このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください



よく見るとわかる日本と中国の違い
(7月27日)


  今回、日本に戻ってみて、始めて分かった違いであるが、日本でよく見かけて中国では殆ど見ないものは、中年、又は老年の女性だけの会食である。中国でも最近は若い女性だけの会食は時々見かけるが、中年以降の女性だけの会食は殆ど見かけない。勿論公式な席での女性だけの会食は有るのだろう。しかし女性だけで個人的に楽しむ会食はしないらしい。上海などの様子は分からないが、北京のような都会でも見かることはない。これは豊かさの違いと言うより、女性だけでレストランに行って食事などするものではないと言う、社会的制約みたいなものがあるのかもしれない。それにしても中国では若くない女性だけでは、買物や映画に行かないのだろうか。出かければ途中で食事位はすると思うのだが。毛沢東に、天の半分は女性が支えているなどと煽てられてはみたものの、意識の上では遅れているのかも。中国の中年以上の女性は、レストランへ行く場合、未だに男性に連れていって貰うものと考えているようである。私の妻などは女同士でよく出かけるので、どこのレストランが美味いかなど、私よりよく知っている。これをもって私の妻の方が、女性の意識が高いと言うつもりはないが。

  日本で中国人を交えて会食をした時の話であるが、高級料亭の支店で食事をした。そこで給仕をしてくれた人は、全員中年又は老年に近い和服を着た婦人であった。これに対して、中国人は何故腰の曲がったようなおばあさんが、と言っていた。そう言われれば、中国のレストランではいずれも若い女性だけがサービスをする。特に高級レストランでは奇麗な若い女性を揃えるらしいから、この料亭の様に中年の女性が料理を運んで来るようなことは無い。中国でも、経験のある中年の仲居さんのような人が居てもいいのではと思うのだが。日本では居酒屋でも結構年のいった女性がテキパキと働いている。もっとも中国には居酒屋など無いのであるが。中国のレストランに若い人しか働いていないのは、人が余っているからなのだろうか。それともサービスしてもらうには、若い女性の方が良いという、社会的基準みたいなものがあるのだろうか。中国では男でも結構早く退職してしまって、年寄りでも働いている人はとても少ない。

  この料亭で食べたご飯は美味しかった。米の粒が光っていて、隣の粒と適当な間隔、硬さでくっ付いている。決して緊密に結びついてはいない。ご飯の中にグリンピースが少し入っていて、上には海苔の刻んだのが載っていた。ある人の書いたものに、お茶漬けも料理の一種だと書いてあったが、確かにこのご飯も料理の一種と言えるだろう。こんな料理は中国には決して無い。中国でも同じように作れるだろうが、そこまでご飯にこだわる人が居ないから、需要も無いに違いない。中国ではご飯は料理の一種にはなり得ないと思う。日本でのように美味しく炊かれたご飯を、中国で食べたことが無い。そう言えば、麺類の専門店も日本の方がずっと多い。中国では麺類を専門に売っている店は少ないので、麺類もちゃんとした料理の地位を獲得していないのではと思う。米にも麺類に日本ほどにはこだわらないようである。
(今思い出したが、中国で美味しく炊かれたご飯を食べたことがある。それは北京の日本料理屋のご飯だった)

  日本で良く見えて、中国ではあまり見えないものは墓である。中国に墓が無い訳ではないが、都会の近くや街の中には全く無い。中国の都会では墓を作るのは禁止だからであるし、墓にする土地が殆ど無いからでもある。しかし中国人から見ると、日本の様に街中に墓があるのは不思議らしい。中国人にとって墓は気持ちの悪いものであるらしく、出来るだけ遠くに置きたいらしい。中国では遠くの山の中腹などに、饅頭みたいな墓が見える。その点日本人にとって墓は、近くにあってもそれ程、気にならない物のようである。

  中国では恋人同士が体を向き合ってピッタリくっ付けて、じっとしている姿をよくみる。それも人通りの多いバス停の近くなどそうしている。あまり話もせず、お互いに腰や肩を抱きあって、じっとしているのである。恋人と体をピッタリくっ付けたい気持ちはよく分かるが、何故あまり話もしないでじっとしているのか、何故立ったままなのか、何故人通りが多い所に居るのかが分からない。せめてベンチでも捜して座ればいいのにと思うのだが。日本では恋人同士で行くところが沢山あるから、人通りの多い所でじっと抱き合ったまま立っているなんて事は無いと思う。あれは鳥の求婚のときのディスプレイみたいなものの一種なのだろうか。恋人が出来たことをディスプレイしているのだろうか。本当は当人に聞いてみたいのだけれど、こればかりは聞くわけにもいかない。

  しかし中国には中国なりの、恋愛に陥ったときの作法みたいなものがあるに違いない。それは日本と少し趣をことにするようで、例えば日本で社内で恋愛関係になった場合、会社の中で隠す人も多いと思うが、こんなことは多分中国では、許されないことだろう。中国では「私はあなたのことで頭が一杯です」とか、いかにも一生連れ添うのにふさわしい人を見つけた!、と言うようにひたむきに、素直に愛情を表現するのが、中国式であるらしい。社内で恋人を見つけても、巧くいかない場合を考えて隠すなんてことは、相手に不誠実と映るのではないだろうか。恋愛時における中国人の態度は単純明快なようで、分かりやすい。そんなわけで人ごみの中でも抱き合ってじっとして、愛情を表現しているのかもしれない。

  恋人同士が抱き合って、人ごみの中で立っているのは、よく観察しなくても目立つ。しかしこの現象は、夏になって少なくなったような気もする。暑いと抱き合ってじっとしているのも大変なのかもしれない。

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