このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

韓国宿泊事情−韓式旅館

 私は航空券&ホテルがセットになったパック旅行をしたことがない。いつも航空券だけを手配して宿は現地で見つける旅をしている。大抵の観光客は「新羅ホテル」とか「ロッテホテル」とかの超一流ホテルにお泊まりのことと思うが、そういう方には本稿は何の参考にもならないので悪しからず。

 愛用しているのは韓式旅館。なにせ韓式旅館は安い!ソウルで30,000W〜35,000W。地方都市だと大抵25,000Wだ。これがソウルの2級ホテル(日本の一般的なビジネスホテル並)だと80,000Wくらいになる。韓国の物価水準からすればホテルは相当高い。


 但し、韓式旅館もあまり安いところは水回りなり冷暖房なりそれなりに問題があると思ったほうが良い。また「地球の歩き方」等のガイドブックでは旅館の中でもやや高級な部類に入る「荘旅館(ジャンヨグァン)」を薦めているが、荘旅館でも実際は相当当たり外れがある。外観で判断し、なるべく新しそうなところに入るべきだろう。宿のオバハンと交渉して中を見せてもらってから泊まるか道どうか決めるというのかなかなかできるものではない。

 韓式旅館は駅やバスターミナル付近に固まっているのが普通で、夜になると派手なネオンを点けていたりするので極めてわかりやすい。一般的にいって駅周辺は旧市街で寂れている場合が多く、バスターミナル付近のほうが新しい宿を見つけやすい。


 もっとも探しにくいのがソウルで、ソウル駅や江南バスターミナル付近にはなく、鐘路や仁寺洞あたりまで足を伸ばす必要がある。新村の旅館街はほとんどラブホテルと化しているので薦められない(それでも良い方はなんなりと)。韓国の宿泊事情は極めて良く、満室だと断られたことはほとんどない。

 泊まるのも簡単。玄関を開けるとフロント(といってもオバハンが寝っころがっている部屋に小窓が開いているだけなのだが)があり、そこで前金を払うだけでOKだ。


 客「パン、イッソヨ?」(部屋ありますか?)
 宿「ネー」(はい)
 客「オルマエヨ?」(いくらですか)
 宿「サンマノォン」(3万ウォン)

くらいの会話で済む(その代わり英語は絶望的に通じない)。洋式かオンドル式か聞かれることもあるが、黙っていると洋式になることが多い。非常に不思議なことだが、時々部屋の鍵をくれない時がある。治安が良いためかどうかわからないが、こういう時は「ヨルセ、ジュセヨ」(鍵ください)と言おう。

 部屋の設備はどこも似たり寄ったりで、TVと冷蔵庫は必ずある。新しい宿だとCATVを入れているようで、NHK−BSを始め多数の番組が見られるが、残念ながらH系の番組は見かけたことがない。冷蔵庫には必ずミネラルウォーターが入っているが、封を切ったPETボトルに手をつけるのはちょっと気持ち悪い。安い宿だと冷房がついていないことが多い。


 またほとんどの場合歯ブラシとタオルも出してくれる。風呂場には歯磨き粉と石鹸、場合によってはシャンプーも置いてある。資源節約のため、韓国の高級ホテルではこういう消耗品は置いていないと聞いているが、下々にはそんな御触れは馬耳東風のようだ。日本式のティッシュの代わりに部屋に無造作にトイレットペーパーが置いてあるのは韓国流だ。

 水回りはあまり良い印象がない。夏はシャワーの湯が出ないこともあるし、出てもちょろちょろっといった程度のこともある。また風呂の底から流れ出した湯がトイレの床にまで流れてくることも多い。そのためトイレにはスリッパではなく、サンダルを履いて入るのが普通だ。水回りは韓式旅館にもっとも改善してもらいたい部分である。

 韓国に行ったらオンドル部屋を試してみるのもいいだろう。場所によって床の熱さはかなり異なるので、適当なところを選んでせんべい布団を敷く。部屋の床はどこもリノリューム張り。そこにせんべい布団とくるので一番寝ると体じゅうが痛くなることも少なくない。オンドル部屋は一度経験すれば十分で、ベットのほうがはるかに寝やすいと思う。
 
 また冬はオンドルの効き過ぎでクソ暑く、夏は窓が小さくて空気の通りが悪いのでやっぱり暑いためかどうか知らないが、韓国の掛け布団はやたら薄いのも特徴だ。さらに特徴といえば韓国の掛け布団はやたら派手。「新婚さんでもこんなん買わんよ」とツッコミたくなるが、韓国には押入れがなく、布団を部屋の片隅に片付けておくだけなので、見栄えを良くしてあるらしい。

 ベットはダブルベットサイズ。韓国は同性でも一つの布団で寝る習慣があるのでベットも大きめなのだろうか。

 韓式旅館はラブホテルを兼用しているところが少なくない。そのため怪しげなライトが点いていたり、部屋にゴム製品の自販機があったりする。但し、韓国でも次第にラブホテルを専業とする宿が増えつつあるようで、新村の旅館街はあらかたラブホになってしまったし、東テグ駅・バスターミナル付近の旅館街も半分くらいはラブホと化している。ラブホの外観は日本とほぼ同一である。


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