このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
京急見たさに志度参り
四国は香川に高松琴平電鉄、通称琴電という鉄道会社がある。この会社、とかく各地から譲り受けた車両が多く、別名「走る電車の博物館」なんて言われることも・・・。もっともこの別名、少し規模の大きな中小私鉄(なんだか思いっきり矛盾しているような・・・)では大抵そう呼ばれることが多いのだけどね。(大抵の場合、全部同じ車両を新車、中古車に限らず予算等の理由で揃えられないため)
弥生も半ば過ぎたとある日、私は岡山近郊の某駅から、四国に渡るために列車に乗った。目的はもと京急の230型、琴電での呼称は30型を見に行くためだった。この車両は窓の大きさが特徴の16メートル級電車で、琴電の志度線及び長尾線で使用されている。志度線と長尾線は線路の規格が低く、重くて大きな電車は運転できない。そのため(取り替えようにも適当なサイズの中古車がない。新造は論外と言うわけで)特に古い電車が多く走っており、30型もそのひとつである。もっとも新車が多いとされている琴平線も新型は皆大手私鉄からの譲り受け車なので、50歩100歩かもしれないが・・・(でもかなりの車両にクーラーが付いているし、少なくとも戦後の車両である。他の線では未だ大正時代の車両が現役だったりする)最近になって名古屋地下鉄から新車がやってきて志度線、長尾線に入ったので、両線も変化の時期に入ったのだろうか。
高松駅に着いた私は、駅の余りの変化に驚きつつもまずフィルムを手に入れようとしたのだった。しかし、あいにく私が使っているのはAPS用カメラで、売店などでは手に入らない。高松築港まで行く途中で手にはいるかと期待しつつ歩くもカメラ屋が無く入手できない。閑話休題。高松駅の工事現場の壁に絵が書いてあったのだが、何故か(JR西日本の車両である)サンライズエクスプレス。四国なんだから2000系なり、8000系に(どちらもJR四国の特急車)すればいいのになして他社の車両?なんて思いつつも築港駅に到着。近くに店がないようなので、瓦町に出てみることにする。ちょうど本線の列車が出るので乗ることにするが、この車両も元京急の1060型。ついているなと思いつつ乗り込み瓦町へ。
瓦町駅は琴電そごうを併設しているのでカメラ屋はないかと案内を見るが、どうもないらしく商店街へ。そこでやっとカメラ屋を発見。無事フィルムを手に入れる。瓦町駅に戻ると、陸上自衛隊善通寺駐屯地の第2音楽隊(確かこうだったと思う)が演奏会を始めた。駅と同じ建物のコトデンそごうで自衛隊隊員の芸術展をしており、その関係だそうだ。瓦町駅の改札付近で大河ドラマの秀吉のテーマや瀬戸の花嫁(ちょっとこちらは自信なし。そういえば某ゲームの高松のテーマにはそれらしい旋律?が有ったような)などが演奏された。幸運な事に次の志度線の列車にはまだ時間があり、ゆっくりと聞いたのだった。
次の列車は大町行きとのことだったが、取り敢えず乗ることにして志度までの切符を買う。志度線は他の2線のホームとは違う場所にあり、線路も独立している。少しばかり歩きホームが見える位置に来ると窓の大きな車両が見えた。もしやと思い慌てて降りるとやはり30型。帰るまでに乗れれば運が良いくらいに思っていたので、この誤算には嬉しくてたまらない。取り敢えず正面の写真を撮り、後ろの車両に乗るが、せっかくの大窓車。前面展望を楽しまずに乗った意味があるかと先頭車に移る。途中2両の間の幌の部分の下が1段高くなっており、車高が低いことに気づく。あいにくと乗務員室の後ろの席には小学生がいたので、仕方無しにその後ろに座る。しばらくすると電車は瓦町駅を出発した。
電車はゆっくりと走る。速度計を見る限り速くて50キロくらいしか出ていない。場所によってはもの凄くゆっくり走る。自転車でも抜けるかもと思う場所もあったが、実際にはさすがにそれほど遅くなかった。途中で出会う瓦町行きも皆30型。列車が交換できる駅に着くと、少ししてからゆっくりと対向の電車がやってくる。
電車は大町駅に着いた。折り返し電車もあるからそれなりに大きな駅なのかと思えば、他の駅とさして変わらぬ駅である。反対側のホームに移り、電車の側面を眺めていると運転士が前面の行き先札を「瓦町」に変えて、少しすると電車は瓦町に戻って行ってしまった。次の志度行きがやってくるのは20分後、私はぼんやりとホームの上で待っている。
大町駅から乗った電車も30型だった。今度は正面に貫通路の有る38号車の編成だ。また乗務員室の直後の席に座って前方を眺める。電車はひとつひとつゆっくりと停まりながら讃岐路をてろてろ走る。電車はゆっくりとカーブにはいる。特にカーブがきついのかぐぐっとブレーキをかけゆっくりとまわり出す。海が見える。そう、私が30型の走っているもう一つの路線、長尾線に乗らずに志度線を選んだのは、海が見えるからだった。そんな私の気持ちを察したわけでは絶対ないのだろうが電車はゆっくりゆっくり海辺のカーブをまわった。そして少し行ったところが房前駅だった。帰りはここまで歩いて、海辺を行く電車を眺め(ついでに写真撮影も)しようと思う。
電車は志度駅に着いた。小さいながらも終着駅というわけで駅員さんもいた。さてと、歩いて房前まで行きますか。
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