このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

バスばな


バス乗務の”まじめな”お笑い話

 ここではバス乗務にまつわるいろんな話をしたいと思います。
できたら、添乗員さんなんかのHPで聞ける旅行系の話よりも、バス乗務員ならではの話をしていきたいな、と思っています。
 逆に言うと一般の方にはわかりづらかったりするかも・・・

 参考までに、現在主に乗務する観光バスはドイツ・ネオプラン社製セミダブルデッカー(運転席のみ2階建て・N117/2スペースライナー)と三菱製スーパーハイデッカ(エアロクィーンM・MV)で、いずれも長さ12m、幅2,5m、高さ3.6mです。これだけ聞くとイマイチ分りにくいですけど、たとえば充分に大きいはずのワゴン車、トヨタ・ノア/ヴォクシーでさえ長さ4.7m、幅1.7m、高さ1.9mしかない、と聞けば、その大きさがお分かりいただけるでしょう。

第一話@光に向かって

 さて、皆さんは観光バスの運転士にどんなイメージを持たれているでしょうか?
 道を良く知っている・・・当たり前のような気がしますが、そんな事はなかったりします。いやもちろん最低限の近隣観光地さえ知らないようではお話しになりませんが・・・たとえば、大阪の会社に在籍する私の場合ですと 北は青森県(奥入瀬)、新潟県(佐渡島)まで本州踏破を果たしているのに対し、南は愛媛県(宇和島)ですが、本州はしまなみ街道以西、山陰側だと鳥取県乗り入れがまだなかったりします。
 比較的規模の小さな会社ですと、遠距離はなるべく行った事のある者が優先するようで、どっちかというと、個人個人での偏りはもちろんありますが、ま、観光バス乗務員のみなさんが、乗務で経験した目的地の最北〜最西が1000〜1500km程度はあるようです。
 それだけあると、全部なんてとても覚えられない!!!

 私に観光バスを叩き込んでくれた先生は強烈で、「とにかく次の目的地を(他の、出来れば地元の観光バス乗務員に)聞いて走れ、それの繰り返し」なんてゆうこと言ってました。何も分らなかった私も、その言葉どおりに聞きまくって走って、それでなんとかなってましたが・・・
 でも、だんだん要領は分ってくるものです、大体の場所が分ればあとはむしろ乗降場所と駐車場の確認が大事である、とか。ただ、この場合目的地に問い合わせても、実はバスの大きさを理解できないなど、アテにならない事も多く、可能な限りバス乗務員に尋ねるべし、とかね。

 あるときなど地図で確認した夕食場所への道が市街地で狭く店の前への進入は困難と判断し、「大型バスですが大丈夫ですか?」の問い合わせると「絶対大丈夫、いつも来てますから」と答えておきながら、いざ現地に到着すると、こっちが必死の思いで来たのにもかかわらず「こんな大きなバス、見たことないわ〜!」って言われた、おいおい(ーー;)「確かに進入禁止じゃないけど、もともと大型バスが入る道じゃないだろ〜!(入ったけど)」

 また、東京にそっくりな名前の観光バス会社がある(笑)某トイレメーカーショウルームでは案内された駐車場は・・・高さ制限1、6mだったし(呆然)。これじゃあ、ワゴン車でも入らんヤンケ(怒)。でも、せいぜいこの程度が一般ピープルのバスの大きさへの理解なんですよ、いやマジで。  これが、観光バス乗務員同士だと、東北巡りの時など、明日の行程チェックのため夜間に駐車場で地図を見ながらハンズフリー携帯で仲間に道案内聞いていたら、隣の東北ナンバーのバス乗務員さんがわざわざ降りてきて「どこ行くの?分らないところがあるのか?(東北弁なので意訳)」などといって丁寧に教えてくれたりしたっけ・・・経験豊富そうな年配の方だったんで、その辺の苦労を良くご存知なんでしょうね、やっぱり。

 私の佐渡島初上陸の時には、当日非番だったカッキーさん(LINK参照)が乗用車で道案内にやってきてくれたし・・・旅行社の持ってきた行程では時間割りが悪く、砂金掬いがクリアできないところでしたが、変更案を出していただき、無事に行程を完遂する事ができました。
 仕事を通じて出来たたくさんのお仲間さんにも心から感謝いたします。

 そーゆー私は人に道を教えるのがヘタクソなんですよ・・・
 地元だと他府県ナンバーなんかに聞かれる事も多いんですけどね・・・(恥)

 そんなこんなしながらなんとか「光に向かって」走り続けています・・・
今日も、明日も、明後日も、陸・海・空すべてが安全運行でありますように(^人^)


 

第二話@あつ〜い夏に幽霊より怖いもの!?

 さて、今年(2003年)は7月には冷夏とか言われておりましたが、8月に入りますと バス業界関係者の希望もむなしく(爆)、大阪や東京といった大都市は容赦ない猛暑に襲われております。
 夏の猛暑で何故バス業界が困るのか???暑かろうが寒かろうが旅行に行く人の数はそんなに変わらないし、ましてや貸切、パックツアーを問わず前もっての予約が必要なバス旅行なんて、天候の影響はそんなにないんじゃない?確かに、集客面はそうかもしれません。しかし、バス業界にとって猛暑で怖いのは、なんといっても「クーラーの故障」なのです。

 まず、バスのクーラーですが、一般的には直結式とサブエンジン式の2種類あります。直結式は、乗用車のエアコンと 同じ様なもので、バスの走行動力用のエンジンよりクーラーコンプレッサーの動力を取ります。そのため、 クーラーが稼動中はエンジンパワーが落ち(実際にはクーラーにパワーを横取りされているわけですね)、特に高速道路や登板区間では運転性能に悪影響があります。フル回転のクーラーには100馬力程度必要ですから、例えば、360馬力エンジン搭載車でも走行用出力は260馬力しかないことになりますから、当然ですね。
サブエンジン式はクーラーコンプレッサーのために専用の100馬力程度のディーゼルエンジンを別個に搭載しており、そこからコンプレッサーの動力を取ります。ですから360馬力エンジン搭載車での走行用出力はそのまま360馬力となるため走行性能に優れます。

 が、このクーラー用のサブエンジンが曲者で、近年のような猛暑は設計前提になかったのか搭載スペースの都合か、バスの前タイヤのすぐ後ろという搭載位置(位置が低く、アスファルトによる太陽の輻射熱の影響が強い)に加え、ラジエターが横向き(冷却用の走行風が当たりにくい)で、しかもラジエターの至近にマフラーがある(マフラーの熱をラジエターが吸い込みやすい)という、なんとも”高熱に弱そうな”配置となっていて、さらに猛暑・渋滞・車内の混雑など悪条件がさらにいくつか重なれば長時間サブエンジンのフル回転が続き、最悪時にはオーバーヒートしてクーラーを駆動する事が出来なくなってしまう(つまりクーラーも止まる)わけです。
 また、エンジンは正常でも、フル回転したために冷媒の圧力が異常に上昇し、クーラー本体の破損を防ぐために 停止してしまう事もあります。しかもこれは出来る限りの整備をしておいても発生してしまうのです。 どうやら猛暑がバスクーラーの設計性能を大幅に上回ってしまっているようです。
 当然、夏にクーラーが故障すれば観光バスとしては役に立ちませんから、代車の手配をしたり、その他もろもろ、対応に追われて会社全体が大騒ぎ、さらには大切なお客さんやエージェントの信用まで無くしてしまいます。

 もちろん、これで一番困るのは現場責任者たる乗務員ですし、この時期、乗務員仲間の皆さんでクーラー の故障防止策を話し合ったり、未然に防ぐための対策に取り組んでいると思います。 夏は普段以上のメンテナンスをしていても、これだけの猛暑だと、何が起こるか分らないのが本音です。
 私自身の経験でも、実車中に大都市の街中の地下道(東京都内、国道20号新宿御苑下)で渋滞にはまってしまい、 出口まで100mというところで冷媒圧力上昇でクーラーが停止。みるみる車内温度が上昇し、並んでワシの血圧も 上昇(爆)!!!窓を開ければトンネル内にこもった排気ガスの熱気が!!!こりゃたまらん!!バスの外は50度越えてるよ(~_~;)しかし幸運にも車内がざわつく頃には地下道の渋滞を脱出、走り出せばもうクーラーは何もなかったように効いてくる、ほっ(^。^) ちなみにこのときのバス、これ以外でクーラーの停止や故障は一度もなし。整備不良なんかじゃなくても 超悪条件下ではバスクーラーは停止してしまうということを身をもって体験した貴重な?出来事となりました。

 もし、これをお読みいただいた方がクーラー故障に遭遇したなら、この話を思い出して、しばしのご辛抱をお願いします。
 しかし、近未来にはもう少し改良できないのかな?ね!各バスクーラーメーカーの方々!?(笑)

お断り@この項の「バスクーラー」の表記について、「バスエアコン」が適当とのご意見が予想されますが、盛夏に特定した話を 強調するためにあえて「クーラー」としております。



第三話@3軸の迫力!日産ディーゼル スペースウイング(P−DA67型)

 バスの話を書こうと、バスファンサイトを見て回っていると・・・
意外に人気なのが、3軸スーパーハイデッカー車・・・。
 2階建ては軸重の関係から必ず3軸となってしまうので現在の新車も3軸なのに対して、スーパーハイデッカー車は 軽量化が進み、すでに国産車は2軸にて新製されているのが常識で、3軸車は現存する車両しかなく、希少性が あるためと、独特の迫力ある風貌が人気の秘密と思われますが、実は私も担当車として日産ディーゼル製DA67型 に富士重工HD−Ⅱボディとゆう仕様の観光バスにしばらく乗っていたことがあり、結構気に入っておりました。
 ちょうど製造時期が好景気の時であったため、架装重量(この場合、特に内装)が大きく取れるため、超デラックスバスとして 製造されたものが多く、その点もバス好きな人に人気がある理由かも知れません。
側面窓の高さが高い位置にあり、角ばった車体は実際以上に大きく背が高く見え(これは富士重工スーパーハイデッカー の良き伝統と思います)観光地の駐車場でも存在感は満点です。
ただ、富士重工HD−Ⅱ型の車体は迫力は満点なものの、無骨で年式以上に古臭く見え、また3軸のため、保守費やタイヤ代 といったランニングコストも高いためか意外に少数派で、また後にスタイリイッシュな新型7S型が登場したときには3軸 スーパーハイデッカー自体が時代遅れになっていて、こちらはさらに希少車となってしまったのでした。
ただ、比較的早期に中古車として大手事業者から手放されてしまったためか小規模事業者に人気が高く、 そういった会社で大切にされた車両が現役で活躍している例が多数見られ、 趣味の対象としても興味ある存在となっているのでしょう。
 私の担当車も旅客定員40名で座席の間隔が広くゆったりしており、電車のグリ−ン車並み(?) に足載せが付いていたり、シートソファーもクッションが肉厚になっているなど 一般のお客さんでもひと目で違いがわかるため、ハイグレード車両として好評でした。
 一方では第3軸のタイヤの損傷が激しい、リアオーバーハングが長くお尻を振るので狭い駐車場で気を使う、 車両総重量が重く運動性能(加速や登坂性能、ブレーキングなど)が劣る、タイヤが多い分段差を拾いやすく 振動面で不利など欠点も少なからずあって、徐々にその数を減らしつつあります。
 低速旋回時にはリアタイヤが自力で左右に動くセルフステア機構が付いており、まるで前後のタイヤにステアリングが 連動しているような不思議な姿で交差点を曲がってゆく姿をひと目見れば、バスに興味ない人でも好きになってしまう(?) 魅力的なギミックも搭載されています。
ただこれはバックの時にはロックされるため、駐車場のような狭い場所ではドライバーが上手にコントロールしないと、 前後のタイヤが別々の方向を 向いてしまうなど、なんともその迫力に似つかわしくないおマヌケさも愛らしい、 まさに愛すべき大型バスといえるでしょう。
 もう現役の車両も程度の良いものは少なくなってしまいましたが、いい意味でも悪い意味でも、 いつまでも記憶に残る、そんな車両でした。  機会があればまた独特の乗り心地を楽しんでみたいです、お客として、ね。(^v^)
こんなふうに思わせるバスって・・・やっぱり魅力的なんでしょうね・・・


日産ディーゼルP-DA67型(富士重工HD−Ⅱボディ架装車)バスマニーえぼちゃん提供

第四話@史上最強のバスは、史上最速のバスか?!

 さて今回は、”速い”観光バスについて、私個人の意見で書いて見たいと思います。
速い観光バス・・・って聞いて真っ先に思い浮かぶのはなんと言っても国内最強の480馬力を誇るいすゞガーラ(乗用車で言うところのグレードによりエンジンは異なります。)でしょう。ファンサイトや掲示板などでも、この最強バスへの憧れの言葉を書き込んだものもよく見かけます。
幸い、クレモン自身もガーラ2000(GRACE HI DECKER)にてそのエンジンを体感することができましたが、さすが技術屋集団との異名をとる(byベストカー)いすゞの威信ともいえるそのパワー、特にトルク感は圧巻です。
ところが、この480馬力仕様、あまりに馬力がありすぎて特に発進時のクラッチ操作がとても神経質・・・いや、3速発進も難なくこなすだけのポテンシャルを秘めているのですからって言えば2速発進の神経質さもおわかりいただけましょうか・・・?

 で、クレモンの乗った中で歴代一番の最速バスは・・・
・・・ここはある高速道路、A氏のセレガGRAND JETが1号車、クレモンの三菱ふそうエアロクイーンM(旧モデル、中二階)が2号車の2台口・・・
 A氏はせっかちな飛ばし屋、110km/h近くで走り、100km/hで走るクレモン号はどんどん引き離されてゆく・・・のだが・・・
バスの苦手な長い上り坂に突入!1号車セレガが6速からシフトダウン、5速フルスロットルで90km/h(バスはギア比の関係上、通常5速90km/hしか出ない)・・・ しかもみるみるスピードが落ちてゆく・・・!
後続のクレモン号、登りはじめに100km/hのまま6速から5速へダブルクラッチ(エアミッション搭載車なので本当は不要・・・(^^;))でシフトダウン、そのまま100km/hを維持して上り坂を登ってゆく・・・80km/hにまで失速した1号車にラクラク追いつく(^^;)・・・
 ここまで書くと、クレモン号が凄いパワーのバスのような気がするんですが、実は年式で10年以上古く、パワーも1号車に劣っていました。しかも、赤字部分の文章の矛盾にお気づきか・・・

 このときのクレモン号、実はもとJR高速バス”ドリーム号”用の中古車で、高速バス専用のトランスミッションを装備しておりそのために登坂車線のあるようなかなりの上り坂でも、いわゆるパワーバンドを有効に活用した5速100km/hといった高速運転ができました。この高速トランスミッションは6速すべてがハイギヤードにつくられており、高速走行時にエンジン回転を低く抑え燃費の向上に寄与しますが、逆に市街地などの低速時には走行性や燃費面で劣るため一般の観光バスには採用されていません。もちろん乗務員個々の好みの問題もありますが個人的にはノーマルミッションの4〜6段をもう少し高速化できないかな、と考えたりもします。技術的、法規的な成約も多いんでしょうけれど・・・(^^;)
 ってことで、現在クレモン的最速の観光バスはエアロクイーン(ドリーム号中古バージョン)に決定いたしました。パチパチパチ(笑)



このページは GeoCities です 無料ホームページ をどうぞ


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください