このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

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旅のあらまし


受験勉強をしながら見たテレビで、ユーラシア大陸横断の貧乏旅行をする猿岩石に憧れた頃、 進学というレールから外れることを、ただ恐れているだけの高校生だった。 沢木耕太郎の深夜特急を読んで、鳥肌を立てた頃、入社1年にして会社を辞めて、 ワーキングホリデーでオーストラリアへ行こうと、不安を抱えながらも、夢へ向かっている自分に酔いしれていた フリーターだった。そして、ワーホリの後、すぐにでもアジアを旅する旅人になるつもりが、 懐はスッカラカン。フリーターで、かけもちバイトをするよりも、9時〜5時勤務のOLに憧れ、派遣社員となって日々は過ぎた。

1年で辞めるつもりだったが、懐は暖かくならず、「3年働き、旅に出て、転職 ・1人暮らししよう」と決めて働いた。 従来のOLであれば、ブランド物、服、海外旅行、新車、はたまた結婚資金などに注ぎ込むであろうお金を、 旅に、1人暮らしにと貯金した。いつも先のことに目標を置いて、今を充分に楽しまないままに過ぎた感もあった日々。 そして様々なしがらみにより、ズルズル延長し、3年8ヶ月経過。「沢木耕太郎が旅に出た、26歳という年齢が過ぎてしまうではないか!!!」 と焦り、 無責任だと思いながらも、やや強引に、やっと辞めれることになった。

仕事も一人前にできるようになったかと思えば、退職。今まで育ててきてもらった分の力を発揮するのは、 これからではなかったのか?(そんなたいした仕事でもないが) 稀にしか見れないような、良い職場。良い人たちに囲まれ、良い先輩に出会い、仕事以外にも学ぶことはたくさんあった。 先輩は辞めてしまったけど、良い職場で(それでも毎日顔を合わせる身近な人に対する愚痴は出てきてしまうけど。)、先輩をめざして働き、今を楽しく過ごし、安定した日々を過ごせばいいんじゃないの? あと少しで、今やっている仕事がなくなると言われている時期(そう言われながら、1年は経ってるけど・・・)、 こんな時期に辞めるなんて、なんて無責任な!!誰に言われたわけでもなく、自分自身で思うことは、人からの批判のように刺さる。 人の目が気になる。自意識過剰。いい人でいたい。衝突したくない。

何ができるという器を持ち合わせていないことは自覚しているつもりだけど、でもまだもっと自分の力を発揮できるような、 諦めじゃなく、心から楽しめるような、誇りを持って取り組める仕事があるんじゃないか?現実は、そう甘くはなく、 そんなことは理想にしか過ぎないのだろうけど。 でもそう思うからこそ、転職したいと思うんだった。そういえば、そうだった。

そして、旅に、バックパッカーというものに、憧れを持って生きてきたんだった。 従来のOLの思考のほとんどを占める、恋愛とか結婚よりも、自分の出来る仕事や、やりたい仕事や、旅のルートばかり考えて きたんだった。それは、恋愛や結婚を諦めたかのようにも見えるんだったっけ。

大切な人ができたなら、仕事よりも、自分がやりたいことよりも、その人と歩む人生が一番大切だと思うものなのだろう。 そういうふうにして、身近な友達は結婚し、妊娠し、出産し、一戸建てを購入し、人生を進んでいる。 同じ環境の中で、昨日も今日も変わらない同じ日々を繰り返し、時に怒ったり泣いたり笑ったり喜んだり。 結婚した友達や先輩を見ると、そういう平凡な日々や日常の中に幸せはあるのだと思う。 嫁姑問題とか、家のローンについて、ゆくゆくは旦那の実家に入るとか、高齢出産は大変だとか、育児にかかる費用、 そういう現実的なお話も、身近な話題として耳に入って来る今日この頃、 普通に結婚に憧れとけばよかった、猿岩石とか深夜特急とかに憧れなければよかった、と思ってしまった。 「旅」なんて、非日常的な、世間ズレしたこと、なぜやりたいと思ってしまったのか?そんなことしてる場合とちゃうで! 私、ちょっとおかしいんとちゃう?アホちゃう?と思いはじめてしまった。現実的な考えが、頭の中の多くを占めるようになった、26歳。

貧困、飢え、戦争、売春、麻薬、犯罪、日本では知りえない、報道されない色々なことを旅して知って、 一凡人の私が考えたからって、何になる?世界を見れば、視野が広がった気になるけど、だから何? それで私に何ができる?世界は何か変わる?また、元の生活に戻れば、そんな考えは、当たり前の平凡な日々を生きる 妨げとしかならないのではないか。平凡な日々を生きるのが、苦しくなるだけなのではないか。

ここで旅することを諦めたとして、考えるだけで、何もやらなかったとして、それはまた一つの生き方。 やっと真っ当な社会人になれそう。でも、懲りずに私は言い続けるだろう「旅がしたい」と。 そして歳を重ねれば「旅がしたかった」「旅をするはずだったのに」「若い人はいいわねー、自由で。」なんて 愚痴るババアになってしまうだろう。そうはなりたくねぇー!

というわけで、ほんまにできるのか?行けるのか?こんなことしてていいの?現実見ようよ! 帰国後、日本社会に馴染むことに苦労するで!しかも、こんなに甘い良い職場で働いてきたから、なおさら。 アホちゃう?あー、行くのめんどくさいなー。 家でダラダラしてたいなー。とか思いながらも、 旅に出ようと思います。

(2005,10,23)


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