このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

韓国の地下鉄

 韓国国鉄はイマイチ面白味に欠けるというのが正直なところだが、逆に意外な発見にあふれていたのが地下鉄である。

 「地球の歩き方(2001〜2002年版)」によると、「軍事上の理由で撮影が禁止されている韓国の地下鉄構内を、ソウル特別市地下鉄公社の特別の許可を得て撮影した」なーんて書かれているので、2001年に初めて韓国に行った時は構内の撮影はおろか、地下道の撮影さえ自粛したのだが、地下鉄構内が登場するドラマやCMをちょくちょく見かけた。

 おそらく自由化の流れでこうした規制もなくなったのだろうし、実際「地球の歩き方(2002〜2003年版)」からは件の規制についての記述がなくなってしまった。

 だからといってバシバシフラッシュ焚きまくるのもどうかと思うのでなかなか全貌を紹介するのも難しいのだが、地下鉄は国鉄よりも格段に魅力的なのだ。


 ソウル地下鉄の基本料金は600W。路線図は英語併記なのでハングルが読めなくても何の心配もない。

 券売機の大半は1000W札が使えないので、その時は窓口へ行くハメになるが、窓口氏は実に無愛想でお釣りを投げ返してくれたりする。また韓国の人は自動販売機が面倒なようで、券売機が空いていても窓口に列を作っていることも少なくない。なお、スウォン(水原)では1000W札対応の自動販売機を見かけたので、この辺の事情も急速に変わって行くかもしれない。

 自動改札は路線によって異なり、古い路線は遊園地などで良く見かけるような3本のバーをくるっと回すタイプ。新しい路線は日本と全く同じである。なお、相対式ホームの駅でホーム間に連絡通路のない場合があり、うっかり改札口を間違えると600Wがパーになるので注意したい。また1号線以外は右側通行なので、ぼやっとしていると反対側へ連れて行かれることも少なくない(^^;


 防空壕を兼ねているせいか古い地下鉄でも案外深く、また中間のフロアにスペースを割いているのも特徴である。乗り換えは概して不便で、地下道を延々と歩くことが多い。エスカレーターは一応右側に列を作る大阪式だが、あまり守られていないようだ。

 標準軌なので車内がゆったりとしているのはありがたい。ソウルも朝夕のラッシュはひどいと聞いていたが、このゆとりが効いているのか東京のラッシュにはほど遠く、せいぜい大阪の御堂筋線以外の混雑と良い勝負といったところだろう。

 地下鉄でケータイが使えるのにはびっくり。日本と違って誰も咎めだてしないせいか、そこら中でケータイ音が鳴り響く。また別の路線だが、CM用に液晶TVが付いている車両もあって、地下鉄のハイテク化は日本の先を行っているようである。


 駅名はハングル・漢字・英語の3種併記。車両によってマチマチだが、次の駅名を英語標記してくれる場合もあるし、英語のアナウンスも流れるのでどこだかわからなくなる心配は絶対にない。

 治安の良いお国柄か、車内で寝ている人も多いので、乗り換え駅では小鳥の鳴き声まで流す念の入れ様である。また地下鉄1号線の終点スウォンに着いた時は「トルコ行進曲」が流れていた。


 韓国地下鉄最大の特徴は車内の物売りだろう。公式には取締の対象となっているようだが、いまだ物売りは健在のようである。私の出会った物売りは次の通り。

(1)新聞売り:早足で車内を駆け抜けて行くので、売る気があるのかどうかよーわからんのだが、買う人もいたのでこれで商売になるのだろう。

(2)文具売り:大声を出しながらビニールケースのようなものを売っていた。買う人もいたが、これはサクラかもしれない。思い付きで買うもんではないし。

(3)扇子売り:ついに出た!パフォーマンス付き商人。扇子片手に口上を縷々と述べながら必死のパフォーマンス。その後どうなったんだろうか・・・。

 あと、玩具売りなんかも見かけた。またラジカセで音楽を鳴らしながら歩く物乞いもいた。

 写真はプサン地下鉄で遭遇した物売り。右端のチョン・モンジュ似のオッサンが興味深そうに見ているのが目を惹く。


 韓国人にとって地下鉄は動く地下街みたいなもんなんだろうか? もっともこうした風習もW杯開催を機になくなるかもしれない。大阪のキップ立ち売りオバハンが万博でなくなったように・・・


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