このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

* * (2009/04/11)非日常へのいざない * *




 このツアーが決まったのは、前日の昼である。某氏の歓迎会を開催したい、というのがこのツアーの発端だ。てっきりどこかの居酒屋へ行って、それから二次会、三次会・・・・・・へと続くようなありふれたものを、当初は想像していた。しかし、どこをどう間違ったのか、全国でも上位を争う秘境駅へ行くこととなった。季節は春、まだ草の生い茂る前であり、散策するにはちょうど良い時期だ。
 今回の日記は、突如計画された秘境駅ツアーと、これまた突如計画変更された夜の部。二本立て(?)で書こうと思う。





「「「「「「「「「「 2009年4月11日 土曜日 」」」」」」」」」」
◎◎478D・東室蘭発長万部行き普通◎◎
(東室蘭1345→小幌[1503])
※[ ]は時刻表上の発時のため、正確な着時は不明

 旅の始まりはすっかりお馴染みとなった東室蘭駅。小生は昨年のこの時期、本拠地を釧路から室蘭に移し、この春で2年目に突入した。この駅から札幌へ、函館へ、青森へと様々な場所に行った。室蘭本線を通り、本州方面へ直通する「カシオペア」「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「はまなす」・・・などなど。長距離を走りぬくこれらの汽車を見ていると、つい次の旅への計画を考えてしまう。今年はどこへ行こうか・・・?東室蘭駅
(東室蘭駅)
車内持ち込み品
(車内持ち込み品)
 この日の参加者は出発までの間、それぞれ私の目には見えなかったトラブルがいくつかあったらしい。。。出発時刻を間違えたもの。カレーラーメンを急いで食べたもの。旅に出る前に歩きすぎて疲れたもの。出発時刻までにはどうにかこうにか、出席者3人全員がそろったので良かった良かった。
 出発後は早速、宴が始まる。写真のように、各種物品を車内へ持ち込み。この日は土曜日だが、高校生でかなりの乗車率があった。そんな中でもこっそりと(?)缶のふたを開けるものもいる。
黄金駅より駒ケ岳
(黄金駅より駒ケ岳)
北舟岡駅
(北舟岡駅)
大岸駅
(大岸駅)
 途中、稀府や北舟岡で結構な数の高校生が下車するが、伊達紋別で再び乗ってくる。その後は順調に数を減らし、ローカル線らしくなってくる。この日は本当に天気が良く、渡島半島がきれいに見える。内浦湾の向こうに見えるのは駒ケ岳だ。窓際で日差しを浴びていると、眠くなってきた。
小幌駅進入
(小幌駅進入)
小幌駅にて478D
(小幌駅にて478D)
 東室蘭から1時間20分ほどで秘境へ行くことができる。運賃は1,040円也。礼文を出発し、まもなく下車の準備を始める。
 これだけ有名になった場所を訪問することになるのだから、どうしても緊張してしまう。駅に着き、下車したのは我々3人のみであった。





◎◎ 小 幌 駅 ◎◎
 小幌駅については、書くことがいっぱいある。まずは駅とその周辺のご紹介から。
 駅は2面2線、上りホームと下りホームがある。函館〜室蘭線の高速化に伴う、遮断機つきの踏切も備えている。待合室はなく、ホームに時刻表が掲示されている。ダイヤ改正に対応しており、現在のものは「平成21年3月14日現在」との記載が加えられている。
小幌駅構内
(小幌駅構内)
小幌駅駅名標
(小幌駅駅名標)
 なお、小幌駅への到達手段は、一般の方であるとJRを利用するしかない。あとは船を使うか、国道から歩くしかない。国道からといっても急斜面を下る必要があり、おそらく登山装備がないと到達はできないことと思われる。
 写真のとおり、小幌駅はトンネルに挟まれている。ホームの有効長は2両ほどしかない。ここへ停車する汽車は一日上下あわせて8本。その他は、特急や貨物はもちろん、普通列車も轟音と共に通過していく。汽車の通過する瞬間は、線路の側に立っているとちょっとした恐怖感を覚える。小幌駅時刻表
(小幌駅時刻表)
小幌駅東室蘭方
(小幌駅東室蘭方)
小幌駅長万部方
(小幌駅長万部方)
下り5011D通過
(下り5011D通過)
上り5014D通過
(上り5014D通過)
上り線ホーム
(上り線ホーム)
便所と詰所
(便所と詰所)
 小幌駅の利用者として使用できる設備は、おそらくホームと便所くらいだろう。便所は電灯があり、夜間でも安心して使用できる。その他、保線員の詰所と、同じく保線関係の倉庫があるが、旅客が立ち入ることはできない。かつて存在した待合室のような小屋は、すでに取り壊されている。
 下りホームの奥には、謎の施設(?)があった。碍子があり、立派な基礎や操作盤などが朽ちた状態で残っている。東室蘭方のトンネル口上部にも施設跡があった。推測するに、トンネルの排煙装置かと思われる。かつては蒸気機関車も数多く走っていた室蘭本線なので、排煙対策として電気を使用した装置があっても不思議ではない。ご存知の方がいらっしゃったら、ご教示願いたいところである。
万力
(万力)
小屋跡?
(小屋跡?)
送風設備跡?
(送風設備跡?)





◎◎小幌駅〜岩屋観音◎◎

 今回の調査範囲は、小幌駅周辺の観察と少し離れた岩屋観音を参拝することだ。
 幸い、駅近くの道には看板が設置されており、途中の道も一本しかなく、場所としては非常にわかりやすいところに存在する。ただし、それなりの覚悟は必要になる。もちろん靴は運動靴以上、長ズボンに軍手は最低限必要になる。小生でも歩けたところなので、本格的な登山とまではいかないが、傾斜が急なところ、切り立った崖のふちを歩くこともある。もし訪問される方は、「自己責任」という言葉を添えたいと思う。
案内看板
(案内看板)
 この時期は、まだ下草が生えておらず、しかも木々の葉もないので、景色が良く見える。また、この日は天候も良かったので、内浦湾沿いの眺めもいい。小幌駅〜岩屋観音1
(小幌駅〜岩屋観音1)
小幌駅〜岩屋観音2
(小幌駅〜岩屋観音2)
 写真のような急峻な場所もある。道のところどころにはロープも備えてあった。滑落に気をつけたいところである。小幌駅〜岩屋観音3
(小幌駅〜岩屋観音3)
小幌駅〜岩屋観音4
(小幌駅〜岩屋観音4)
 小幌駅→岩屋観音は、写真を撮りながら歩いてきて30分ほどかかった。往路の最後、入江に向かって沢があり水が流れている。今の時期は増水しており、通常渡れるはずの木道が水に浸かっていた。小幌駅〜岩屋観音5
(小幌駅〜岩屋観音5)
岩屋観音概観
(岩屋観音概観)
 岩屋観音は入江に存在する洞窟の中に安置されている。仏像様は写真に撮らなかったが、ここまで歩いてきて拝むとありがたい気持ちにはなれる・・・・・・と思う。近くには小屋が建てられており、普段は静かなこの入江も、9月の例祭には大勢の人々が集まるのだろう。小屋の横には仮設トイレがあり、景観に配慮してのことなのか、目隠しが施されている。
岩屋観音
(岩屋観音)
巖屋観音庫裡
(巖屋観音庫裡)
岩屋観音前の入り江
(岩屋観音前の入り江)
右側の小道
(右側の小道)
小幌リゾート1
(小幌リゾート1)
 小幌駅の訪問にて唯一失敗したのが、駅正面の海岸へ下りなかったことである。岩屋観音への時間が思いのほかかかってしまったので、駅正面の海岸もそれなりの時間を要すると判断したためである。しかし、後に調べてみるとそれほどでもなく、1時間もかからないで往復できるようである。
 その代わり(?)に駅の右側を歩いてみた。ちょっと進むと人工物が見えてくる。かつて小幌駅に住んでいた住人が作ったものなのだろうか。ホースからは湧き水(?)も流れていた。伐採され、製材された木材は結構な数がある。この後、どうなるのかは興味があるところだ。
小幌リゾート2
(小幌リゾート2)
蛙?の卵
(蛙?の卵)
小幌駅から渡島半島
(小幌駅から渡島半島)





◎◎491D・長万部発東室蘭行き普通◎◎
(小幌1809→豊浦[1829])
※[ ]は時刻表上の発時のため、正確な着時は不明

 小幌駅周辺を探索し終え、1時間以上の時間を余してしまった。前述のとおり、小幌駅正面の海岸へ下りる時間が十分にあったわけであるが、小生たちは駅周辺でじっとしていた。夕刻、小幌駅周辺は日が当たらない。4月とはいえ、北海道の夕暮れはまだ寒い。多少の防寒対策はしてきたものの、徐々に震えだした。あるものは動き回り、あるものは携帯電話で助け(?)を求めている。ちなみに、小幌駅は携帯電話の使える駅である。おそらく、上を走る国道の影響があるのだろう。
小幌駅にて491D
(小幌駅にて491D)
 そして、いよいよ待ちに待った汽車がトンネルから顔を見せた。ほっとした瞬間でもあった。必ず来るとわかってはいても、これだけ世間と離れていると不安になるものだ。降車するものはおらず、車内の乗客も一人だけだった。
 やはり車内は暖かかった。温度計を見れば23度ほど。小幌駅周辺は日没時には日があたらず、体感の気温としては一桁だった。キハ40系の青いボックスシートでしばしくつろぐ。運賃は350円也。
小幌駅の整理券
(小幌駅の整理券)
豊浦駅にて491D
(豊浦駅にて491D)
豊浦駅にて482D
(豊浦駅にて482D)





◎◎豊浦〜伊達〜室蘭◎◎

 歓迎会を兼ねた当ツアーは当初、このまま東室蘭に戻り、中島町の繁華街へ向かうこととしていた。それがどう間違ったのか、豊浦で下車してしまった。先ほどの小幌駅において、急遽予定が変更となった。現代というのは大変便利な社会になったもので、あんな秘境と言われる場所でも携帯電話が使えてしまう。某氏から「車で移動中」との一報が入り、豊浦で待ち合わせをすることになった。
ちく林
(ちく林)
 豊浦からは車に乗り継ぐ。まず向かったのは伊達で有名なお蕎麦屋さん、「ちく林」。小生は昨秋に一度だけ行ったことがある。以前食べたのは、確か「季節のそば、たこと長ネギのかき揚げ」(900円也)だったように思う。かき揚げがとてもおいしかった。今回頼んだのは「えび天丼」、ちょっと豪華に1,200円也。どんぶりからはみ出すほどえびが大きく、食べ応えもあった。そば湯もしっかりといただく。小幌駅での汽車待ちを思えば、天国である。
メニュー
(メニュー)
えび天丼
(えび天丼)
そば湯
(そば湯)
 「ちく林」でお腹を満たし、室蘭へ向かう。国道37号線はこの時間帯でも結構な通行量があるものだ。
 車内ではどこに行くか議論をしている。結局決まったのが測量山、室蘭では数少ない観光名所のひとつである。日没後は室蘭市内の夜景がきれいに見えるが、ちょっと寒い。風が強いので、防寒の対策は必要だ。
測量山からの白鳥大橋
(測量山からの白鳥大橋)
測量山の三角点
(測量山の三角点)
 滅多に見られない三角点を見つけ、一堂興奮気味のところを下山となる。
 まだまだ帰らない。中央町を通り、気象台の横に見て、山を登る。道道919号線、地図にも載っている立派な道道がある。途中の狭さは内地の田舎の国道を思わせる。地元民は結構知っていると思うが、意外な夜景スポットである。室蘭新道と呼ばれている国道36号線を通ってしまうと見ることはできない。
ふじとり
(ふじとり)
店の前の看板
(店の前の看板)
 本日最後の目的地となったのは「ふじとり」。輪西町にありJR輪西駅から、または道南バス新日鉄前停留所からも歩いて行ける距離である。店内の様子は、一時代も二時代も前の雰囲気を感じさせる。やきとりが中心のお店で、精肉は110円也。焼く直前に串へ刺し、たれを注文すれば味噌ベースの独特な味わいのあるものが出てくる。
 お店の看板・・・・・・「他のお客さんに迷惑をかける様な泥酔者にはお酒類を提供いたしません」過去にはいろいろあったのでしょう。「コーラ、サイダー、ジュース 200円」ジュースの味が気になるところ。その他、かなり昔の冷凍庫など、時代を感じさせるものが多数見られる。

 この店を最後に、本日のツアーはお開きとなる。前半は自然を満喫、後半は食を満喫する。計画が前日に決まったとは思えないほど、充実した一日となった。小幌駅へもまた行きたいし、室蘭周辺のお店も発掘したい。ご同行いただきましたお二方、また途中からご一緒に動いていただいたお二方、あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
* *  お わ り  * *

トップページできごと > (2009/04/11)非日常へのいざない

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください