このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
登録文化財に指定された駅 ケーブル坂本・ケーブル延暦寺を訪ねて 京都駅から比叡山頂行きの京阪バスに乗る。バスは京都駅前から三条京阪のバスターミナルを経て、別当町から白川に沿って山間にはいって行く。山中越えという街道、田の谷峠ゲートから比叡山ドライブウェイにはいると右手に琵琶湖が広がるなかなかの眺め。 延暦寺バスターミナルで下車する。比叡山延暦寺は東塔、西塔、横川の地区に分かれ、多くの塔堂がある。延暦寺バスセンターのそばが東塔で、少し離れて西塔、かなり離れて横川があって、シャトルバスが連絡している。東海自然歩道のルート上にあって歩いても行ける。以前、東塔から横川まで歩いて往復したことがあるのだが、猿たちと遭遇して驚いた。 ここで下車すると延暦寺にしか行けない。そのためのバス停なのだが、ドライブウェイは自動車専用道で歩行禁止、ここからは延暦寺に通じる道以外ないのだ。ケーブル延暦寺駅に行くにはひとつ手前の無動寺バス停で下車すべきだったようだ。せっかくだから、世界文化遺産に登録されてた延暦寺にお参りするとしよう。 天台宗山門派の総本山のこの寺は、比叡山上にあって、最澄が788年に創建したもの。823年延暦寺の寺号を与えられた。広大な荘園と僧兵を擁し、強大な勢力をほこった。1571年織田信長に焼討ちされた、というのは教科書の教えるところ。 東塔には総本堂根本中堂がある。信長焼討ち後の江戸時代、1640年に建立されたもので、桁行11間、梁間6間の大きな建物。堂内は、外陣、中陣、内陣にわかれ、内陣は床を張らず土間となっている。ここに「不滅の法灯」という開創以来1200年余守り継がれてきた灯がある。焼討ちにもめげず、今日に続くなんて、ほのかなその<灯>にいろんなドラマが感じられますね。 今回は、西塔にも横川にも寄らずに、ケーブル延暦寺駅に向かう。 比叡山鉄道のケーブル線、坂本ケーブルはケーブル坂本−ケーブル延暦寺間2.0kmの路線で、途中にほうらい丘、もたて山の2駅がある。ケーブル線としては国内最長の路線で、高低差484mを所要時間11分で上り下りする。開業は1927(昭2)年で、戦時中一時休止していた。 両駅とも登録文化財に指定されている。延暦寺駅の外壁はすこし派手目にお色直しされているようだが、軒裏の装飾など延暦寺最寄り駅らしい装飾が施されている。また、室内は珍しいビード繰り出し装飾というのが施されている。出隅、入隅などに施釉陶器製玉ぶちを並べたもの。大正時代にはやった室内装飾らしいが、数珠に通じるところからの装飾らしい。そして、2階の展望台からは琵琶湖の眺めが素晴らしい。 坂本駅の縦長窓の並びにモダンな感じを受けますね。 比叡山鉄道の車両は1993年に更新されているのだが、「縁」と「福」という愛称がついている。少し大きめの硬券切符は、天台座主の揮毫になるそのふた文字があって、記念にもらえる。 比叡山山麓の町坂本は古くから延暦寺の門前町として栄えたところで、数多くの里坊や山王さんの総本宮である日吉大社がある。 里坊などは「穴太衆積み」といわれる石垣で囲まれている。大小の自然石を巧みに積み上げたもの。戦国時代には各地の城の石垣を組んだという。日吉の馬場の両側にならぶそういった石垣や風格のある門構え、水路には比叡山からの清冽な水が流れている。坂本の町並みは1997年重要伝統的建造物群保存地区に指定された。 大津市が管理する旧竹林院には、国指定名勝の庭園があって、見学できる。広さ約1千坪の庭園は、地形を巧みに利用して築山を配し、清流が流れる。苔むす築山の石組み、様々な木々、なかなか風情がある。 庭園内には田舎の農家のような茅葺き屋根の茶室がある。大正時代建てられたもので、珍しい間取りの茶室なのだそうだ(大津市文化財)。 ■湖都・大津1dayきっぷ 京阪電車の発売期間限定のフリー乗車券。石山坂本線と京津線が1日乗り放題で500円というもので、観光施設などの入場料の割引とかのおまけもついている。3回乗れば元がとれるというお値打ちな乗車券だ。 近江神宮前駅は時計博物館で知られる近江神宮最寄り駅。神宮から琵琶湖へと通じるまっすぐな神宮道を行くと、柳ヶ崎。そこには、かつて琵琶湖ホテルがあった。東京歌舞伎座の設計で知られる岡田信一郎の設計で昭和9年竣工した建物。和風意匠の国際観光ホテルだった。ホテルは新築されて浜大津のほうに移ったが、建物は健在。2002年4月「びわ湖大津館」というレストラン・結婚式場、貸しホールなど持つ施設に改装された。 三井寺駅は三井寺(園城寺)最寄り駅。琵琶湖疎水のそばにある。三井寺駅のすこし琵琶湖寄りの遊歩道「大津絵の道」は、浜大津−近江今津間を走っていた江若鉄道(昭44廃止)の廃線跡を利用したもの。疎水にかかる煉瓦造の橋台がそのまま残る。 琵琶湖疎水は明治23年琵琶湖の水を京都に導き、水運、発電に利用しようということで設けられた。石造の立派なトンネル入口がある。 浜大津駅周辺には商業ビルが並び湖岸に出ると大噴水が見られたりする。 この駅のそばにある古びたスクラッチタイル貼りの建物は大津市社会教育会館。昭和9年市立公会堂として建てられた建物らしい。 大津は、東海道の宿場町、古い町屋が残っていたりもし、電車に乗ったり、降りたりしながら歩きまわると、いろいろな発見がある。 |
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