このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
芙蓉鎮に行くには、猛洞河と言う駅で降りて、駅の下にある船着場から、船に乗って行かなければならない。芙蓉鎮はそこから猛洞河を一時間弱遡って行ったところにある。後で聞いてみたら船以外の交通手段は無いとのことであった。陸の孤島みたいなところである。芙蓉鎮のほんとの名前は王村である。映画“芙蓉鎮”の舞台となったところなので、“芙蓉鎮”とも言われようになった。映画“芙蓉鎮”のお陰で、観光地としてやっていけるようになったらしい。船を下りると、船着場から上の村まで
急な坂があり
、その坂に沿って食堂や、
古い民家
やお土産屋が並んでいた。
芙蓉鎮名物の“米豆腐”の店
も勿論あった。米豆腐は映画“芙蓉鎮”にも登場した食べ物で、葛粉(?)で作ったつるっとした食べ物で、どこからかひねり出したような形をしている。主食の様で、朝これを二回ほど食べたが美味しかった。 芙蓉鎮の下には猛洞河と言う、とうとうと流れる大河があり、透明度は3メートルくらいあった。深さはかなり深そうである。下流にダムでもあるのだろうか。地図で見ても分らなかったが、中国の地図はかなりいい加減だから本当はあるのかもしれない。船着場のすぐ側に 倉庫のような映画館 があり、“芙蓉鎮”という映画を毎日やっていた。観光客のためのものだろう。“芙蓉鎮”と言う映画は、文化大革命の頃のことを、かなり批判的に描写した映画である。女主人公は商売に熱心で、小金を貯めて隠していたのが発覚して、毎日、芙蓉鎮の坂道を掃除させられることになってしまった。それがなんと十年も続いた。その文化大革命のばかばかしさを描いた映画でもあるのだが、この映画で一躍有名になった女優が、今は本当に脱税して、金を隠していたのが分ってしまい、捕まっているらしい。皮肉なめぐり合わせである。 芙蓉鎮から猛洞河を遡る船のツアーが在るのだが、ゴーデンウイークにもかかわらず、お客が集まらなければ船が出ないとか言って、ごたごたしていてた。結局は出ることになったが、その前にホテルでもごたごたともめて、ホテルにもう一晩泊ると言っておいたにもかかわらず、団体が来たから、部屋が無くなったと言われ頭に来た。それでも強引に居座ることにして、船に乗った。このことがあるまでは受付の女子は、丸顔で可愛い子だななどと思っていたのだが、こういうことがあると途端に可愛くなくなる。ホテルは猛洞河賓館と言って、 窓からの河の眺めはとても良かった 。 猛洞河の河のツアーは、往復5時間掛かり、その間、 川岸はほとんど絶壁ばかり で人家も少なく、すれ違う船もほとんど無かった。しかしこの河はまだまだ奥まで続いているようだった。野生の猿も見えた。これは船の観光客が餌をやるので、餌付けしてしまったようなものである。中国はどこへ行っても人が多いが、このように人の影すら見えないところもまだあるのである。こんなところに少数民族の匪賊に逃げ込まれたら、なかなか捕まらないだろう、それで昔、この辺りに 南方の長城 と言われる長城を造った事が納得出来た。 猛洞河の河の崖に“禁止、炸魚、電魚、毒魚”と書かれていた。これは電気や薬で魚を捕るのは禁止だということは分かったが、炸魚とは何だろうと、船に乗りながら考えた。“炸”は油で揚げる料理の方法であるから、炸魚は魚の料理の様に思えた。15元で小船に乗せてくれると言うので、村の前で漕いでもらいながら船に乗ったときのことである。そうしたら、突然河の中央で、ドーンと言う音がして、水煙が高く上がった。船頭があれが炸魚と言ったので、爆薬で魚を捕るのが炸魚と分った。魚を油で揚げると、小魚であれば上に浮いてくるが、この場合も魚が浮いてくる様であった。それで炸魚と言うのかもしれない。 観光地の前の河で、禁止と書かれたその側でどうどうと違法な漁をやっていた。この辺りは昔蛮族が反乱を起した地でもあるから、今でも中央の法律が、ここまでは及ばないのかなー、などと考えた。しかし、村には村の、自分達で作った中央と違ったルール(炸魚で魚を捕ることのような)があっても良いのではとも思えた。芙蓉鎮の村では、警官の姿を全く見かけなくて、素朴な村のままの様だった。 一方今の北京では、新しい中国に相応しい文明(北京では今文明を建設中で、文明の意味は、規律、道徳、礼儀がよいと言うような意味である)を作るために、川で釣りをしている人から罰金を取ったり、無鑑札の人力三輪車を没収してみたり、無許可の自由市場で秤を没収したり、北京の長安街(北京の一番の大通り)でアイスクリーム売りを追いちらしたり、犬の取り締まりをしてみたり、警察や都市監察大隊が大忙しなのである。こうでもしなければ、2008年のオリンピックまでに間に合わないのは分るのだけれど。 ここが素朴な村と言っても、観光化が進んでいて、女の子が道端で物を売りながら宿題をしている姿を写真に撮ろうと思ったら、お金をくれと言われた。それで写真を撮るのを止めてしまった。今になって、お金をあげても写真を撮っておいたほうが良かったかなと考えたりしている。 |
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