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就職試験 我が社の場合
自社紹介
こんなコンテンツを作っている人がいる会社って、どんな大きな所なのだろう、とか思われては大いなる勘違いにつながるので、若干の紹介をさせていただきます。
オフィスが大阪市内に1カ所、現場機関が府下に1カ所、嘱託やアルバイトなども含めた従業員数が25名程度。いわば規模としては中小企業です。が、実感としては零細企業でしょうか。
だから、採用試験も不定期ですし、とれる人数も一人というのが普通。もし、それで失敗したら、ヒラから管理職まで大変な苦労を背負うことになりますので、慎重だし必死です。
大手の場合は、「とりあえず何人確保しなくては」という部分があるとは思いますが、高度経済成長の時代もバブルも終わりを告げ、このような感覚はほとんど残っていないのではないでしょうか。
それに、必要であれば、中途採用であれなんであれ、募集広告を出せば、それなりの人材が集まってくる時代です。
そういう意味では、大手も中小も変わりなく、求職者にとっては厳しい時代です。
相変わらず、「職さへ選ばなければいくらでもある」と言う人はいます。世界的に見て、失業率から言えば、日本はその通りなのでしょう。でも、職を選ばない人なんて、いるんでしょうか?
なお、我が社では、当分採用の計画はありません。
また、あくまで我が社のことを書いているだけですので、あなたがこれから受けようとする企業や団体に必ずしも当てはまるとは言えません。けれども、一般論としては参考になると思います。
我が社の試験
履歴書による書類選考、筆記試験、事務能力適正検査、性格診断、面接、そして作文があります。
書類選考
我が社の場合は、書類選考で不採用が決定すると言うことはほとんどありません。ただし、履歴書や経歴書をもとに面接での質問事項などを検討しますので、重要です。
また、「書類だけで落とす」事はないにしろ、「面接その他でよほど挽回しないと難しい」という判断は下されます。
例えばそれはどんな方でしょうか。
大病の経歴があり、完治しているのかどうかが不明な人。
日本語に精通していない人。国籍は問題になりません。事実我が社には、在日韓国人の方がおります。
転職がやたら多い人。またはひとつの会社での在籍期間が短い方。
逆に、「お」と、目を引く履歴書や経歴書があります。
例えばそれは、就職していない期間、つまりフリーターの時に、何をしていたか、ということなど。
単にアルバイトをしていたのか、何らかの活動、たとえばボランティアをしていたとか、世界各地を旅行していたとか。
もちろん目を引く経歴・履歴については必ず面接の際に話題になりますから、その時に実はその中身がたいしたことでなければ、あるいはそのことについて具体的な説明が出来なければ、逆にマイナスポイントになることも多々あります。
たくさんのことに関して目を引く必要はありません。これだ、と思うこと、たったひとつ、そして、質問を受ければ、きちんと答えられる自信のあること、それだけを主張すれば充分でしょう。
活動としてはやったけれども、自分としては消化不良だったなあ、と自覚してる事柄については、むしろ書かない方がいいのかも知れません。
締め切りに遅れて到着する履歴書に対しては、比較的鷹揚です。しかし、わたしが責任者であれば、無かったものとして扱います。もしかしたら遅れてきたかたが一番優秀かも知れません。だから組織としては鷹揚なのですが、締め切りを守った人に対して失礼だ、と個人的には思うわけで、わたしの採点はからくなります。
「履歴書をお送り下さい」というと、最近は便箋に手紙が添えられていたり、職務経歴書が同封されてくることが多くなりました。
市販の職務経歴書の「職務」を消して、○○経歴書として、自分なりの今までの経験をかかれている方もいらっしゃいます。
筆記試験
筆記試験の内容は、千差万別と聞きます。
だから、実際の受験に際しては、よく下調べをしておいた方がいいと思います。
もちろん、自分が受験する際に出題される問題を知っておくことなど出来ないわけですが、どのような形式で出題されるか知っているだけで、落ち着いて当日に臨めるのではないでしょうか。
人ずてにきいたある出版社での筆記試験の内容は、その出版社の出版物に関する枝葉の問題で、とてもじゃないが普通の受験準備で答えられるようなものではない、ということでした。
出題傾向を知っていたとしてもヤマをかけられるような範疇のものではなく、偶然その本を読んでいたか、本当の本の虫でなくては答えられないだろう、とのこと。
わたしには出題の意図がまったくわかりません。しかし、大手出版社のやることですから、全体の採用がそれで大きく左右されることはないにしても、ある部署において、本当にそういう知識のある人が必要だったのかも、などと類推することは出来ます。
それとも、「我が社を受けにくるなら、そこまで気合いを入れて徹底的に勉強してこい」ということだったのでしょうか。
一般的には「常識・時事」に関する問題と、「学科・知識」に関する問題、「専門・技術」に関する問題など多岐にわたるようです。
ちなみに我が社では、「常識・時事」に関するものが半分、「感性・判断力」に関するものを半分出題しています。
「常識・時事」に関するものについて、出題担当者は「新聞を読んでいれば、100点とれる」といいますが、わたしは40点から50点が精一杯です。出題をするために新聞を読めば、それなりに気づく点が多いからで、何となく新聞を読んでいたのでは太刀打ちできないのだ、とわたしは思っています。
またわたしは、受験者の興味分野の広さを是非知りたいので、「宝塚歌劇の4つの組の名前を全て答えて下さい」(当時は5つ目の組はまだなかった)という問題を作ったのですが、没になりました。
昔、流行したそうですが、「創立者の名前を答えて下さい」というような問題も、以前はありましたが、最近では我が社でも出題していません。
「感性・判断力」に関する問題は、ユニークなものだと自負しています。
例えば、「来年の干支をイラストで描いて下さい」とか、
「一週間無人島で暮らすときに何か三つ必要不可欠なものを持っていくとしたら、あなたなら何を持ってい行きますか?」などです。
無人島に持っていくものとして傑出していたものは、色々な料理に応用が利くという意味で「中華鍋」というのがありました。そのとおりで、独身者がとりあえず煮炊きをするためにひとつだけ何かそろえるとすれば「中華鍋」なのだそうです。また「なた」というのもありました。木を切ったり草を刈ったり出来るし、武器にもなるというのです。
この問題には正解が無く、理由付けが納得できるものであれば、得点に反映します。
そのほか、山での行動中にアクシデントが起こった場合の対処方法など、これなど知識と判断力の両方が必要になります。
我が社の場合、面接の次に重要視されるのが、筆記試験の成績ですが、なにぶん規模が小さいので、やはり面接が最重要であり、それを補完するもの、という程度の位置づけです。
その時により難易度が異なりますから、点数のいい悪いはあまり参考にならず、特に成績がいいものが高く評価され、成績の悪いものは低く評価されるが、平均的な点数であれば、評価の対象になり得ません。
但し、感性や判断力に関する問題では、点数とは別に、目立つものにチェックが入ります。良きにつけ、悪しきにつけ。「悪しき」と判断されるのは、「まじめに考えてないようだ」「取り組みの真剣さが足りない」と感じさせるもので、それくらいなら書かない方がマシ、といえるでしょう。
もちろんこれは我が社に関して、のことですから、一般論に当てはめるのは危険です。
ただ、今後大企業でも、今までやらなかったような出題が、突然出されたりすることが考えられるでしょう。
事務能力適正検査
やる方もこれは神経がする減るだろうと思うけれど、採点する方もたいがいではありません。ああしんど。
たくさん並んだ図形や数字や記号から異なっているのを見つけたり、時間内にたくさん三角形を書いたりと、いやもう大変です。
市販の試験ですから、採点結果についてもそれなりの指針があり、事務専門職ならばいいかも知れませんが、そうでないならねえ。
でも、事務を抜きにして語れる職種って、ほとんどないんじゃないでしょうか。日報や企画書を書くのもまあ事務ですから。
詳しく分析すれば、色々と特徴が出るんでしょうが、おおざっぱなところでは、0点が標準、確か+3から−3まであって、プラスであるほどいいわけです。
当社では0までは不問、マイナスがつけば要注意です。よほど面接で好印象を得ないと採用につながりません。いわば、合格者を選ぶための試験ではなく、特に劣る人を排除するという目的の、消極的な試験です。
性格検査
こういう試験は個人的には賛成しかねるのですが、ナントカ式とか言う著名な方式によるもので、検査自体は大変良くできていると思います。
試験は、たくさんある質問に対して、瞬時に直感的に答えてもらうもので、「いつまでもくよくよ考え込むタイプだ」などという質問に、ほんの数秒で、「はい」「いいえ」「どちらともいえない」のどれかを必ず選んで解答します。
採点結果としては、全体の大きな傾向と、細部との両方がわかり、
例えば、「社交的」か「内向的」かなど、いくつもの事項にわたって分析されます。
また、全体の傾向としては、ノーマルかノーマルの亜流など、それに近いタイプであれば、特に問題視されず、滅多に出てこないタイプであれば、チェックとなります。
細部の傾向まで見ていくのは特に必要と思われた場合です。
文章にすれば、「普通のタイプだけれども、少し攻撃的な性格傾向と、社交的な傾向が見られます」などというふうにまとめることができます。
しかし、採用・不採用に関して言えば、我が社の場合「アブノーマル」を排除するというような、消極的な目的で使われています。
こういう部署では今こんなタイプの人間が不足していて、その人が入ることによりこのように活性化するというような戦略構想があれば、この検査は有効だろうと思いますが、そこまでやっているところがあるのかないのか、わたしは知りません。ただ問題なのは、そこまで戦略構想をして採用・配属をしても、上司や同僚がその性格を生かし切れないという問題は残るでしょう。
会社独自で設問を作っているところもあり、セクハラ的な項目があるという話も聞いたことがあります。
面接試験
我が社ではこれが最重要視されています。「最」がつくかどうかは別として、これを軽視しているところはないでしょう。事業所によっては、履歴書を見ながら面接をして即決、というようなこともあるでしょう。
緊張するな、といっても無理でしょうけれど、別に「緊張しすぎてはいけない」とか思い詰める必要もないんじゃないでしょうか。
その時の自分にとっての自然体で、変に格好を付けず、礼節さへわきまえ、はきはきと受け答えすればそれでいいと思います。格好を付けて、つっこんだ質問をされたら、ぼろを出すだけです。
それに、実際の採点は、質問が始まる前にかなり進んでいると思って下さい。
会社の規模や性格にもよるでしょうけれど、うちの場合は、受付にきたときの印象なども後で担当者にきいたりします。
一度僕は面接を前にして、履歴書を見ながら、本人のこれまでの生活や職歴などに全く関係ないであろう質問をしようと、質問の原稿を書いたことがありますが、本番では採用しませんでした。
それほど、本人を目の前にしたときの「感じ」が、やはり大きく印象を左右するわけです。
また実際にかなり多くの面接の場面で、本人の予想を裏切った質問をして、どう対応してくるかを見極めようとしていると思われます。そしてそれら質問は、本人の人生観を問うようなものまで含まれているはずですから、知識を暗記すればいいというようなものではありません。また、職種によっては当然専門的な質問を受けますから、これは知識や経験、またそれにもとずいた自分なりの見解がなければ答えられません。
結論として、各種試験の中で取り繕いが一番できない試験ですから、自然体で素直な気持ちになって取り組んで下さい。わからないことは、わかりませんと答えればいいのです。
作文
我が社では、前回の試験ではじめて「作文」というのを取り入れました。これは僕の発案によるものです。
作文といっても、試験当日にするのではなく、事前にテーマを与え、当日書いたものを持参する、という方式で、しかも提出は任意としました。
要するに、面接などで極度の緊張により自己主張が出来ないおそれがあると思う人は、それを補完する意味で、作文を提出して下さってもかまいません、というスタンスです。
提出者はおおよそ8割でした。
最初、字数制限は設けないつもりでしたが、責任者の裁量で「テーマの設定」と「字数制限」がもうけられました。
なぜ、字数制限をしたくなかったか。それはこの作文の採点基準として、「文章の巧拙」「字の上手下手」はとわない、としたからです。字数制限を設けることは、すなわち「文章の巧拙」を問うことになります。
また、上手下手は問わないのですが、丁寧に書いてるかどうかは問うことにしました。もちろん問いますよ、とは言明していません。
採点者はわたしですから、わたしなりに基準を作って要旨を要約し、同時にABCDの採点をしました。要約するという作業は大変で、不公平が出てはいけないので、「基準」を作ったのですが、最初は良くても、その基準によれば、やがて「何を主張しているのかわからない要約」になってしまったり、本人が言いたい肝心の所が伝わらなくなってしまいます。
そうすると、最初の作文に戻って、新たな基準により要約の作り直しです。
字の上手下手は問わないといったものの、書いてある内容が立派で、しかも字が上手いとなれば、得点は上がります。
ちなみに「不可」に相当するDはなく、Aが確か2名ほど出たと思います。
面接を補完するものですから、Aというのは驚異的な採点結果で、作文の分野では「採用」に位置づけられます。
但し残念なことに、前例のない試験であり、採点でしたから、役員の人などにはいまいちぴんとこなかったようでした。
家で書いてきて提出または郵送というような作文はさほど無いと思われます。作文が出題されるのなら、当日テーマを示されて制限時間内で書かされるのが普通でしょう。
この場合は、「はじめ」の合図でいきなり書き始めないことです。字数制限があるはずですし、書く内容さへ決まれば、制限時間の最後の4分の1で充分書ききれる量だと思います。これでは少し不安なので、3分の2が考える時間、残り三分の一が書く時間というようにして、じっくり内容を練った方がいいでしょう。
書きながら考えるなどということはしない方がいいのです。主張や内容が途中で変わってしまったり、一貫性が失われたりしてしまいます。
頭の中だけで全体構成を考えるより、メモを作りながら構成をしていった方がいいとも言えます。
限られた時間ですから、まず結論を考えます。
その結論というのは、今までの自分の生活体験や身につけた知識や教養が元になるわけですから、何故その結論が出たかを自分で分析するのは比較的容易なはずです。それを文章として構成すればいいわけです。
実際に書くときも、結論から書いた方がいいようです。結論が最初に出ることによって、読み手の興味を引き、なぜこの受験者はこういう結論を出したのか、それを知るために読み続けてもらえます。
もうひとつ、他人が書きそうなことは書かないと言うテクニックが必要でしょう。
これは確か新聞社の入社試験で「今朝の行動」かなにかのテーマが出され、その採点を担当した人が後に「文章講座」の本を執筆、その中で書かれていたことなのですが、ほとんどの人が「目覚まし時計のベルで目を覚まし」と書きはじめていたのだそうです。採点が苦痛だとも書いてありました。
採点が苦痛なのはテーマの出し方に原因があり、例えば「もっとも印象深い旅」などというテーマなら、書き出しがほとんど同じということはなかったでしょう。もっとも「わたしのもっとも印象深い旅は、...」などと書き始める人はたくさんいたかも知れませんが。
今朝の行動というテーマなら、「生まれて初めて水のシャワーを浴びた」なんて書き出しならきっとその先も興味深く読み進んでもらえるのではないかななどと思ったりしました。
目覚ましのベルで起きて、朝食を食べ、荷物を整え、電車に乗り、なんて作文を書くぐらいなら何も書かないのと同じ事です。
グループディスカッション
我が社の採用試験にはありませんのが、採用する立場から見ると、ねらいはおおよそ理解できます。
この場で必要なことは、必ず発言すること、そして、その発言内容がその時のディスカッションの流れに合致していること、この2点だと思います。
自ら議長をかって出るように、というようなことが就職試験マニュアルには書いてあるらしいのですが、これはハイリスク・ハイリターンな手法でしょう。
そういうことになれている人ならともかく、そうでない人がいきなり議長なんて出来るわけないのです。
議長をかって出た人だけが、選考の対象になる、と決めている場合をおそれて、マニュアルにはそのようなことが書いてあるのかな、などともかんぐってみたくなりますが、慣れない人が議長をしてディスカッションが上手くいかなければ結果として同じ事。議長が出来る人だけが採用対象だったんだから、自分は場違いだったとあきらめ、発言内容で勝負をし、「議長しか選考対象にならない」などと決めていたのは誤りだったな、いい人材がいるじゃないか」、そう思わせる方が賢明です。
プロの採用担当者ならそのあたりのことは見抜けるはずですし、見抜けなければ所詮その程度の会社ですし、見抜けたけれども最初の取り決めがそうだったからダメだなどと判断するような会社はたかが知れています。
議長としてディスカッションをまとめることに右往左往するより、積極的に発言することに心がければそれでいいと思いますが。
英語面接
冗談みたいだけれど、英語で面接をしたことがある。面接官はもちろんわたし...ではない。
海外への派遣添乗員の募集だったんだけど、受験者にはあらかじめ知らされていない。募集の時に業務内容と、英語が堪能な者、という条件が出されているだけだ。
僕は横で見ていただけだったんだけど、さすがとしかいいようがなかったですね。
しかも、面接官は、彼らの英語の善し悪しまで判断するのだから、本当に大した者である。
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