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韓国の食といえば誰もが思い付くのが焼肉。韓国から戻る度「焼肉どうだった?」と何度聞かれたことか・・・
考えても見たまえ。普通一人で焼肉なんか食わんよなぁ。日本でもよーやらんことを外国でするわけないやん。
というわけで、ここでは専ら一人旅のための韓国食事情を紹介します。
だいたい一人飯というのは侘しいものである。ましてや異国の地での一人飯はさらに侘しい。韓国といえば焼肉だが、これなんか絶対一人で食っても旨いわけがない。もちろん一人で食って食えないわけではないけど、グループで肉をつつきながらビールや焼酎をグっとやってこそナンボのものである。
それにそもそも韓国人が一人で飯を食っている姿を見かけることがないような気がする。私は朝飯にソルロンタンやヘジャンクを出してくれる食堂によく行くが、韓国人は学校や職場の同僚(?)や近所の人(?)や友達同士(?)3、4人で朝から飯を食っているようだ。いわんや夜になると飲めや歌えの大宴会(笑)。そんな中で、君は一人で焼肉を食う勇気があろうだろうか?
私の夢は韓国でプルコギやテジカルビを腹一杯食うことだ(^^)。
わざわざ韓国に行って、明洞あたりでガイドブックに載っている店で焼肉や冷麺を食ったところで何が面白い!!!ましてやマクドやロッテリアでお茶を濁すとは言語道断である。
だいたい明洞や仁寺洞あたりだと日本人観光客向けに日本語メニューが置いてあるし、有名店では日本語のできる店員も少なくない(余談だが、日本語メニューは値段が高くなっている店もある。)
だが、近いとは言え韓国は外国だぞ!外国気分を満喫するにはやはり韓国語しか通じず、ハングルのメニューしかないアウェーの店に行くしかないではないか!何も田舎まで行かなくても、鐘路の路地あたりでアウェーの店が楽しめる。ガイドブックに載っている「日本語:通じない」の店に飛び込むも良し。アウェーの洗礼を浴びるには格好のポイントだろう。
韓国の食堂はハングルが読めないと非常に見つけづらい。右写真は韓国の典型的な大衆食堂。ハングルで「インチョンシクタン」と屋号が大きく出ているのだが、ハングルが読めなければ何の店だがさっぱりわかるまい。そもそも店とすら思わないかもしれない。日本のように店先にサンプルが置いてある店も少ない。
韓国の食堂の難儀なところは、大抵はこの店のように正面が擦りガラスになっていて中が見えにくいところだ。これじゃ流行っているのか、店内は清潔なのか、怖くないのかなんだかさっぱりわからない。意を決してドアを開けてみたら無人だったとか、そもそも営業していなかったとか、逆に団体がどんちゃん騒ぎしていたとか、失敗は枚挙に暇がない。
ガラスにごちゃごちゃ書いてあるのはメニュー。この店はなんでも作るごく一般的な食堂のようだが、店によってはドアのところに「ヘジャンク」とかのお勧めメニューを大書しているところもある。もっともこれもハングルが読めなければなんのことかわからないだろう。
もっともこうした食堂事情も次第に変化しているようで、ファーストフードみたいな明るい外観の店もソウルを中心に増えてきた。右写真はポックンパブ(焼き飯)屋で、客層は明らかに若者中心。店先にサンプルが置いてあるのにも注目したい。概して量が多い韓国料理だが、こうした店では量も日本並みである。
最初に言っておくといわゆる「韓定食」は一人で食うものではない。もっとも複数人で行っても食いきれる保障はないのだが、ともかく一人旅には無縁なものであることは肝に銘じて置かれたい。
で、ここでお話しする定食類とはキムチチゲ、テンジャンチゲ、スンドウブチゲといったチゲ類やソルロンタン、コムタン、ユッケジャン、カルビタン、ヘジャンクッといったスープ類を指す。いずれもご飯と副食物が付いてくるので、日本で言う「○○定食」に相当すると思ってもらって良い。
韓国の定食類の最大の特徴は、相当量のおかずが付いてくることだ。右写真はテンジャンチゲだが、チゲをぐるりと取り囲むおかずの数ははんぱじゃない!! 例によって辛いものが多いので到底一人では食べきれないが、韓国では食べ物を残しても失礼には当たらないらしい。不思議なことにおかずの数は一人で行っても複数人で行っても同じようだ。また定食の値段とおかずの量は必ずしも比例しない。高い店でもちょっとしかおかずが出ないこともある。ソウル都心のチェーン化された定食屋(例「シンソンソルロンタン」)では、ペチュキムチやカクトゥギをセルフサービスで箱から取り分けるようになっている。
右写真はユッケジャン。見ての通り真っ赤なスープで、辛いものがだめな人は止めたほうがいいだろうが、ワシの大好物だ。周知の通り、韓国はご飯をスープやチゲの中に入れて、猫マンマにしてスッカラッ(=スプーン)で食べる。
ガイドブックを見るといろいろな鍋類が紹介してあって目移りするが、実は一人で食べられる鍋と複数で食べることを前提とする鍋がある。先に紹介したテンジャンチゲやキムチチゲ、スンドウブチゲは一人用の小さい鍋で出てくる。ところがプテチゲは底が浅いと言うか平たい皿みたいな格好をした鍋でどどんと出て来て、コンロで煮ながら食べる。明らかに複数人向けの料理で、アジュンマがさらに鍋にラーメンをぶち込むもんだからこれを頼んでしまった時は死ぬかと思った。
じゃがいもがゴロゴロ入ったカムジャタンも複数向けのスープ料理のようで、こちらは食べたことがない。
どれが一人用でどれが複数向けなのか今もってよく判らないのだが、値段が凡その目安になる。だいたい5000W程度で収まるのが一人用。10000Wを超えると複数用とワシは考えている。
韓国人は朝から割としっかりしたものを食べるようだ。パンで朝食の習慣がないのかマクドの開店時間は結構遅く、さくっと食べたい人は粉食店でキムパブやうどんを食べている。
右写真は朝食向けメニューの代表格である「ヘジャンクッ」。ハングルが読めるようになると、ドアに「ヘジャンクッ」を大書した店がそこら中にあることがわかるだろう。
ヘジャンクッは二日酔いに良いそうだが、それほど軽いものではない。牛の血を固めたものが入れてある。レバーにちょっと似た食感で、やや臭み・癖があるので食べづらい人がいるかも。例によってゴテゴテとおかずが付いてくるのが普通。
ヘジャンクッは慶州名物らしく、慶州駅近くにヘジャンクッ通りというのがあるが、韓国どこでも好まれているようで、ソウル鐘閣にもヘジャンクッ屋が集まった一角がある。
こちらはソルロンタン。韓国には珍しく辛くないスープで、割とあっさりしている肉類の出汁がしっかり効いていてなかなかうまい。出されたままだとさすがに薄味すぎるので自分で塩や辛子を入れて味付けする。韓国に慣れてしまうと、ソルロンタンも結果的に真っ赤にして食べるようになってしまうかも。なお副食に添えられている青唐辛子はとんでもなく辛く、私の大の苦手である。
韓国を代表する麺類といえば、ネンミョン(冷麺)とククスである。もっとも日本での知名度はネンミョンのほうが圧倒的に高いので、ククスは食べたことがない人も少なくなかろう。どちらかというとネンミョンは北、ククスは南の食べ物らしいが、もちろん現在では共に韓国全土で味わうことができる。
写真上はビビムネンミョン。「ビビム」は混ぜるの意味で「ビビンパ」の「ビビン」と同じ。ネンミョンにもいくつか種類があり、ビビムネンミョンの他にはスープ入りの「ムルネンミョン」(ムルは水の意味)が代表的。
麺はゴムのようにコシが強い上に、非常に長いのでたいてい店のほうでハサミでパチンパチンと切ってくれる。ビビムネンミョンは茹で玉子やキュウリ等中華そばと良く似た具と麺をぐちょぐちょにかき混ぜてから食べるのがコツ(あたりまえか)。かき混ぜるのが半ば楽しみなので、プサンで観光ガイドに乗っている店に行った時は店側で混ぜられてしまってガッカリした。日本人観光客と見てサービスしたつもりだったのかもしれないが、ある意味アウェーの洗礼を受けたような気がした。
日本同様焼肉屋でも出てくるらしいし、普通の食堂でもポピュラーなメニューだが、やはりネンミョン専門店で食べるのがいいだろう。
こちらはムルネンミョン。ソウル・チョンノのファーストフード店みたいな「ヨンウドン」という店で食べたが、韓国では珍しく前払いだった。話しかけられて意味がわからずポカンとしているうちに、「前払い!」と日本語で言われるのはソウルならではかも。
こちはククス。見た目でわかるようにうどんとよく似ているが、スープが非常にあっさりしている。具にはあさりが入っていることも。専門店もあるが、駅や商店街のプンシク(粉食屋)でも食べられる。
ネンミョンどころか、日本のうどんと比べてもコシに乏しい感じ。またうどんがスープに溶け出して、スープがどろっとした感じになっているのも気になる。もっとも韓国料理はどれもこれも辛いので、胃を休めるためにククスを食べるのも悪くないだろう。
写真はカルククスだが、他にもいくつか種類があるらしい。ちなみに「マッククス」は蕎麦で、いわばネンミョンの仲間なので注意。
3度ばかりククス専門店に入った時の経験から言えば、どちらかといえばククスは女性の食べ物という位置づけみたい。店内にオヤジの姿が少ないこと少ないこと。
小麦系の麺類はククスだけではなく、なんと韓国には「うどん」もある(韓国でも「うどん」と発音)。「おでん」同様、日帝時代に日本から入ってきてそのまま韓国に定着したものと思われる。
ククスよりは格下らしく、もっぱらプンシクでの食べ物。「張うどん」のようなうどんのチェーン店もある。日本の稲庭うどんのような格式の高いうどんというのには未だお目にかかったことがない。
何事につけ量が多い韓国料理だが、うどんに限っては日本と同量なので朝飯には最適だろう。
写真はユブウドン。「ユブ」の意味はよくわからないが、こま切れの油揚げが入っている。
韓国を代表するご飯ものといえばやはりビビンバ(韓国の発音ではビビンパブのほうが近い)であろう。とりわけ石焼ビビンバは人気のメニューである。
ビビムネンミョンの項でも述べたが、ビビンバはとにかく徹底的にまぜるのがおいしく食べるコツ。まぜにまぜないとコチュジャン(辛子味噌)が一箇所に固まってしまい、味がやたら薄かったり濃かったりして旨くないのだ。また石焼ビビンバは熱い鍋にご飯をこすり付けるようにして具に焼きを入れるなり、適度にお焦げを作ったりするのもおいしく食べるコツといってもいいだろう。
ビビンバのように見た目を大切にするのも韓国料理の特徴といいたいところだが、スンデやヘジャンクのようなグロテスクなものもあるので一概にはなんともいえないなぁ・・・・
小腹が空いたときに最適なのが海苔巻き。韓国ではキムパブ(海苔ご飯の意味)という。酢飯ではないのが日本と大きく違う点だが、外見は日本の海苔巻きと寸分違いないものが粉食屋やコンビニで売られているし、大抵の食堂にもキムパブがある。キムパブでそそくさと朝食を取っているサラリーマンを見かけることも多い。
一風変わっているのがチュンムキムパブ(右写真)。具と飯が別々になっており、もはやご飯を海苔で巻く意味もないように思えるが、韓国では結構人気がある。ミョンドンの中心部にチュンムキムパブのチェーン店があり、キムパブを作っている姿がガラス越しに見えるようになっているのを見かけた人も多いことだろう。
これは焼き飯。韓国では「ポックンパブ」という。但し、メニューにはキムチポックンパブとか、鶏野菜ポックンパブとか、カレーポックンパブと書いてある普通。写真は鶏野菜ポックンパブ。見た目どおり量が多く、食い応えがある。
街角の食堂でもお手軽メニューの一つになっているが、昼飯時は「春川タッカルビ」のようなタッカルビチェーン店で食べるのもいいだろう。
前述のように、私は韓国で焼肉を食ったことがない。が、なにごとにも例外はあるもので、実は一回だけ焼肉を食ったことがある。最近日本でも紹介されるようになったが、チュンチョン(春川)でタッカルビを食ったことがあるのだ。
タッカルビは「タッ(鶏)+カルビ」で文字通り鶏の焼肉である。最近は韓国全土にチェーン店ができてどこでも食べられるようになったが、もともとはチュンチョン名物である。チュンチョンの繁華街にはそれこそ右も左もタッカルビ屋だらけのタッカルビ通りがある。
冬のチュンチョンは内陸にあるせいか寒さも厳しく、夕方というのにどのタッカルビ屋も閑散としていた。あまりにも閑散としている店というのも入りにくいもので、2、3人の高校生が鍋をつついている店へ転がり込んだ。
大量のキャベツと鶏肉を大きな丸い鉄板で焼く。味は当然コチュジャン一色で少々辛い。本来一人客は歓迎されないだろうが、いかんせん暇なのでアジュンマもなにくれと世話を焼いてくれる。長細い餅も入っているので、そのボリュームたるやとても一人で食いきれるものではない。残念ながら途中でギブアップした。
やはりこの手のものは大勢で食べたいものである。
「OBラガー」「HITE」「CASS」が3大メジャー銘柄だが、韓国のビールはあまり旨くない。どれもこれも日本で言うライトビールみたいで、あまりコクが感じられないのだ。一般のビールですらそんなもんだから、2段目右の低カロリー版「EXCEL」の不味さはいうまでもないだろう。やっぱり焼酎を飲む前にちょっとのどを潤すためだけの存在でしかないのだろう。ビアホールでもビールばかり延々と飲むようなことはないのかも。
また日本もあまり誉められたものではないが、味にバリエーションがないのも残念。下段左の黒ビール「STOUT」や下段右のプレミアムビール「CAFRI」が変り種に属するくらいか。
とかなんとかいっていると、韓国でもいつの間にかプレミアムビールが出来ていた(2002.12.11 発見)。
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