このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

>> 軌道回路装置
Last update 4 / Sep / '05

 列車がどの位置に在線しているのかを検知するための装置として、「軌道回路装置」というものがあります。
 これは、ある一定の距離毎(数百m〜数km;駅構内は数十mの場合もあり)に区切られたレールに列車検知電流を流して、列車在線の有無をチェックするものです。 (図1を参照)
 (受信部で電流を受信できれば「在線無し」(「オープン」または「扛上(こうじょう)」)、受信できなければ「在線有り」(「ショート」または「落下」)と判断します。)
 (レール破断やケーブル断線等、何かのトラブルがあって電流が流れなかった場合には、自動的にショートとなり、関係の信号機も安全側に制御されます。)
 列車検知の原理としては、「列車の車輪によって左右のレールをショートすると、列車検知電流は送信部と車輪の間のみを行き来するようになり、受信部には列車検知電流が流れなくなってしまう」という原理を利用しています。
 (受信部にはある程度の内部抵抗があり、抵抗の大きい受信部よりは、抵抗の小さい車輪の方が、電流が流れやすくなっています。)

 軌道回路装置には大きく分けて、「有絶縁軌道回路」と「無絶縁軌道回路」の2種類があります。
 有絶縁軌道回路は全国の鉄道で幅広く用いられているタイプで、多くの路線では列車検知電流として、商用周波電流(交流50または60Hz)を用いています。(但しATC導入路線では、高周波電流(数kHz〜数十kHz)を使用しているケースもあり)
 有絶縁軌道回路では、軌道回路境界部を電気的に絶縁するため、当該箇所のレール継目に絶縁板を挟み込ませています。 (図1を参照)
 ところが、当該箇所にはレールや車輪の鉄粉が付着するため、絶縁不良のトラブルがしばしば発生するという欠点があります。

 無絶縁軌道回路は主にATC導入路線で用いられているタイプで、全国的にみればまだ少数派ですが、東京の地下鉄では主流となっています。
 無絶縁軌道回路では、列車検知電流として高周波電流を使用しています。
 隣接した2つの軌道回路(3T,5T)の中央境界部に列車検知電流の送信部を設け、前後の軌道回路境界部に設けた受信部で列車検知電流を受信します。 (図2を参照)
 更に隣の軌道回路(1T,7T,9T)には、3T,5Tとは異なる周波数の列車検知電流が流れており、また、高周波電流は伝送距離による減衰が著しいため、他の軌道回路の在線有無情報が混信する心配はありません。
 無絶縁のため、列車検知電流が境界点でぴったりと途絶えることはなく、ある程度先の地点までは減衰しながら流れていくこととなりますが、一般的には境界から数m〜20m先の地点(路線により異なる)でオープン/ショートが変わるよう調整(これを「ボケ」・「にじみ」などという)しています。
 受信部では最大復旧電圧(これ以下の電圧ならば必ずショート)と最小動作電圧(これ以上の電圧ならば必ずオープン)の値が決められており、所定のボケ範囲内に最大復旧電圧・最小動作電圧がくるように、送信電圧や軌道回路抵抗値を調整しています。


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