このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




追憶の鉱山の駅
片上鉄道 柵原駅
Katakami bahn Yanahara bhf



片上鉄道は、岡山県は備前の山奥で採掘・精錬される硫化鉄鉱を運搬する非電化私鉄であった。
私鉄とはいえ、長い歴史を持った鉄道なので、各駅の構内の佇まいは昔懐かしい国鉄ローカル線に
も似た雰囲気であった。
ここでは、片上鉄道の終点、柵原(やなはら)駅の情景をご紹介する。

僕が訪ねた1987年当時、輸入の硫化鉄鉱石に押され、ここ柵原での鉱石採掘はされておらず、専ら片上の港に陸揚
げされた鉱石を、柵原の精錬所まで運搬の上精錬し、再び運び出すといった操業内容であった。
それでも、一応無蓋貨車による貨物輸送は細々ながら行われていたし、構内の線路配置も往時の雰囲気を残してい
た。
断片的な写真から、「ヤマ」の駅の雰囲気を感じ取って頂ければ幸いである。

撮影年月:1987年9月
撮影機材:NikonF2、50mmF1.4、35mmF2.8

柵原駅全容
上り方より駅構内を望む。右手に駅本屋。気動車用の短いホームと客車列車用の長めのホームが備わる。
3本の線路は緩やかに弧を描き奥へ続く。左の線路が鉱石を貨車に積込む線で、中央が機回し線。
山の斜面には精錬所の建屋がひしめいている。どれが何のための建物か知る由もないが、採掘から精錬、搬出の順番で並んでいるのだろう。
画面左手にもかつては線路があったと思われるが、僕が訪ねた頃はダンプカーが砂塵を巻上げて出入りしていた。

プラットホームにて
単行の気動車が停車中である。
ホームは砂利敷き。右の線路は気動車2輛分の有効長がある。
左手は客車もしくは混合列車用で、名物「ブルートレイン」の乗場である。
ホームの植栽は剪定がなされ、管理が行き届いていた。

上り方面を眺める 1
上りの気動車が発車していく。
上に架かるトラスの橋は踏切の代わり。長い貨物列車が線路を塞ぎ、踏切では対応できなかったのだろう。
橋の右側の空地は、かつて線路があったスペースと思われる。

上り方面を眺める 2
気動車が去ったあとの上り方。
左端の線路は引上線。画面中央で線路群が合流して一本にまとまり山を下ってゆく。

駅本屋の佇まい
駅本屋は、切妻トタン屋根に尖がり屋根を乗せて変化をつけている。
前の植木もきれいに刈られ、駅員の心遣いが感じられる。
道路に面してバス停のポールが置かれ、津山方面へのバスが発着していた。

駅本屋の線路側
駅本屋は手前より待合室兼出札口。その向こうに切符売り場の窓口があり、続いて駅事務室となっていた。
プラットホームの側面は石積みになっている。

鉱石積込施設
貨車に鉱石を積込む施設である。
レールの上を操作室の付いた鉱石シュートが横移動するようになっている。

巨大なホッパー施設
こちらは貨車を連結した状態で鉱石を積込む施設だ。
1輛の無蓋貨車に3つのシュートで鉱石を投下する。
各貨車に盛られた3つの小山が楽しい。

操作小屋など
聳えるホッパーの前に小屋が並んでいる。
手前は「エンドレス室」、奥は詰所。

奥へ続く線路を眺める
駅本屋前のホッパーから先もしばらく線路が延びていた。
画面奥にもうひとつの積込施設が見える。かつての繁栄がうかがわれる。
この当時は、客車の留置や機回しに使われていた。

片上のブルートレイン
ホハフ2000型客車はDD13が牽引した片上鉄道のブルトレである。
オープンデッキの17m級客車で1950年ナニワ工機製、まるで模型の自由形客車のようだ。

上り方より構内を眺める
上り方の線路脇に立ってみた。
山の斜面に鉱業所の建物や櫓が見え、構内跨線橋等も視界に入り、鉱山鉄道の拠点駅であることが、この場所からでもよく分かる。




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