトで、青梅かすみちゃん」
「あの、かすみです。えっと、はじめまして・・・・・じゃないですね」
「そうね。私は摩耶。星祭摩耶って言うの、よろしくね」
親しげな2人の態度に榛名は尋ねた。
「あれっ。初めてじゃないの?」
「えぇ、実は・・・・・」
最後は、にぎやかな日になりそうです。



恒例(?)後書き対談 : 喫茶「微風の通り道」にて

榛 名「里見電鉄四季物語〜霜月〜『静谷口駅』は、いかがでしたでしょうか。今回も海猫さんと摩耶さん。それに初登場のかす
    みちゃんの4人でお話をしていこうかと思うのですが」
海 猫「うむ、今昼御飯食べたばっかで気だるい。摩耶、頼むわ」
摩 耶「ものぐさしちゃ駄目ですよ」
海 猫「かまわんだろ。それに今日は聖は絶対に来ないから、安心してやれ」
摩 耶「でも、あの人神出鬼没ですよ?」
海 猫「今回は工夫した。俺もいつも殴られてたんじゃたまらんからな」
榛 名「そうですね」
かすみ「あのー、聖さんって誰ですか」
榛 名「かすみちゃん。世の中には知らなくても良いことはいっぱい有るんだよ」
かすみ「そ、そうですか」
榛 名「敢えて知りたければ、海猫屋本舗に遊びに行きなさい」
かすみ「取りあえず遠慮します」
海 猫「おいおい、誤解招くような物言いをするなよ(苦笑)うちは優良企業やぞ」
榛 名「まぁ、こんなささやかな店とは違うけど・・・・・」
かすみ「あの、喫茶店と百貨店を比べる方が間違っていると思います」
榛 名「お客さんも4倍差があるからな・・・・・」
海 猫「そう言う意味やない!うちが変態集団と間違われそうな物言いやっちゅうこと!」
摩 耶「・・・近からずも遠からずだと思いますよ」
海 猫「いや、危ないのは暴走した聖だけじゃ!」
摩 耶「・・・店長、方言出てますよ」
海 猫「ええわ。わし、生粋の山口人じゃけぇ」
摩 耶「まあ、どっちでも良いですから、早く本題に入りましょうよ」
海 猫「そうやな。確か、今回の感想だったけ?う〜ん・・・まだ11月入ってすぐなんじゃからもう少し経ってのアップでもえ
       えんじゃないそ?」
榛 名「それはそうだけど、私の場合アップできるところからしないと、えれぇことになる」
かすみ「店長、方言が入っています。ちなみにこの場合えれぇとは、大変なという意味になります」
榛 名「かすみちゃん、君は解説のお姉さんじゃないんだから」
かすみ「ホームページ上での私の仕事はそうだと思いますけど」
榛 名「確かにそうだけど」
海 猫「やっぱ方言はいい。地元の心を忘れたら人間駄目になる・・・っつうか、なんか気取った感じになるんだよな」
摩 耶「もっとも店長は気取っても笑いをとるだけですもんね(^-^)」
海 猫「やかましい!宇宙に連れてっちゃろうか?ああっ!・・・と、ボケはこの辺でおいといて、実際ちょっと短いんやない?
       まあ、順次続きをアップしていって、11月中に長くなるんやったら問題ないと思うけど・・・」
榛 名「長くするつもりはないんだけど。大体重くなる一方じゃないの。それに基本的にこのシリーズって何も起こらない話だ
       し、物としてはせいぜい一枚の写真のような物。ちょっと短いぐらいが適当だと思っているし」
海 猫「重くはならんって。文章やったら少々書いたってCG並の重さにはならんよ。ただ、何もおこらん話をだらだら書くのは
       苦痛やし、何より読む方が読みたくならんもんな」
榛 名「そういうこと。何事にも適度な長さがあるという事で。今回は摩耶さんだけが出るはずが、かすみちゃんを出す必要が出
       てどうしようかと。片方だけ出そうかと思ったけど既に摩耶さんの出演許諾取ってたし、という訳でこうなりました」
海 猫「別に出演許諾が有るからって無理してださんでもええのに。あれは半永久的な物なんやから。・・・まあ、18禁はちょっち     やばいかな?ゆうんは有るけど(笑)」
榛 名「18禁は全く駄目。そんなことやったら大家さんから追い出される」
かすみ「あの、私と摩耶さんのセリフがないですけど。あと、18禁はいやですよ」
榛 名「おぉ。かすみちゃんのことも話さないと、(ごそごそと何かを取りだし)海猫さんこれが、かすみちゃんの基本設定(取
      りあえず非公開)なんだけど」
海 猫「16歳、高校2年・・・この高校ってバイト許可しとるん?ちなみに俺の高校は正月の郵便局以外絶対駄目やったんやけ
       ど」
榛 名「結構校則が緩やかで、きちんとした場所なら基本的に大丈夫。それに先生達もお客さんとして来るから悪いことは出来な
       い」
海 猫「ふぅん・・・うちの奴らにももう少しきちんとした設定やらんといかんな。・・・・・・うむ、今回は真面目だ。これで誤解も
    解けるだろう」
榛 名「それはその人次第だから何とも言えない。かすみちゃんの設定で困ったのは、海猫屋の三人娘とかぶらないようにするこ
    と。特に参ったのは、摩耶さんの紅茶集めという趣味。かすみの特技と被るんだよね」
かすみ「それは、おいしい紅茶を入れるという特技ですね」
榛 名「そうだよ」
海 猫「そんなんあったけ?俺全然知らんよ」
摩 耶「あのですねぇ、私を創ったのは店長でしょう?」
海 猫「いや、そうなんだけど、俺って大体の性格さえ頭に入ってたら後は手が勝手に文章創ってくれるからなぁ・・・。それと
    効果的な場面が出てこない限り設定をつかわんから、普段は記憶から抹消しとるんだわ」
摩 耶「・・・よくそれで文章書きますねぇ・・・」
海 猫「だから俺が文章書いてる時っていうのは、俺が書いてるんじゃなくて俺の手とキャラクター達が勝手に動いて完成してい
    くんよ。ほれじゃけぇ、キャラクターが俺に合ってないと絶対に途中で挫折するね。・・・その辺、榛名氏はどう?」
榛 名「かすみの設定見れば分かるとおり人物設定を細かく決めてから、細かく設定した世界に放り込んで行動させる。例えば、
    この店が15人程度しか入れなくて、テーブル席が3つでその内4人席がひとつでとか。そうしないとキャラも私も迷っ
    てしまう。逆に身動きできなくなることも多いけど。後はシーンをつなぎ合わせて、話を作るとか。この話では、1カッ
    トだけで作っているけど」
海 猫「まあ、それでも創れるんやけどあんまし得意やないね。とは言っても、長編小説を気持ちよく書いて、なおかつ最後まで
    書くパワーを維持する方法としては俺もそう。一番最後に一番書きたいシーンがあると絶対に書き終われるんよ。逆にそ
    うじゃないと途中で絶対ダウン。手もキャラも動かんこうなるから(^-^:」
榛 名「と言うわけで、製作論までいったけど、今回もそろそろお開きかな。かすみちゃんの設定に関しては複数の希望があった
    ら公開しましょう。ちなみに次回は三冬月(12月)です」
かすみ「大掃除でもしますか」
榛 名「そうだねぇ。そうしようかな」
海 猫「おっ!12月は忘れちゃいけんもんがあるぞ!クリスマス!これは忘れちゃいけんやろ」
摩 耶「クリスマスですか・・・ホワイトクリスマスになると良いですね」
海 猫「馬鹿者!ホワイトクリスマスなどもっての外だ!」
かすみ「何でですか?」
摩 耶「そうですよ、どうしてホワイトクリスマスがいけないんですか?」
海 猫「雪が降ったらクリスマス商戦に大きく響くだろうが!」
摩 耶「・・・そんな、夢も希望もない・・・」
海 猫「夢も希望もあるさ。ただ、夢と希望だけじゃ生きていけないって事なんだよ」
榛 名「そんなこと言うと、うちでは電車が遅れる、故障も起きる。ホームの除雪もしなくちゃいけない」
かすみ「それはちょっと、でも、クリスマス駄目ですか?」
榛 名「うーん。あんまりクリスマスはね。全世界何億人かの敬虔なクリスチャンの人には悪いけど、宗教的に無節操な日本人を
    象徴するところが有るし。だけど華があるから考えても良いな」
海 猫「まあ、一般的に考えれば華があるよな。商売人もかきいれどきだから別の意味で胸躍るイベントではある」
摩 耶「その点私は被雇用者ですから、雪が降ってお休みになると嬉しいんですけど(^-^;」
海 猫「ほほぉ・・・この不況にその様な事を抜かすとは」
摩 耶「いえ、別にそう言う意味で言ったんじゃ・・・」
海 猫「こんな事を喋っていたらネタが尽きんから、すぱっと切ってまとめに入ろうか。な・榛名氏?」
榛 名「そうだね。それじゃ、ここらで終わりにしましょう」
海 猫「そうだなぁ・・・取りあえず毎回呼んでくれないでくれ。どうもさらし者になってる気がする(^-^;」
摩 耶「そんなこと言って、お店じゃ自分からさらし者になってるでしょ?」
海 猫「いや、どうも良くない噂が立ってるらしくてな」
摩 耶「それも昔からじゃ・・・」
海 猫「見えてる範囲で言われるんはほとんど気にしないんだけど、見えない所で噂が立つと、どんどんエスカレートしていくよ
    うな気がしないか?」
摩 耶「そうですね・・・殺人鬼とか、切り裂き魔とか(^-^;」
海 猫「だから、そういう根も葉もないこと言うな!実際いい人とは言わんけど、法律に触れることや一般の人が怖がるようなこ
    とは一切やってないと思うぞ」
摩 耶「そうなんですか?」
海 猫「まあ、HP上じゃ結構飛ばしてるケド(^-^;」
摩 耶「じゃあ、本当は一応一般人なんですね」
海 猫「そ。だからここを読んだ皆さん、訳の分からない誤解や根も葉もない噂は流さないで下さい。これは、あくまでもフィク
    ションであって、噂を流すなら取りあえず本人に会ってからにして下さい。これは名誉の問題ですから(ちなみに怪しい
    しゃべり方はディフォルメした山口弁です)」
摩 耶「だそうです。それじゃあ、又いつか会いましょうね」
海 猫「それでは。・・・・・・海猫屋本舗と別館コニパレもよろしく!」
榛 名「ちゃっかり宣伝していったな。まぁ、いいけど。出来たら感想のひとつでも掲示板に書いって下さい。それでは失礼しま
    す」
かすみ「それでは、皆さんまた来月お会いましょう」
 

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