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「セントラルライナー」新ダイヤと
座席指定席制度一部変更の概要とその考察


2001年3月3日以降の「セントラルライナー」時刻表
▼下り(名古屋→中津川)
列車号数名古屋多治見中津川
1号9:309:5610:32
3号10:3010:5611:32
5号11:3011:5612:32
7号12:3012:5613:32
9号13:3013:5614:32
11号14:3014:5615:32
13号15:3015:5616:33
15号16:3016:5617:33
17号(平日)17:2017:4618:23
〃(土休)17:3017:5618:33
19号(平日)18:2018:4619:23
〃(土休)18:3018:5619:33
21号(平日)19:4020:0620:43
〃(土休)19:3019:5620:33
【補足】
赤枠は増発分。
2001年3月3日のダイヤ改正における、「セントラルライナー」の改善点は、
列車本数の増発と、一部列車の運転区間延長であり、その詳細は以下のとおりである。
1.列車本数の増発
【下り】(名古屋発)
平日:17時台(17号)、19時台(21号)
土休日:19時台(21号)
【上り】(中津川発)
平日:18時台(20号)
土休日:18時台(20号)

2.運転区間の延長
【上り】2号・4号:瑞浪発を中津川発に変更。

増発・運転区間延長の背景には…
意地でも利用者数・乗車率を増やし、増収を目指しているのがわかる。かつて、JR東海の運輸営業部長が
述べた、『セントラルライナーは定員に対して終日平均で約6割の乗客があり、非常に好評だ。』
(中日新聞2000年2月15日朝刊)という発言に対して、それを疑問視する鉄道ファンや沿線利用者の声が
あった。今回のダイヤ改正の目的には、その疑問を一蹴するために利用者の獲得を狙ったのではないか
と見られる。

平日下りの17号・21号登場の背景には、平日に最終の19号は、早めの「ホームライナー」として位置付け
られており、通常の2倍である、6両編成でも立客がでる盛況ぶりである。そのため、その前後で増発し
集客(=増収)を狙っているのだろう。

▼上り(中津川→名古屋)
列車号数中津川多治見名古屋
2号9:169:5410:21
4号10:1610:5411:21
6号11:0811:4612:13
8号12:0812:4613:13
10号13:0813:4614:13
12号14:0814:4615:13
14号15:0815:4616:13
16号16:0816:4617:13
18号17:0817:4618:13
20号(平日)18:2819:0519:33
〃(土休)18:0818:4619:13
【補足】
赤枠は増発分。
黄枠は運転区間の延長。
また、上り2号・4号の中津川〜瑞浪延長の背景には、高蔵寺・多治見・土岐市・瑞浪で「CL」の別料金(310円)
に対する割高感が強いため、「CL」は敬遠される傾向にあったので、瑞浪発「CL」は乗車率が芳しくなかっ
たことが挙げられる。そこで310円に割高感が高蔵寺〜瑞浪よりは薄く、「CL」を比較的利用しやすい環境に
ある、恵那・中津川地区の乗客にターゲットを変更したのではないだろうか。土曜・休日を中心に高乗車率が
期待できると見られる。

中央線新ダイヤの感想
今回の改正点は「CL」21号の新設があった名古屋発下りの19時台と「CL」運転区間延長のあった 中津川発上り9〜10時台のダイヤぐらいであったため、「CL」に伴う、その時間帯の列車運転本数 の変化が気になっていた。前回(1999年12月)ダイヤ改正では既存の快速が「CL」に振り替えられ、これが 「改悪」批判の的となったため、今回はその振替がないように祈っていた。

新ダイヤを確認(「JTB時刻表」2001年3月号による)したところ、中津川発上り10時台の列車は1本「CL」に振り替っていたが、
名古屋発下りの19時台と中津川発上り9時台は純増
であることがわかった。さすがに名古屋発下りの19時台はラッシュ時間中であり、「CL」振替はないと信じていたが、 中津川発上り9時台は予想外であった。「CL」の新設・運転区間延長による、今回のダイヤ改正の内容は まずまずの結果だったといえると思う。

座席指定席制度一部変更の概要
これまで「CL」は乗車整理券券売機が席を機械的に振り分けるため、2人 以上で利用する際に隣同士で座れず、離ればなれになることが問題視さ れていた。今回の変更は「調整席」利用して隣同士での着席を実現させ、 グループ客の座席問題を改善することが目的と見られる。その詳細は 次の通りである。(参考:「朝日新聞」名古屋本社版2001年2月11日朝刊)

【概要】
これまで、あらかじめ乗車整理券を購入しない飛び込み客のために、 1編成つき3席あった「調整席」を大幅に拡大し、2000年2月13日より 平日は最大14席、土日祝日は最大30席にする。また、2000年3月3日 ダイヤ改正後は土日祝日の車両を3両から6両に増結し、下り(中津 川行き)は38〜46席、上り(名古屋行き)は18席になる。
【調整席の利用方法】
隣同士に着席を希望するグループ客は、車掌に申し出て空いている調整席に案内してもらう。ただし、調整 席が埋まっている時は希望に添えない。


「CL」調整席に関する疑問
1.「調整席」を設けても「CL」利用者の不安はまったく軽減されないのではないか。
2人以上のグループ利用で座席がバラバラになった場合は、車掌に申し出て「調整席」に案内してもらう とのことだが、乗車整理券を購入しておきながら「CL」乗車前に「調整席」が確保されているかの確証が まったく得られないのは、利用者に不安を与えはしないのだろうか。特に座席配分が各停車駅で少ない上 り「CL」で、車掌が早い者勝ちで「調整席」の配分を行った場合、名古屋寄りの土岐市・多治見・高蔵寺 の利用者がその要望を出した時には、すでに調整席が埋まっている可能性があり、これらの駅からの利用 者の要望には応えられない可能性がある。「調整席」制度は、利用する駅によって乗客にサービス提供の 不均等をもたらす危険性がある。

2.上り「CL」中津川→多治見での座席追い出しは激化するのではないか。
「CL」では、中津川〜多治見間を利用の場合は乗車券だけでも利用可能となっている。また、上りでは乗 車整理券を持った乗客に座席を譲ることを条件に、空いている座席の利用もJRは認めている。しかし、現 在すでに上り「CL」で中津川〜多治見を乗車券だけで利用する際は、常に追い出しの不安を持って座席を 利用している。そのうえ今回の「調整席」制度を導入しては、座席の追い出しは激化し、この区間を乗車 券だけで利用する乗客の心理的影響は更に悪化する可能性が高い。すでに上り「CL」では、座席が空いて いても座らない乗客を多く見かける。彼らも正当な乗車方法を行使しているのであり、この乗客への配慮 が必要なのではないのか。

「CL」は変革できるのか?
答えは「No」である。「CL」不評の原因は、列車本数の少なさではなく、利用方法が複雑であるのと、 列車の設備・サービスに310円を支払うだけの付加価値が伴わないことである。(これは 『セントラルライナー』の問題点 で述べた)

2001年3月のダイヤ改正では新車両2編成(6両)が導入されるそうだ。これまで、土曜・休日を中心に 集客力アップを図るため増結をしたが、「CL」車両(313系8500番台)だけでは車両数がが足りなかった ため、「応援」として、383系電車(特急「しなの」用車両)や373系車両(特急「伊那路」、「ムーン ナイトながら」用車両)を起用し、これらは乗車券+310円で特急車両に乗れるということで「乗り得 列車」として注目され、「CL」を支えてきた。しかし、今回の車両新造でこれらの応援も無くなるとみ られ、以前から各所で指摘している座席数の少なさや車内設備のレベルは、特別料金を徴収する列車車両 としては、低水準の内容で統一されることとなる。現在の車内設備・サービスのままで、リピーターが付 くのは至難の業であるように思える。

「CL」は既存の快速列車を犠牲にしたうえで登場した列車であり、その犠牲に対する代償が利用者に認め られるレベルで提示できなければ、「CL」は今後も敬遠される列車のままで推移すると思われる。

また、今回の「調整席」による座席制度変更も、「CL」の座席に関する問題を解決するには程遠い。 「希望した座席をそろえられるようにするとソフトの変更で費用がかさむ」(「朝日新聞」名古屋本社 版2001年2月5日夕刊)とJR東海担当者は言っているが、座席システムの欠陥を改善する気はないのだ ろうか。「CL」に抜本的な改善(=投資)が無い限りは使いにくい列車の汚名は返上できないのではな いだろうか。

列車本数を調整し意図的に利用者を誘導しようとする、あざとい方法で収益を得ようとせず、「いかに 調整したら利用者が積極的に利用するようになるのか」ということを考えるべきである。「CL」の影響 を直接受けない、鶴舞・大曽根〜神領の各駅においても、列車間隔が不均等になるなどの問題が発生して いる。今後も「CL」を維持させたいのなら、沿線利用者の理解を得られるような、抜本的な改善策を講 じる必要がある。「CL」はJRが目先のわずかな利益獲得のために、列車自体の魅力を失わせ、利用者の 需要に応えられずにいる。その損失は現在の「CL」による利益を大幅に上回っているに違いない。

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