遊戲在世間

　　　　　　　　　　　　　1992年のアルバムのうち、ここまでがJoyce Limの名前が刷られていました。
　　　　　　　　　　　　　このアルバムでは、タイトルは違っていますが「遊戲在世間」と「愛是什麼」も取り上げ
　　　　　　　　　　　　ていました。前者は「瀟灑走一回」、後者が「愛甲過火」というのが小萍萍のタイトルでし
　　　　　　　　　　　　たが、とくに「愛甲過火」(これはオリジナルのタイトルのまま)は小萍萍に合っている曲の
　　　　　　　　　　　　ように思います。「紡見的[口子]仔」と「愛情恰恰」は蔡可茘のヴァージョンの方が軽みが
　　　　　　　　　　　　あって勝っているように思います。
　一方、「無錢晟人驚」のようなオーソドックスな恰恰ナンバーは、小鳳鳳の腰が据わっている作りが優れているでしょう。Ｂ面の「無錢兄弟」も同様で、出来はこちらの方が上でしょう。しかし、この原曲は「かたつむり」とは思えません。
　オーソドックス系のやや遅めのナンバーがＢ面で「我是爲[イ尓]好」・「三杯酒」と続きますが、ここでもやや重めの小鳳鳳の作りは曲によく合うようです。
　最後は「紅燈的所在」と重量感のある恰恰ナンバーで締めくくっていますが、このスタイルが様になるのは小鳳鳳ならではでしょう。

A1．富貴夢　　　　　　　　　　A2．乖乖返[厂昔]
A3．阮[厂昔]邊　　　　　　　　A4．港都戀歌
A5．天下一定是[口自]的　　　　A6．故郷人情味

B1．先飮才格講　　　　　　　　B2．雙雁影
B3．[敢心]只[敢心]一才[手罷]　B4．出外人
B5．小妹眞美　　　　　　　　　B6．羅漢脚仔

　　　　　　　　　　　　『富貴夢』のカセットの番号ですが、『遊戲在世間』と連番になっています。アルバムの枚
　　　　　　　　　　　数が多くとも今まではこういうことはありませんでしたから、この２枚は同時に出された可能
　　　　　　　　　　　性もありそうです。
　　　　　　　　　　　　出だしの「富貴夢」は「青青河邊草」の改作ですが、若干オリジナルよりリズムが遅めかも
　　　　　　　　　　　しれません。しかし、この「富貴夢」の場合はこのくらいの重さがあった方が似合っているよ
　　　　　　　　　　　うです。「阮[厂昔]邊」はややファンキーな趣を持った曲ですが、それほど力んで歌っている　　　　　　　　　　　わけではありませんが、なかなか重量感のある作品に仕上がっています。「阮[厂昔]邊」では
　　　　　　　　　　　一転してオーソドックスな福建スタイルですが、さすがに「阮[厂昔]邊」とは趣が思いっきり変わっています。しかし、出来が悪いことはありません。「港都戀歌」はスロー〜ミディアム系ですが、このスタイルはこの１曲だけでした。「故郷人情味」は聞き覚えのあるような曲調なのですが、オリジナルは思い出せませんでしたが、これもなかなかいい出来です。
　Ｂ面では小鳳鳳の得意そうなリズムのものが続くようですが、「出外人」以降ははメジャーの音が多いので感じは違いますがリズムの感じとしては似ています。こちらで目立つのは「雙雁影」・「出外人」・「小妹眞美」でしょうか。
　しかし、このアルバムでは曲の出来の差をあまり感じません。ですので、小鳳鳳の皇星時代のアルバムでも上位に推せるものかと思います。

１．祝福
２．丑丑思想枝
３．客家細妹
４．何日再見君
５．公平對待
６．永遠跟[イ尓]走
７．誰人甲我比
８．朋友情義重
９．請[イ尓]多多指数
10．分開是無奈
11．月娘光光照故郷
12．錢甲利
13．乖乖返[厂昔](乖乖的回家)　●
14．富貴夢(青青河邊草)　●
15．小妹眞美　●
16．我是爲[イ尓]好　▼
17．故郷人情味　●
18．紡見的[口子]仔　▼

●＝『富貴夢』(皇星HK-9210)
▼＝『遊戲在世間』(皇星HK-9209)

　『祝福』は皇星盤の他にシンガポールの風潮からのCDを持っており、そちら
の方が６曲多いのですが、それは既製のアルバムからのものでした。
　「祝福」は小萍萍や侯美儀もカヴァーしていますが、リズムの乗り方は小鳳
鳳に部がありそうです。ただ、小萍萍もカヴァーしている「丑丑思想枝」では
小鳳鳳の作りの重さがここではマイナスのようです。「公平對待」あたりは軽
さも捉えられているようなのですが。「何日再見君」は周[王旋]の「何日君再
来」の福建語ヴァージョンですが、これはオリジナルと全く違う作りになりま
すから、選曲と悪くないと思います。時代曲の改変としては「月娘光光照故郷」
が「月兒彎彎照九州」ですが、これはやや軽めの作りです。この小鳳鳳の雰囲
気も悪くはないのですが、この曲ではもう少し重くても雰囲気が出せそうです。
　Ｂ面では「誰人甲我比」は目立つ方でしょうか。ただ、少し力が入りすぎているような気がします。一方「錢甲利」は少し力が入っても曲調に合いますから、こちらの面ではこの曲がベストでしょう。
　皇星ではこのアルバムが新作のものとしては最後になりましたが、ここでも大きく落ちるというような作品はありませんでした。ただ、アルバムの内容としては『富貴夢』の方が上だったろうと思います。

１．誰人甲我比　●　　　　　　　２．媽媽講　▽
３．祝福　●　　　　　　　　　　４．無錢晟人驚　○
５．雨夜花／縁投[口子]仔　▼　　６．風眞透　▼
７．車站　▼　　　　　　　　　　８．[月因]脂馬[手主]關老爺　▼
９．阿[父巴]的話　▼　　　　　　10．賭十糊
11．冷暖的人生　▼　　　　　　　12．走馬燈　▼

○＝『遊戲在世間』　皇星HK-9209
●＝『祝福』　皇星HK-9319
▽＝『千嬌百媚』　EMI 07243-8279582-7
▼＝『千嬌百媚の弐』　EMI 07243-829653-43

　1994年に出された小鳳鳳のMTVですが、福建專輯のMTVはこれが始めてだったようです。曲のほうは同年に出された『千嬌百媚の弐』からのものが多数を占めますが、このアルバムの時点ではアルバム未収録の「賭十糊」も入っていました。これは1995年の『十年主打精選』で初めてアルバムに入ったように思います。
　映像はスタジオ・野外と両方ありますが、「祝福」はどこか古い建物でロケをしています。「無錢晟人驚」はマラッカの映像でした。「車站」は怡保の駅でのものですが、列車はディーゼル機関車が２両(重連)で牽引しています。実際の重連はマレーシアでは一度だけ見ていますが、通常の列車＋観光列車という長大編成のものでしたから、「車站」の映像も珍しい部類に入りそうです。「[月因]脂馬[手主]關老爺」はどこかの港で撮られていますが、この場所はわかりません。「阿[父巴]的話」もどこかの畑です。それほど街から離れた場所ではないようですが、この場所はわかりそうもありません。「冷暖的人生」もどこかの建物の中ですが、これはスタジオ・ワークのように撮られていますから、ロケという感じはありません。
　最後の「走馬燈」はスタジオでの製作ですが、画像はこれがいちばん凝っているかもしれません。