このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 
蘇 鉄
(2001.12.24)


昨年はじめて、奄美大島に行きました。
一番のお目当ては「孤高の日本画家」田中一村の絵を見に行くことでした。
彼の代表作は「クワズイモとソテツ」。
奄美大島の亜熱帯の森の中に息づく生命を、独特のタッチで描き出しています。

最終日の朝、あやまる岬という景勝地にある「そてつジャングル」を見に行きました。
いやー、驚きましたね。ソテツって、こんな植物だったんだぁ。
ソテツ自体はポピュラーな園芸植物だし、うちの近所にも玄関先に鉢植え置いてる家があるけど、
とても同じものとは思えないよねえ、これは。
関東地方に生えているやつは、冬の寒風に対抗するだけでエネルギー使い果たして気息奄々という感じだけど、
奄美大島のソテツたちは、本来の気候の中でのびのび育ってエネルギー有り余ってるって感じ。

ソテツは「生きた化石」と言われているように、それこそ恐竜が生きていた時代からいるわけで、
なにか今主流になっている植物たちとは異質の雰囲気を持っています。
そのたくましさも相当なもの、というか、まさしく「食えない」やつで、
人間は非常事態が起きればソテツといえども容赦なく食用にしてしまいますが、
その時も充分気をつけて毒抜きしないと、反撃をくらって中毒死してしまいます。

そんなソテツの群生に取り囲まれているうちに、なんだかその存在感に圧倒されて、
ふと「こいつらなんか動き出しそうでコワイなぁ」と思ったとたん、
ざわざわと音立てて押し寄せてくるソテツのイメージが脳裏に浮かび、
(なぜかBGMは「ウルトラQ」)
背筋がぞくぞくっときたわたしは、そそくさとジャングルを後にしました。

「旅の風景」メニューに戻る

Homeへ


 

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください