小鳳鳳之弐

　　　　　　　　　　　　　このアルバムでも得意の福建ミディアム・スタイルの「浪子的心情」から入りますが、
　　　　　　　　　　　　似た感じのものでは「愛[手并]才會羸」の方が上回りそうです。ただ、歌い方はやや速め
　　　　　　　　　　　　の「痴情的悲哀」がＡ面では光るようです。
　　　　　　　　　　　　　Ｂ面の「天下的媽媽都是一様的」は華語曲ですが、この曲は学校でも歌う機会はたくさ
　　　　　　　　　　　　んあったのではないでしょうか。この曲も好調です。
　全体としてはＢ面の方が出来が上でしょう。「焼酒伴孤燈」と「朋友做[イ火]」がその中では上位に来そうです。「無彩我愛[イ尓]」も調子はいいのですが、音程が若干苦しい部分があるので、ちょっと及ばないようです。

A1．浪子的心情　△　　　　A2．風沙飛　※△
A3．愛[手并]才會羸　※△　A4．相思夢　△
A5．愛一斤値多少　△　　　A6．痴情的悲哀
B1．天下的媽媽都是一様的　B2．焼酒伴孤燈　◇
B3．浪子回郷　△　　　　　B4．一領被單
B5．朋友做[イ火]　△　　　B6．無彩我愛[イ尓]　※△

　※『天才童星』(皇星KSCD8007〜8008)　◇『十年金曲之(一)』(強發NCD911-1)
　△『十年金曲之(二)』(強發NCD911-2)収載

　※は皇星の『天才童星』(KSCD8007〜8008)で、◇はシンガポールの強發の『十年金曲之(一)』(NCD911-1)でCD化されていますが、他の初期のアルバムと較べますと未だ未CD化の曲が多いアルバムと思います。
　出だしの「[父巴][父巴]的話」から、小鳳鳳が得意とするミディアム系の力唱が聴かれる曲です。「愛人跟人走」も同タイプの曲ですが、ややリズムが重いでしょうか。「人生第一歩」もタイプとしては同じでしょうが、これはやや軽めのつくりで、バランスとしてはこちらの方が上回るでしょう。Ａ面後半も調子は変わりませんが、１曲目がこの中ではやはりいいようです。
　Ｂ面の出だしも福建ミディアムですが、こちらの面では恰恰ナンバーの「後悔心糟糟」がいちばん上手く仕上がっているようです。ただ、小鳳鳳は出来不出来の差が少ないですから、大きく劣るという曲はないようです。「愛情的騙子」あたりも好調な歌いぶりです。

Ａ１．一條手巾仔　　　　　　　★※　　Ａ２．杯中影　　　　　　　　　★※
Ａ３．愛人跟人走　　　　　　●★※　　Ａ４．風沙飛　　　　　　　　●★
Ａ５．等無人　　　　　　　　◎☆　　　Ａ６．看着[イ尓]想着[イ尓]　　★※
Ａ７．愛情的力量　　　　　　　★※　　Ａ８．人生第一歩　　　　　　●★※
Ａ９．不願心空虚　　　　　　　★※　　Ａ10．深深的愛　　　　　　　　★※
Ａ11．何必爲着伊　　　　　　　★※　　Ａ12．我的故郷　　　　　　　　★※

Ｂ１．乾一杯　　　　　　　　　★▲※　Ｂ２．後悔心糟糟　　　　　　●★※
Ｂ３．一[口卞]手指　　　　　◎☆　　　Ｂ４．相逢的酒　　　　　　　　★※
Ｂ５．焼酒伴孤燈　　　　　　△★※　　Ｂ６．少女的戀愛　　　　　　　★※
Ｂ７．有話担白講出來　　　　　★※　　Ｂ８．免失志　　　　　　　　　★※
Ｂ９．是[イ尓]反背我　　　　◎☆　　　Ｂ10．愛一斤値多少　　　　　△☆
Ｂ11．吃虧的愛情　　　　　　●★※　　Ｂ12．愛情的騙子　　　　　　●★※

◎＝『為何愛著別人・給[イ尓]騙不知』(皇星KSE87-616)・●＝『[父巴]的話』(皇星KSE88-628)・
△＝『浪子的心情』(皇星KSE88-635)に収載(既出)

★＝『十年金曲之(一)』(強發NCD0911-1)・☆＝『十年金曲之(二)』(強發NCD0911-2)・
▲＝『天才童星』(皇星KSCD8007〜8008)に収載(後年の編集盤)
※＝『福建歌曲精選』(強發NCD911-1)に収載されていますが、同一番号で『十年金曲之(一)』も出されているので注意が必要かもしれません。ちなみに、CDに張られている写真は同じです(^^;から、聴かないと中身がどちらかわかりません。

　全24曲入りのアルバムですが、◎・●・△の印を付けたものは既出のアルバムに含まれていたものです。では、残りの13曲ですが、最初に出てくる「一條手巾仔」は莊學忠との合唱曲で、これはこのアルバム用に作られた曲のようです。ところが、それに続く「杯中影」はだいぶ趣が違っています。何といっても小鳳鳳の声がまだ幼い。つまり、最初のアルバムとなった『為何愛著別人・給[イ尓]騙不知』以前の作品のようです。しかし、幼いとはいえ小鳳鳳得意の福建ミディアムで攻めてきますから、小鳳鳳の天才童星である所以を知るにはいい曲ではないでしょうか。「看着[イ尓]想着[イ尓]」は「免失志」と似た曲で、これも小鳳鳳らしい曲といえるでしょう。ただ、高音部の調子はまだ幼さが顔を出しますが、これがなかったら怖いかもしれません(^^;。「愛情的力量」はややスローな局長でから、これは幼さの残る声がよくわかります。しかし、だからといって幼いだけではない作品ではあるでしょう。「深深的愛」・「何必爲着伊」もそんな作品でしょうか。この中では「何必爲着伊」が若干速いので、かなり力を入れて歌っている部分も入ってきます。「不願心空虚」は恰恰のミディアムですから、歌いやすそうですが途中にやや歌い辛い部分があるので、それがマイナスでしょうか。ただ、これは作曲の方の問題です。「我的故郷」はやや音程が低めから始まるので、これは音域の広い男声向きでしょうね。
　Ｂ面では「乾一杯」が初アルバム化ですが、「我的故郷」よりは音程的には楽そうです。ただ、こういった曲は小鳳鳳にはよくはまります。「相逢的酒」のような曲は絶対に年齢不相応なはずですが、それが似合ってしまうのはなぜでしょうね。「少女的戀愛」のようなポップな曲も悪くないんですが、実は歌詞は年齢不相応なままです。ただ、『十年金曲之(一)』では、この曲と次の「有話担白講出來」がジャケットに刷られていますから、人気があった曲なのかもしれません。「有話担白講出來」はスローですが、声の幼さはあまり目立たない作品です。ただ、「免失志」のような福建ミディアムの方がやはり魅力は大きいように思います。

　　　　　　　　　　　　　Ｂ面で５曲がシンガポールでCD化されていませんが、これは『十年金曲之(六)』用な
　　　　　　　　　　　　のでしょうか。もしかすると、そんなアルバムが出ているのかもしれません。
　　　　　　　　　　　　　Ａ面は「有酒[石干]通賣無」からスタートしますが、これは比較的カヴァーが多いの
　　　　　　　　　　　　ではないでしょうか。ただ、なかなかこれはという図抜けた作品はそれほどないようで
　　　　　　　　　　　　す。むしろ卓依[女亭]あたりのものの方が上回っているように感じます。しかし、２曲目は小鳳鳳らしい福建ミディアムとなります。「唱[ネ未]soah4」も同様で、こちらの方が出来は上でしょうか。しかし、それに続く「成功的條件」がまたその上をいくようです。この３連発はなかなか好調です。５曲目はややテンポを落として恰恰スタイルが前面に出るのですが、「爲[イ尓]打[才弁]」ではまた福建スタイルが強まり、これもなかなか歌われています。
　Ｂ面ですが、「龍捲風」がだいぶ歌いやすそうに聞こえます。しかし、こちらで光るのは得意なスタイルの「漂浪的行船人」でしょうか。ただ、「龍捲風」との差はさほどないでしょう。残りの４曲もやはり福建スタイルになりますが、ただ、「漂浪的行船人」との比較ではどうしても落ちるかなとは思います。しかし、ここでも不出来というほどの作品はありません。

　　　　　　　　　　　　「福建老歌」の第２弾は、恰恰を基本として作られました。元々恰恰の曲調が多いわけ
　　　　　　　　　　　ですが、わざわざ恰恰を銘うっているということはそれだけ恰恰が強調されているという
　　　　　　　　　　　ことになるでしょう。
　　　　　　　　　　　　また、串焼きスタイルにした曲が多いわけですが、たしかに長いほうが踊り甲斐はある
　　　　　　　　　　　でしょう。
　　　　　　　　　　　　さて、Ａ面は串焼きが続きますが、「没良心的人〜」の出だしは無難にスタートすると
　　　　　　　　　　　いうところでしょうか。ただ、最後の「青[虫可]嫂」の歌い振りは結構力があります。これは次の「愛情眞趣味〜」でも同じで、ラストの「桃花過渡」の出来が他の２曲よりいいようです。ただ、１曲目のほうがより歌われているでしょう。「雪梅思君」は長い曲ですから、これだけで串焼きに対抗できますが、出来もなかなかのようです。さほど力をいれてなさそうですが、非常に素直に歌われているようで、それが勢いを産んでいます。
　Ｂ面に行きますと、最初の串焼きの出だしが「鴛鴦水鴨」という曲調が単調なので扱いづらそうな曲から始まるのですが、小鳳鳳のヴァージンは勢いをつけて突っ切るという技でこの出だしを乗り切ります。「行船歌」は３拍子ですから恰恰のリズムではありませんが、これは中身がいいので構わないでしょう。そして再び串焼きですが、３曲の中では「十八姑娘一朶花」が若干落ちるでしょうか。残りの２曲がはまっているので並の出来では落ちることになってしまいます。ラストの「老長壽〜」も結構乗りがいいですが、串焼きでは「十八姑娘一朶花〜」がいちばん歌われているように感じます。

　『新歌舊曲會知音』での目新しい点といえば、潮州語の曲が収められたことでしょうか。もっとも、福建語とは親戚にあたる言葉ですから、言葉自体に親しみはあるかと思います。地元のMuar(麻坡)にも潮州会館はありますから、身近に潮州語もあったでしょう。
　Ｂ３だけがメドレー形式になっていますが、強發盤は一方の「碎心戀」しか収めていませんでした。ただ、ともにスローの曲ではありますが、若干雰囲気は違いますから無理につけなくともよかったかなという感じはあり、出来のいい「碎心戀」の方を載せた強發のやり方もわからなくはありません。
　さて、曲はＡ面では５・６曲目が小鳳鳳の得意なミディアム系です。ただ、アレンジはいままでとは違って入りがポップな雰囲気も作っています。ただ、始まってしまえばいつもの小鳳鳳がいるわけですが、やや早めの「打[手并]才會出頭天」の方が２つのうちでは出来が上かなと思います。他には「龍交龍鳳交鳳」も目立つ曲で、やや民謡的な曲調を感じさせるアップからミディアムにかけての乗りの良さは、小鳳鳳の持ち味の一つです。
　Ｂ面の潮州語曲は、いかにも潮州語曲という作品が採られていますが、「門脚一叢梨」の方が曲調としてはまとまっているかと思います。ただ、何れも乗りはよく、福建語曲では「賣什貨」が恰恰で調子がいいのですが、それよりも上手くこなしている感じがします。それと「碎心戀」の歌い回しがやはり目立ちます。

A1．愛[手并]才會羸　※　　A2．風沙飛　※
A3．浪子的心情　※　　　　A4．愛人跟人走　◆
A5．一條手巾仔　◎　　　　A6．吃虧的愛情　◆
A7．看着[イ尓]想到伊　◎

B1．愛情的騙子　◆　　　　B2．無彩我愛[イ尓]　※
B3．朋友做[イ火]　※　　　B4．一卞皮箱　▲
B5．可憐的人　▲　　　　　B6．浪子回郷　※
B7．乾一杯　◎

▲＝『爲何愛著別人・給[イ尓]騙不知』(皇星KSE87-616)収載
◆＝『[父巴][父巴]的話』(皇星KSE88-628)収載
※＝『浪子的心情』(皇星KSE88-635)収載
◎＝『卞拉ＯＫ福建龍虎榜』(皇星KSE89-647)収載

A1．奮鬥的歌手　　　　　　　　　A2．愛[手并]才會羸　☆
A3．爲何愛著別人　●　　　　　　A4．浪子的心情　☆
A5．愛人跟人走　◎　　　　　　　A6．爲[イ尓]痴情爲[イ尓]迷　●
A7．吃虧的愛情　◎　　　　　　　A8．別問阮的名　◇

B1．乾一杯　▲　　　　　　　　　B2．我無醉是[評茫　◇
B3．愛情的騙子　◎　　　　　　　B4．愛情的力量　▲
B5．風沙飛　☆　　　　　　　　　B6．給[イ尓]騙不知　●
B7．等無人　●　　　　　　　　　B8．鴛鴦[衣末]著頂

●＝『爲何愛著別人』　　◎＝[父巴]的話
☆＝浪子的心情　　　　　◇＝最新福建龍虎榜
▲＝卞拉OK福建龍虎榜

　小鳳鳳がEMIに移籍した後に皇星から出された初期の録音から選曲されたアルバムですが、「奮鬥的歌手」が新曲というふうに記されています。実際には新曲ではなく未発表だった初期の録音で、まだ声に子供っぽさが残る時期の録音です。曲調は小鳳鳳が得意とするテンポですが、音程は低音にちょっと苦しい部分もあります。
　新曲と記されていたのは「奮鬥的歌手」だけですが、「鴛鴦[衣末]著頂」も今までのアルバムには収録されていません。アレンジは「愛[手并]才會羸」と似ており、声も「奮鬥的歌手」より少し後のその頃のものでしょう。ドーナツ盤で出された曲という可能性もあるわけですが、実際には既発売のものかどうかは不明です。音程的には「奮鬥的歌手」よりも合っていますが、出来についてはどちらも小鳳鳳のものとしてはアヴェレージといったところでしょう。
　その他の曲の収録アルバムは上記した通りです。