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太平洋戦記
●大本営統合幕僚本部 日本東京
1941年12月
「総員揃っているな」
海軍第2種礼装を着た将官が、副官に尋ねる。
「はい揃っております」
将官−大本営統合幕僚本部本部長山根雅之海軍大将は、口を開く。
「それでは始めようか。まず諸君に伝えておく。先日の御前会議において開戦が決定した。敵は米英、目標は敵重要根拠地16ヶ所中10ヶ所以上を占領、敵を降伏させることだ。最悪の場合でも最終ターンである728ターンこと47年12月第10ターンまで帝都と本土の継戦能力(工場生産力)を維持し続け、米英と引き分ける事を目標とする」
「ソ連とは開戦しないのですか」
「欧州戦線終結まで、関東軍をソ満国境に張り付けておけば、ソ連は開戦してこない。米英だけでも敵としては強大すぎる。ソ連とは相手が開戦してくるまでは戦わない」
「それでは欧州戦線はどうなるでしょうか」
「欧州戦線は史実と同じ展開で終始する。よってUボートによる技術供与を多く受けるためにもインド洋作戦は早期に実行する」
「インド洋作戦についての話が出ましたが、第1段作戦はどうする予定でしょうか」
第1段作戦とは太平洋戦争の開戦時に日本軍がとった攻勢作戦である。作戦目的は奇襲による連合軍撃滅と資源地帯奪取であり、史実では42年4月9日まで続けられた。
「分かった。作戦方面別に両軍の主な戦力の展開状況と、作戦目標を提示する」
ハワイ方面
日本軍:真珠湾奇襲の為、第1艦隊がハワイ北西に進出
他に潜水艦隊がハワイ周辺に展開中
艦船 空母6、戦艦2、巡洋艦3、小型艦9、商船2
潜水艦30隻(5個潜水隊)
連合軍:太平洋艦隊と陸軍部隊がハワイに展開
艦船 戦艦8、巡洋艦8、小型艦25
航空機 約320機
部隊 約2個師団
要塞守備隊(守備部隊60)
ハワイ方面は開戦と同時に真珠湾奇襲を行う。攻撃終了後第1艦隊は直ちにウェーク方面へ待避。太平洋艦隊が追撃したさいには潜水艦隊をもって対応する。
フィリピン方面
日本軍:アパリに対する上陸作戦の為2個師団が第3艦隊に乗船して台湾沖に展開している。
また攻略支援の為、陸攻と零戦を主力とする海軍航空隊が高雄に展開、陸軍航空隊が台
中と台北に展開している。
艦船 巡洋艦6、小型艦20、商船7
航空機 463機(高雄249機、台中97機、台北117機)
連合軍:米陸軍および航空隊がアパリ、バギオ、マニラなど各地に展開
航空機 アパリに約90機
マニラに約140機
部隊 約4個師団が各地に展開
ただし上陸目標のアパリは1個連隊のみ
フィリピン方面はアパリに上陸作戦を行い、バギオ、マニラと侵攻する。アパリに飛行場を設置。
マレー方面
日本軍:シンゴラに対する上陸作戦の為、2個師団が第4艦隊に乗船してサンジャック沖に展開中である。
また東洋艦隊の出撃に備えて第2艦隊も第4艦隊と行動を共にしている。
潜水艦もマレー沖で哨戒中
艦船 第2艦隊 戦艦2、巡洋艦3、小型艦8、商船1
第4艦隊 巡洋艦9、小型艦16、商船11
潜水艦10(3個潜水隊)
連合軍:英陸軍が各地に展開、英東洋艦隊がシンガポールに在泊
艦船 戦艦2、巡洋艦3、小型艦7
航空機 各地に総計 約200機
部隊 約3個師団が各地に展開
ただし上陸目標のシンゴラは1個連隊のみ
マレー方面はシンゴラ上陸後、シンガポールを目指す。天候不良にてシンゴラ上陸が不可能な場合ブルネイもしくはバンコクに侵攻
タイ方面
史実だと日本軍はタイへは侵攻ではなく進駐であったが、このゲームではタイは攻略せねばならない
日本軍:陸軍航空隊がプノンペン、サイゴン、海軍航空隊がサンジャックに展開
部隊 2個師団(プノンペン、サンジャックに各1)
航空機 621機(プノンペン 279機、サイゴン198機、サンジャック144機)
連合軍:タイ方面の連合軍兵力は至って薄弱。但し背後に大兵力をもつビルマ、インドが存在、警戒を要す
部隊 約1個師団が3箇所に分散
航空機 戦闘機約20機が展開
当面の目標はバンコク その後サイヨクに侵攻
中国方面
日本軍:支那派遣軍指揮下の日本軍部隊が各地に展開している
艦船 上海 小型艦3、商船7
広東 巡洋艦1、小型艦6、商船7
部隊 太原 3個師団 済南 2個師団
北京 3個師団 天津 1個師団
上海 1個師団 南京 1個師団
漢口 6個師団 南昌 3個師団
広東 3個師団
航空機 159機(漢口102機、広東57機)
連合軍:国民党政府軍と人民解放軍が各地に展開
南寧 約2個師団 樂昌 約4個師団
鄭州 約6個師団 長沙 約7個師団
その他根拠地にも若干の守備兵力あり
航空兵力は旧式の戦闘機ばかりで問題にならないが一部根拠地にはP40B
を装備するシェンノート将軍指揮下のフライングタイガースが展開
当面の目標は太原、済南、漢口の部隊で鄭州。漢口、南昌の部隊で長沙。広東の部隊で香港、樂昌
蘭印方面
日本軍:開戦後、本土、朝鮮の師団を動員
連合軍:オランダ軍を中心とする連合軍が各地に展開している。
海軍はABDA艦隊がリンガ在泊
陸軍は総兵力は約5個師団にも及ぶが、まとまった兵力はスラバヤとジャカルタのみ
艦船 巡洋艦8、小型艦23
部隊 約5個師団(スラバヤ、ジャカルタ各1個師団・他根拠地は1個連隊以下)
航空機 各地に戦闘機と爆撃機若干が展開
作戦開始は42年2月頃を予定。(部隊・船舶を終結させ目標海域まで進出するのにこれくらい掛かると思われる)
原油を産出するパレンバン・バリクパパン・ブルネイ、特に精油所がある前2箇所を特に優先する
ソ満国境方面
日本軍:関東軍が各地に展開
部隊 13個師団
航空機 353機
極東ソ連軍(中立):空軍戦力は我が国や米英に比べ、練度が極めて劣悪
部隊 約27個師団
航空機1600機
中立を固持する
日本本土・朝鮮・台湾方面
日本軍:地方別に分類
日本本土
艦船 呉 戦艦6、空母2、巡洋艦2、小型艦15、水母2(横須賀・佐世保にも戦力あり)
部隊 6個師団
父島
巡洋艦4、小型艦4、商船4
1個連隊と要塞守備隊
室蘭
巡洋艦2、小型艦10、商船4
朝鮮
部隊 2個師団
釜山 小型艦4、商船6
台湾
高雄 小型艦18、商船6
連合軍:潜水艦隊が展開してる可能性があるが詳細不明
各地の部隊を順次動員する
南洋諸島方面
日本軍:各地に部隊を展開
パラオ
艦船 空母2、水母2、巡洋艦3、小型艦2、商船4、1個連隊
航空機 33機
クェゼリン
艦船 巡洋艦4、小型艦8、商船4
部隊 2個大隊
航空機 75機
グアム、ナウル、タラワ、ウェークを攻略
「以上だ」
山根はそう一言言うと、席を立ち最後の言葉を放つ
「陛下の希望によりぎりぎりまで交渉は続けられるはずだ。しかし開戦の暁には、我々は本当の総力戦を味わうことになる。それは全ての戦いがZ旗を掲げるくらいの重要な戦いになる。各員のさらなる奮励努力を期待する」
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