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韓国のバス事情

1.市内バス

韓国旅行最大の難敵は市内バスである。

(1)そもそもバス停がよくわからない。
(2)ハングルが読めないと行き先がわからない。
(3)バス停の近くにバスが停まらない。
(4)料金がよくわからない
(5)車内放送はハングルのみ。次の停留所を言っているようだが、非常に聞き難い。
(6)「降ります」のボタンが少なく、降りる意思表示をしないと止めてくれない。
(1)そもそもバス停がよくわからない。

 大きな駅や高速バスターミナルから街の中心部に出るときに市内バスのお世話になることが少なくない。当然ながらこうしたところでは方面毎・路線毎にバス停が分かれているケースが多いが、韓国ではバス乗り場案内図のようなものをほとんど見かけない。

 韓国を旅行していると現地の人によく道を聞かれるが、みんなそうやって聞いてバス停を探すのがあたりまえと思っているのだろうか?

 ともあれ、外国人旅行者にとってこれほど不便なことはない。ウロウロする暇があったら、タクシーに乗ったほうがなんぼかマシである。

 右写真は東インチョン駅前でのバス待ちの風景だが、こんな風にバスが来ると思われる一帯でバラバラに待っているのが普通。そもそもバスがどこに停まるかもわqからないので、行列を作る意味がないのだ。中央左のダウンジャケットを着たオバハンの鋭い眼光が韓国バス事情の全てを物語っている。

(2)ハングルが読めないと行き先がわからない。


正面ヘッドとボディー中央のドア付近に行き先を記しているのは日本と同じだが、これがことごとくハングルである。ハングルが読めないと「地球の歩き方」等で調べたバス番号を頼りに乗るしかないのだが、なにせ変化の激しい国なのでガイドブック情報に全幅の信頼を置いているとえらい目に遭う。必ず現地の人に聞いて行き先を確かめるべし。

また正面ヘッドにでかでかと掲げられた行き先も「○○駅」とか「バスターミナル」とかのわかりやすいところとは限らず、むしろそれらを経由して街外れに行くケースが少なくない。従って、結局どこを通るのかはボディー部の経由地を見るしかないのだが、これがまた小さい字でごちゃごちゃ書いてあり、少々ハングルが読めても一瞬で行き先を把握するのは困難である。

さらに「○○駅」が読めても、「○○駅」から来たのか、「○○駅」へ行くのかはある程度街の地理がわかっていないとわかりづらいだろう。

 暗くて見づらいが、写真はバス車内に掲げられた経路図。右端にテジョン(大田)駅と書いてあって、これはもっとも分かりやすい部類だ。


(3)バス停の近くにバスが停まらない。

 日本のようにバス停にきっちり停まることはまずなく、前後バス1台分くらいは平気でずれる。

 また歩道までバスが来てくれず、道路の真ん中で停まることもある。目当てのバスが来たらタクシーを止める要領でバスに「乗るよ」との意思表示をすべし。

 さらに始発だからといって侮ってはいけない。日本式にバス停でじっと待っているのは極めて危険。バス停の周辺にバスが列をなして止まっていて、時間が来るとバス停までいちいち来ずに走りだすこともある。始発でもバスを探して乗る姿勢を忘れてはならない。

(4)料金がよくわからない

 大きな都市では「一般バス」と「座席バス」の2種類が走っていることが多い。「一般バス」は日本の市内バスとほぼ同じで座席もちゃんとある。従って「座席バス」とはなんなんだという気がするが、日本でいえば田舎でよく見かける観光バスのお下がりみたいな車体の路線バスが「座席バス」ということになろうか。料金は一般バスのほうが安い。

 同じ方面に「一般バス」と「座席バス」が走っていることもある。韓国の市内バスは原則均一料金&前払いのようだが、たまたまやって来たバスが一般バスか座席バスかで値段が違うため、小心者の私は乗車時にどうしてもオロオロしてしまう。さらに悪いことに田舎へ行くと料金箱に値段を書いていないこともある。

 だが、地元の人でも運転手に「オルマエヨ(いくらですか)」と聞いていることがままあるようで、オロオロするに及ばないのかも。

 おつりはお札を手渡した後にケース(写真)から自分で取ったり、料金箱とは別の「おつり箱」からジャラジャラ出てくるようなシステムが多く、日本のように車内で両替をするようなバスに出会ったことはない。

(5)車内放送はハングルのみ。次のバス停を言っているようだが、非常に聞き難い。

 さて、無事にバスに乗ったとしよう。だが、車内には次のバス停を示すようなサインボードなんぞは一切ない。運転手がぼそぼそバス停を言っていれば良いほうだが、それもなかなか聞き取りづらい。へんな運転手だと車内ラジオをかけたりする。こうなると自力で目指すバス停を探すしかない。素直に周囲の協力を仰ごう。

(6)「降ります」のボタンが少ない。

 目指すバス停が見つかっても安心してはいけない。原則的には日本と同じで「降ります」のボタンを押せばいいのだが、このボタンの数が日本に比べて非常に少ない。バスの混み具合によっては手近なところにボタンがないこともある。またボタンを押してもどうも運転手の反応が鈍く、停まってくれるかどうか不安になることも少なくない。

 大抵のケースでは他の乗客と一緒に降りればいいので、降車が問題になることは少ないだろうが、一人の時は目的地を連呼するなどして降りる意思表示をしたほうが無難である。

 なお韓国のバスの運転は非常に乱暴なため走行中の座席の移動は非常に危険で、近くにボタンがない場合は無理に遠くのボタンを押そうとしないほうがいいだろう。

2.高速バス

 韓国に慣れてくると、地方への旅行は鉄道よりも圧倒的に高速バスのほうが便利なことがわかる。

(1)料金

鉄道よりも若干安い。

(例)土曜日のソウル→釜山 (以下データは全て2001.11現在)
・セマウル  30600W
・ムグンファ 21000W
・高速バス  優等:25500W
       高速:17,100W

(2)スピード

京釜線沿線でこそ鉄道に劣るが、それ以外はほぼ同等。また地方都市間の移動になると鉄道は使いものにならないし、ソウル→江原道も鉄道は不便。

(例)ソウル→釜山
・セマウル  4時間10分〜30分
・高速バス  約5時間20分

(例)ソウル→光州
・セマウル  約3時間50分
・高速バス  約4時間

(例)ソウル→江陵
・セマウル  約6時間15分
・高速バス  約3時間30分

(例)釜山→光州
・ムグンファ 約6時間
・高速バス  約4時間10分

(3)本数

 これが高速バスの最大の魅力。ソウルから各都市へ頻繁にバスが出ており、思い立ったときに旅立てる。時刻表不要だ!!

(例)
ソウル−釜山 15分毎
ソウル−光州 5〜10分毎
ソウル−慶州 30〜40分毎
ソウル−全州 5〜10分毎
釜山−光州  20〜30分毎

 もっとも鉄道と比べると高速バスは外国人が乗ることは想定されていないようで、切符売場では外国人向けのサービスはあまり見かけないが、行き先は小さく英語表記されていることが多く、されほど不便と感じることはないだろう。
 
 右写真は高速バス乗り場の窓口風景。掲示板には料金と出発時間が記されているが、上段が「優等(ウトン)」で下段が「高速(コソク)」だ。優等が3列シートで、高速は4列シート。料金も優等が高速の1.5倍と高いが、所要時間にはさほどの違いはない。窓口で「プサン」とか行き先を言えば空いているもっとも早い時間のバスの切符を出してくれる。

 バスは渋滞に巻き込まれる恐れがあるのもネック。だが、クリスマスシーズンの日曜日のソウル行き高速バスに乗ってみたところ、中央分離帯にもっとも近い車線がバス優先になっているようで、ブタ混みの一般車線を横目にバスはさほどの遅れもなくソウルに着いた。断言はできないが、週末の中央高速道よりはマトモに動いているのかも。

 韓国には高速バスの他に「市外バス」というものがある。時刻表でも別掲載で、ターミナルも高速と市外では別れていることが多いが、両者の違いはよくわからない。大雑把に言えば、市外バスは近場や高速バスの走らない小都市向けへ移動するバスといえるが、結構遠く&メジャーな都市に行く市外バスもある(例:ソウル→安東)

 高速バス・市外バスともある程度遠くへ行くバスは途中1回サービスエリアで休憩する。到着時になにやらアナウンスしているが、出発時刻や休憩時間が聞き取れたためしがない。出発前には一応運転手が人数を確認しているが、他の乗客の動静に十分注意しよう。

 また、バスがサービスエリア内でじっとしているとは限らない。駐車スペースの関係でバスがトコロテン式に移動することもあるし、甚だしい場合はバスが途中で洗車場に行ったりする。似たようなバスがそこら中にいるので、後者時にナンバープレートを覚えておいたほうがいいだろう。

 なおサービスエリアは恐ろしいほど日本とそっくりである。右写真の西洋城郭風の建物は一般道に付設したサービスエリア(道の駅みたいなもの?)である。


 


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