このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



北京の音楽会
(1月4日)

  中国の年末は何も無いと言ってもいいかもしれない。デーパートにクリスマスの飾り付けがある程度で、日本の年末のような賑わいは無い。しかし良く探してみると、クリスマスから新年にかけて、結構音楽会が多い。それでせめて音楽会にでも行こうと思って、調べたら、何故かロシアから来るものが多く、白鳥の湖などを踊るロシアからのバレー団の予定もあった。やはりロシアが近いせいかもしれない。今回見に行ったものは、音楽会ではないが ロシアのダンス で、シベリア国立なんとか舞踊団とい言うのを見に行った。舞踊団の名前は、西洋の名前を漢字で音訳するので、あまりハッキリ分らない。 シベリア国立ダンク舞踏団 と読めるのだが。ダンクはダンスの中国訛りだろうか、ロシアの地名でもあるのだろうか。

  やはり音楽会や ダンスは楽しくてきれいなのが いい。この舞踏団も楽しくて、 ロシアの美人が出演して いて、とてもよかった。切符は180元の切符をダフ屋が150元と言うのを、140元にして買った。おまけに前の方横の席が空いていたので、そこに座ることが出来た。更に幸運なのは、写真が撮れるかもしれないと思って、デジカメを持っていったのだが、これも予想通り、ばっちり写真を撮ることが出来た。そんな訳で随分得をした気になった。ダフ屋から切符を買うのも、ダンスなら写真をとってもかまわないのでは、と予想したのも、何回か音楽会に行った経験からである。

  音楽会はよく行くのだが、その内容をよく確認しなければならない。西洋の音楽家の名前は、中国語になるとほんとに分り難い。中国風に訛っているので、誰のことなのなかなか分らない。チャイコフスキーは"柴"で始まって、ベートーベンは"貝"の字で始まってとか覚たえが、ショパンの字は・・・・・  何だか忘れたがショパンくらいまでは読めるのであるが。

  音楽会の曲目も何をやるか良く確認しなければならない。音楽会の曲目を良く確認する必要があるのは、一つには中国の愛国の曲や、過剰な祖国の賛歌は避けたいからである。これが結構多い。愛国の歌が悪い訳ではないが、そのような歌を何時も聞かされると、何でこんなに多いの?と思ってしまう。実は音楽会に愛国の歌は少ないほうで、多いのはテレビである。中には軍服を着た解放軍専属歌手がいて、この人たちは朗々と愛国の歌を歌う。祖国を称えるのは当たり前だといっても、テレビではあまりに多いので、やはりこれは政治的宣伝でもあるのだろうかと思えてしまう。

  何だか日本の右翼の愛国の歌に似ていなくもない。例えると、親が次ぎのようなことを、毎日子供に言っているようなものである。"我が家は、古くからの名家で、代々続いる立派な家柄なのだからそれを忘れない様に"とか、"この家をここまで立派にしたのは、お爺さんや私が、苦労して苦労して、ここまでにしたのだからその恩を決して忘れない様に"とか、お説教臭い政治的メッセージが含まれているように思える。 もっと深読みすると中国がここまでになったのは、誰の御蔭か知らしめて、現状に文句を言わせないようにしているとか・・・・・・・・。

  わが故郷を、真っ赤に昇る太陽に喩えて歌う故郷賛歌。故郷は誰にとっても懐かしいものである。私も日本の歌をたまに聞くと懐かしくなる。しかし過剰な故郷賛歌、そしてそれが度々繰り返されると、何の為にと考えてしまう。そう言えば少数民族の歌や踊りも、オリンピックやWTO加入の番組には必ず出て来る。これもきれいではあるがそういった歌や踊りがとても多くて、それが繰り返されるのは何故なのだろうか。故郷賛歌にも関わらず、外国に行ってしまいしたい人は結構多い。少数民族の踊りは、中国では少数民族の問題について、何の問題も無いと言うメッセージだろうか。多民族国家であるアメリカでは、少数民族の歌や踊りを、こんなに放映しているのだろうか。

  "黄河"と言う中国のピアノ協奏曲があって、時々演奏会で演奏される。この曲については、有名なピアニスト中村ひろ子さんが、個性の発揮であるべき作曲を、共同で作るなんて、と言っていたが、この曲は、社会主義華やかななりし頃、芸術で人民に奉仕するべく4、5人の作曲家が共同で作曲した曲だそうである。私が聞いてみても相当陳腐な感じがする。私の感想なんて、何のあてにもならないが、加山雄三(団耕作と言う名前だったか?)が作った交響曲と同じレベルかもしれない。勿論この曲を聞いたのは、音楽会ではなくてテレビで聞いたのである。

  まあ、お金を出してまで、音楽会でこんな音楽を聴きたくないわけである。キャンペーン用の音楽って、あまりいいものが無いと思う。愛国の歌で、シベリュウスの"フィンランディア"やチャイコフスキーの“1819年”(年はこれで正しいか?、ロシアがナポレオンの侵略を追い出したことを基に作曲した)などの名曲があるが、中国の歌で世界からも評価される愛国の名曲があるのだろうか。

  先日テレビで聴いた歌は、幹部の指導の下に、私達には明るい未来がある、と言ったような歌詞だった。そう言えば、我々日本人はあまり指導者から指導された自覚が無い様に思う。政治・政府の指導者が、政治的指導をするのが当たり前であるが、それだからと言って、日本では指導者様のお蔭ですとは、あまり言わない。これはわが国の指導者に能力が無いのか、宣伝が足りないから感謝しないのか。そうではなくて、もう宣伝される必要が無いほど文明開化されているからなのだろうか。

  いまの日本の世の中では、中国の様に、指導者に感謝し、高度成長を遂げた先輩の業績を称えてもいいかもしれない。日本でも真っ赤に昇る太陽の様に、明るい未来がある事を宣伝したほうがいいかもしれない。日本がここまで成長できたのは誰の御蔭か知らしめて、現状に文句を言わないようにすれば、この不況を乗り越えて、もっと明るい将来が開けて来るかもしれない。

        ロシアの踊りの写真は ここをクリックすると 見えます。

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